第1戦ではアウェーのリバプールが3−0の圧勝を飾ったことで、ベニテス監督はチャンピオンズ・リーグ準々決勝・第2戦という大事な試合で、ジェラード、キャラガーら主力を温存できるという余裕に恵まれた。一方、可能性は限りなく低いPSVも、コネは復帰したものの、攻守の要であるアレックス、アフェライはこの試合でも欠場を余儀なくされ、駒不足に悩まされているクーマン監督は、勝負を賭けるべき一戦で、18歳のマルチェリスを起用せざるを得なかった。

それでも、最初に仕掛けたのはアウェーチームだった。第1戦でも、ひとり気を吐いたFWファルファンがいきなり、惜しいシュートを放ち、その後もGKレイナを幾度も脅かす。
試合前、さらには試合序盤、アンフィールドはどこか祝勝会ムードに包まれていたが、リバプールは17分、FWベラミーが負傷退場するというアクシデントに見舞われたことで、チームが気を引き締めなおすと、以降、主導権を奪う。MFゼンデン、ペナントによって、グラウンド全体を使った広い攻撃が可能になり、チャンスを量産していった。

後半に入っても、PSVはファルファンが、リバプールはクラウチらが、それぞれ惜しいシュートを放つが、レイナ、ゴメスの両GKの好守などによってゴールには至らない。
そんな中、19分、PSVはチャンピオンズ・リーグ初出場のマルチェリスがゼンデンへのファウルで一発退場を食らう。これによって数的有利となったリバプールは、その3分後、PSV守備陣の連携が乱れ、こぼれたボールをファウラーが折り返し、これをクラウチが詰めて先制ゴールとした。

完全に勝負あり。この試合でのチャンスの数を考えれば、1得点はあまりに少なすぎたが、アンフィールドの最高潮に盛り上がった雰囲気は、それを問題としなかった。
 余裕のベスト4入りを果たしたリバプールの前には、同国のライバル、チェルシーが立ちはだかる。ビッグイヤーを掲げた2年前のチャンピオンズ・リーグ準決勝と同じカードである。