歩行者をキチンと保護するのは日本ならでは? 日本の押しボタン式信号をみて外国人が驚くワケ

この記事をまとめると
■日本では歩行者を交通弱者と捉えており押しボタン信号が安全横断を支える仕組みである
■米国ではボタンは横断の意思表示に過ぎず信号は自動で変わらない設計が多い
■南カリフォルニアでは信号無視も多く歩行者が自己防衛を迫られる現状がある
日本独特の「歩行者事情」
夕方のテレビニュースの特集コーナーなどで、「ヒマネタ」のようによく取り上げるのが、「インバウンド(訪日外国人観光客)が日本を訪れて驚いたもの特集」といったもの。自分たちの国ではまず見かけないものや事象にインバウンドが感心しながら驚いたといったようなものである。テレビニュースの特集ではないものの、あるメディアで日本の押しボタン式信号をインバウンドが驚いたものとして紹介されていた。
日本では、歩行者について「交通弱者」という表現が使われることがある。四輪車や二輪車などに対して歩行者や軽車両(自転車)を「弱者」としており、四輪車や二輪車はこのような交通弱者に配慮した運転を心がけようということになっている。ここ最近では、信号のない横断歩道を横断しようとした歩行者がいてもそのまま通過する「横断歩行者妨害」の取り締まりが全国で強化されているのも、そんな流れともいえよう。

海外でも歩行者を交通弱者ととらえているが、それは道路を横断しようとしてもなかなか四輪車などが停まってくれない(信号機のある交差点などでも信号無視がザラで危険すぎる国もある)、日本のように車道と完全に分離されている歩道整備が目に見えて進んでいないといった四輪車最優先の道路環境がゆえ、歩行者が文字どおり交通弱者と呼ばれているものと筆者は感じている。
ここ数年は今回訪れた南カリフォルニアでも、信号が黄色から赤に変わる微妙なタイミングをはるかにこえ、進行方向の信号が完全に赤なのに、しかも横断歩行者がいるのにもかかわらず突っ込んでくるクルマが目立っているので、筆者は少し様子を見てから横断歩道を渡るように自己防衛している。
押しボタン式信号は日本でいうところの交通弱者である歩行者へ配慮したものとして、インバウンドが驚くようである。

ところが、南カリフォルニアを歩いているとあちこちの交差点に押しボタンが存在する。筆者が見た限りでは、押しボタンを押して道路を横断する意思表示をしないと、歩行者信号が日本でいうところの青にはならないのである。
南カリフォルニアで信号のある交差点にはたいてい歩行者用押しボタンが存在する。歩行者は渡りたい横断歩道上を通過する道路の車両用信号が青、つまりクルマが通過して横断できない段階で交差点に到着したらまずボタンを押し、車両用信号が赤になりクルマが停止して歩行者用信号が青になってから渡ることになる。
「ん? 日本と変わりないような……」とも思えるが、日本のようにボタンを押すと車両用信号が赤になり、歩行者用信号が自動的に青になって横断することができるというものではない。あくまで横断歩道を渡る意思表示をするためにボタンを押し、歩行者用信号を横断可能(つまり日本での青)の表示にするのが原則となっている。

横断できる状態でボタンを押すと、素早く青となって横断意思を伝えて横断することができる信号もあるのだが、たいていはボタンを押しても信号表示は横断禁止となったままで、原則では次に横断可能な状態になった時に初めて信号表示上も横断可能となるので、多くのひとは信号に関係なく、横断できる時には勝手に道路を横断しているのも現状となっている。
南カリフォルニアでは歩行者の保護意識が極めて低い
これは州などによって異なるものの、南カリフォルニアにおいては、規制された交差点以外では、進行方向の信号が赤であっても、日本の左折に相当する右折は横断歩行者の安全を脅かさないならば、いつでも可能なことが多いようである。
どこまで法規で厳格化されているのかは調べきれなかったが、歩行者用信号が歩行者横断可能を表示し、歩行者が横断していると、右折予定車が停止線で歩行者が渡りきるのを待って右折していく様子を多く見かけた。だからといって、歩行者用信号が横断禁止を表示しているのにもかかわらず、歩行者が横断していても、そのまま進んでいいというわけでもないようだが……。

日本の押しボタン式信号のなにがすごいのかというのは、多少時差のある信号機もあるが、ボタンを押すと信号が赤となりクルマの流れを停めて横断歩道を渡ることができることのようである。
アメリカでは製造年にもよるのか、押しボタン信号機はいくつか種類がある。大きなボタンとなっているものもあれば、中心部のセンサーのような部分を触ると「ピッ」と鳴るタイプ。矢印形状のボタンを押すと、「WAIT(待て)」としゃべるタイプを筆者は確認している。センサータイプやお話しするタイプでは、信号が変わるまで何度も押しつづけるひとがなぜかほとんどなので、筆者も「郷に入らずば……」の精神で、常に信号待ちの間はボタンを押しつづけている。

帰国時はミネソタ経由便となり、ミネアポリス国際空港近くで一泊したのだが、ミネソタでも形状が多少異なっていたが、信号の交差点ごとに押しボタンが存在していた。
ボタンを押して道路を横断する意思表示をしないと歩行者信号が青にならない。なんだかアメリカらしいなあと筆者は感じてしまった。

