惑星を生み出す“渦巻き構造”? おおかみ座の若い星を取り囲む円盤のアニメーション画像
こちらは、約515光年先の若い星「おおかみ座IM星(IM Lupi)」を取り囲む渦巻き状の構造が、時間とともに変化する様子を示したアニメーション画像です。
チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」の観測で取得したデータを使って作成されました。おおかみ座IM星はガスと塵(ダスト)でできた「原始惑星系円盤」に取り囲まれていることが知られています。


原始惑星系円盤では、惑星が形成されると考えられています。私たちが住む地球をはじめとした太陽系の惑星や、6000個以上が見つかっている太陽系外惑星も、煤(すす)のような塵が少しずつ集まることで、砂粒や小石サイズ、岩石、小惑星、微惑星、そして原始惑星へと成長していったのではないか……というわけです。
ただ、惑星形成の詳しいプロセスには、まだまだ多くの謎が残されています。
円盤の渦巻き構造が惑星形成をより深く理解する手がかりに?
惑星形成のプロセスで重要な役割を果たしているのではないかと研究者が注目するのが、原始惑星系円盤に現れる渦巻き状の構造です。
この渦巻きは円盤自身の重みによってできるとされる構造で、その中では固体の微粒子が効率的に合体していったり、渦巻き構造が分裂して惑星が形成されたりする可能性があるとみられています。渦巻き構造がある原始惑星系円盤は惑星が誕生する直前の段階にあたるため、惑星の形成を研究する上で絶好の観測対象になり得ます。
ところが、誕生したばかりの重い惑星の作用でも、よく似た渦巻き構造が形成されることがわかっています。つまり、渦巻き構造を見ただけでは惑星の誕生直前なのか、それとも誕生直後なのかを見分けることが難しいのです。
NAOJ=国立天文台の吉田有宏さんたち研究チームは、原始惑星系円盤の渦巻き構造は動き方で見分けられるという理論的な予測に着目して、アルマ望遠鏡によるおおかみ座IM星の原始惑星系円盤の観測データを分析しました。
予測によれば、円盤の重みでできた惑星誕生直前の渦巻き構造は、巻き付くように動いて消えていきます。一方、重い惑星の作用でできた惑星誕生直後の渦巻き構造は、形を保ったまま惑星とともに回転を続けるのだといいます。
2017年〜2024年の7年間にわたる4回の観測で得られた観測データを分析したところ、渦巻き構造は巻き付くような動きを示していることが判明。巻き付きの速度は理論上の予測と一致していたことから、おおかみ座IM星の原始惑星系円盤は惑星誕生直前の段階にあると研究チームは考えています。
【▲ 原始惑星系円盤の渦巻き構造が変化する様子を示したアニメーションCG(Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), T. Yoshida et al.)】
国立天文台によると、原始惑星系円盤に現れた渦巻き構造の巻き付き運動を検出することに成功したのは、今回の研究が初めてです。吉田さんは「解析の結果、渦巻きが本当に動いているのが見えた時には思わず声が出てしまいました」とコメントしています。
今後はおおかみ座IM星の原始惑星系円盤の性質をより詳しく調べることで、惑星形成のプロセスがさらに詳細に理解されていくことが期待されます。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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