J1昇格横浜FC、王手から1か月続いた足踏み…猛追長崎の存在にストレスで眠れなかった四方田監督が取った最善策
◆明治安田J2リーグ ▽最終節 山口0―0横浜FC(10日・みらスタ)
横浜FCが2季ぶりのJ1昇格を決めた。敵地で山口に0―0で引き分け勝ち点76とし、J1自動昇格圏の2位以内を確定させた。今季は四方田修平監督(51)が昨季から強みにしていた守備を武器に、リーグ最少失点(27点)を記録。昇格王手から2戦で7失点するなど3戦連続で足踏みしたが、チームの原点である堅守に立ち返り、3位・長崎の追い上げを振り切った。
1か月弱続いた重圧から解放され、四方田監督は笑顔でスタッフらと抱き合い喜んだ。「苦しい時に大きな力になった」という横浜FCサポーターから「四方田コール」をゴール裏から受け、指揮官は「最後こういう結果で終われて非常に良かった。少しほっとした」と胸をなで下ろした。
最下位でJ2に降格した今季はオフに大量20選手が移籍するも、四方田監督の続投、MFララやDFンドカらの残留で昨季の基盤を保った。継続性を重視したチームづくりで昨季途中から定着した3バックを引き続き採用。MF伊藤が「去年死ぬほどやった」という守備の強度に磨きをかけ、リーグ最少失点の強固な“要塞(ようさい)”を築いた。堅守を武器に、5月中旬から10月初めまでは20戦無敗のクラブ新記録も樹立した。
しかし10月6日のJ1昇格王手から3戦連続の足踏み。その期間ストレスでほぼ睡眠を取れていなかったという指揮官も「シーズン終盤本当に苦しくて。その前が順調だっただけにダメージが大きかった」と振り返るほど、3位・長崎の猛追による重圧は苦しかった。
この試合の前、チームの原点の“堅守”に立ち返った。主将のDFガブリエウが「自分たちのコンセプトは変わらない」と語るように、今季取り組んだチーム一丸で守る姿勢を最後まで貫いた。山口戦は枠内シュート0本に抑えて無失点。今季は「1年でのJ1復帰」と「J1定着」を掲げ戦ってきたイレブン。「J1定着」を達成するため、次なる横浜FCの挑戦が始まる。(浅岡 諒祐)
◆横浜FC 正式名称は横浜フリエスポーツクラブ。1998年、横浜フリューゲルスが横浜Mに吸収合併されたことで、市民クラブを目指し同年12月に創立。99年に横浜FCに改称し、準会員としてJFLに参加。2001年にJ2昇格。07、20〜21、23年はJ1。クラブカラーは白、水色、青。ホームタウンは横浜市。本拠地はニッパツ三ツ沢球技場(収容1万5440人)。