レバノン・ガザ・シリアで死者80人超、イスラエルの攻撃で子どもや女性も犠牲に
(CNN)中東のレバノン、パレスチナ自治区ガザ地区北部、シリア各地でイスラエル軍の攻撃が続き、9日夜から10日にかけて80人以上が死亡した。
国営通信NNAの報道によると、レバノン中部のアルマトは10日に空爆され、保健省によれば子ども3人を含む20人が死亡した。地元議員によると、標的とされたのは地元の有力者の住宅で、避難した住民を受け入れていた可能性がある。
中南部の町マシュガラの攻撃では3人が死亡し、南部ティールの町も空爆された。ヒアムの町でもイスラエル軍の断続的な砲撃が続いている。
レバノンでは9月16日以来、イスラエル軍によって少なくとも2513人が死亡し、1万1719人が負傷している。
レバノンでは9日夜以来、別の十数カ所も相次いで攻撃され、デイルカヌーンにある市民防衛センターの空爆では17人が死亡した。
イスラエル軍は9日、レバノンのティールや北部のバールベックを空爆し、「ヒズボラのテロリスト数十人を排除した」と発表。10日にはレバノン南部からイスラエルへ飛翔(ひしょう)体約10発が撃ち込まれたと述べ、一部は迎撃され、残りは空地に落下したとした。負傷者は報告されていない。
一方、ガザ北部では10日未明、ジャバリアとガザ市で住宅2棟がイスラエル軍に攻撃され、ガザ保健省によると少なくとも41人が死亡した。犠牲者のうち少なくとも半分は子どもだった。
国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンは、ジャバリアの住宅に対するイスラエルの攻撃で親や子ども、孫たちが死亡したとX(旧ツイッター)に投稿した。
イスラエル軍は「ジャバリアにあるテロリストのインフラ拠点」を攻撃したと説明している。
ガザ北部にあるカマル・アドワン病院のフッサム・アブ・サフィヤ病院長によると、病院には助けを求める電話が殺到した。中にはがれきの下敷きになったという人々からの電話もあったが、「我々には助けられなかった」。
米政府はイスラエルに対して先月、ガザの人道状況改善を要求し、ガザ地区への人道支援を30日以内に増やさなければ、外国軍への支援に関する米国の法律に抵触する恐れがあると通告していた。
世界保健機関(WHO)は8日、「ガザ地区北部では飢餓が差し迫っている可能性が大きい」と指摘した。国連のデータによると、ガザ地区への人道支援物資輸送は、この1年の中で最も少なくなっている。
これに対してイスラエル側は、過去のそうした情報は不正確だったなどと反論した。
シリアでは首都ダマスカス南郊サイイダ・ザイナブで集合住宅の建物がイスラエルに空爆され、シリア国営シリア・アラブ通信(SANA)によると民間人少なくとも7人が死亡、20人が負傷した。犠牲者には女性や子どもが含まれているという。
サイイダ・ザイナブには武装組織ヒズボラの拠点があるとされ、過去にもイスラエル軍が攻撃していた。