更年期に「しっかり眠れない」原因とおすすめ習慣3つ。タウリン、GABA…積極的に取りたい栄養素や食材も
冬になると、なぜか寝つきが悪くなったり、寝起きがスッキリしなかったりと、睡眠の質の低下を感じたことがある人も多いのではないでしょうか? 日本睡眠学会総合専門医でもある精神科医の芦澤裕子先生によると、「とくに更年期世代は寝つきが悪くなる傾向がある」と言います。今回、その原因と、睡眠の質を上げる対策について、詳しく教えてもらいました。

冬に睡眠の質が落ちやすくなる理由
冬に睡眠の質が落ちる原因は、秋から冬にかけて日照時間が短くなることで、光刺激(日光浴)によって分泌されるセロトニンが分泌されにくくなることにあります。
その結果、セロトニンを原料とする睡眠ホルモンのメラトニンの生成が減少してしまいます。メラトニンは睡眠の質にかかわるホルモンであり、昼から夜にかけて分泌量が増えていきますが、生成が減少すると、睡眠の質が低下することに。
また、寝つきが悪くなる原因は多岐にわたりますが、大人で、とくに更年期世代で見られやすいこととして、次の点があげられます。
●原因1:ホルモンバランスの乱れ
更年期では、女性ホルモンの変動により自律神経が不安定に。交感神経と副交感神経のきり替えがうまくいかないことで、入眠しにくくなるケースが増えます。
●原因2:ストレスや精神的な不安定
仕事のプレッシャー、家族の問題、生活環境の変化などによる心理的ストレスが高いと、脳や神経が“興奮状態”になり、寝つきが悪くなることも。
とくに動悸・不安・考えがぐるぐる巡る「不眠サイクル」に入りやすくなります。
●原因3:体調の変化・身体の不調
加齢による代謝の低下、冷え、関節や筋肉のこわばり、肩こり、腰痛などがあると、身体の不快感が「眠ろう」とする状態を妨げてしまうので要注意。
●原因4:生活リズムの乱れ
就寝・起床時間が不規則、夜遅くまでスマホやパソコンを使用する、カフェイン・アルコールの過剰摂取といったことが習慣化すると、体内時計が狂い、睡眠に入りづらくなります。
以上の要因が複数重なることで、「布団に入ってもなかなか眠れない」「眠りが浅い」「夜中に何度も目が覚める」といった睡眠トラブルにつながりやすくなるのです。
睡眠の質を上げる「効果的な方法」3つ

ここからは、睡眠の質を上げるためのテクニックを3つ紹介します。
●1:寝る前に入浴する
寝る約1時間前を目安に、38〜40℃のぬるめのお湯にゆったり10〜15分程度つかるのがおすすめ。長くつかるのに負担のない半身浴などにしましょう。
体を芯まで温めたあと、湯上がりに体が自然に冷えていく過程で、深部体温が下がり、副交感神経が優位になって眠りに入りやすくなります。
●2:軽い運動を行う

激しい運動は寝つきの直前には適しませんが、日中に軽い有酸素運動やストレッチ、ウォーキング、家事、スクワットなどで体を軽く動かす習慣をもつとよいでしょう。
運動によって血流がよくなり、身体の疲労が適度にたまることで入眠がスムーズになり、自律神経のバランスも整いやすくなります。
できれば午前中、とくに起床直後の外での運動がおすすめです。前述の通り、セロトニンの分泌を促すには日光浴が効果的であり、起床時の光刺激で睡眠と覚醒のスイッチがきり替わりやすく、覚醒してから16〜17時間後に眠気が出やすくなります。
●3:眠る環境を整える

枕・寝具は重要です。仰向けで寝たときに体圧が分散され、寝返りが打ちやすいマットレスや枕を使い、不快な圧迫感やこわばりを避けるようにしましょう。
シーツや枕カバーは吸湿性や肌触りのいい天然素材を使い、室温(22〜23℃程度)や湿度(50〜60%程度)を快適にすることで、眠りやすい環境が整います。これは寒いと感じず、肌のツッパリや鼻腔や口腔・唇の乾燥が気にならない程度の心地よい環境です。
また、寝室は照明を暗くし、スマホやパソコンのブルーライトは寝る1時間前から避けましょう。スマホのブルーライトカット機能を使用しても、ショート動画やネットサーフィンで頻繁に指の操作をしてしまうと、眠気が吹き飛ぶので避けてください。
快眠にいい影響をもたらす栄養素

食事では、快眠によい影響をもたらす栄養素を意識して摂取しましょう。数あるなかから、今回は3つの栄養素をピックアップしました。
●栄養素1:トリプトファン
トリプトファンは、幸せホルモンのセロトニンを経て、睡眠ホルモンのメラトニンに変化する、体内では合成ができない必須アミノ酸です。
先にもお伝えしましたが、メラトニンは睡眠と覚醒のリズムを整える上で重要な役割を果たします。日中にセロトニンが十分に分泌されることが快眠につながるため、原材料のトリプトファンの摂取を意識することは大切です。
トリプトファンは大豆製品、乳製品、卵、ナッツ類などに多く含まれ、とくに朝食で取り入れるとよいでしょう。
●栄養素2:タウリン
タウリンは神経の興奮を穏やかに抑え、自律神経のバランスを整える働きがあるとされ、入眠しやすい状態づくりに寄与します。魚介類、とくに貝類やイカ、タコなどに多く含まれます。寝る時間に近い、夕食時に取り入れるとよいでしょう。水溶性なので、お鍋の材料にして煮込むのもおすすめ。
また、深部体温を下げて自然な眠気を促すグリシンと一緒に摂取するとより効果が高まります。グリシンは魚の皮にも豊富なので、魚を皮ごと摂取するのもよいでしょう。
タウリンとグリシン双方の入ったサプリメントで取り入れてみるのもよいかもしれません。
●栄養素3:GABA
GABAは脳内の主要な抑制性神経伝達物質で、神経の過剰な興奮を鎮め、不安や緊張を和らげる作用があります。
ストレスや考えごとで脳が休まらない状態では、睡眠の質が低下しやすくなりがち。GABAを摂取することで、眠りの質の向上が望めます。
GABAを食品から取り入れる際には、トマト缶、メロン、ジャガイモ、カボチャ、キムチ、たくあんなどの野菜や発酵食品、発芽玄米、チョコレートなどを。自然食品だけでなく機能性表示食品から摂取可能で、就寝前のリラックスタイムに取り入れると、快眠環境づくりに役立ちます。
冬はしっかりと睡眠を取って、風邪などの感染症に強い身体づくりを心がけましょう。
