6日の会見にレッドブル社幹部の元ドイツ代表FWゴメス(左)が登壇(C)共同通信社

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 世界160カ国以上でエナジードリンクを販売する大手飲料メーカー「レッドブル社」(本社オーストリア)に買収されたJリーグの大宮アルディージャ(2025年シーズンからJ2)が6日、新たなクラブ名やエンブレムなどを発表した。

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 J初となる「100%外国資本」で運営され、新チーム名は「RB大宮アルディージャ」に決まった。

 誰もが「RBは主力商品であるレッドブル(Red Bull)の頭文字」と思うだろうが、クラブの説明によると「ドイツ語で<芝生の球技>を意味する<Rasen Ballsport>の頭文字を冠した」という。

 さらに――。

 新しいエンブレムには「2頭の赤い雄牛が角を突き合わせている」デザインが採用された。これはレッドブルのブランドロゴそのものであり、これも大半が「エナジードリンクのレッドブルを想起する」と話すサッカー関係者がさらにこう続ける。

「Jリーグは、2020年から外国資本の参入を認めたが、現在も企業名をクラブ名に付けることは認めていない。今回は閉塞感の漂うJリーグを外国資本で活性化するために<RB>を特例扱いで認めた。図柄の2頭の赤い雄牛ですが、そもそもアルディージャというのは、スペイン語でリスを意味する「Ardilla」を読みやすくした造語。クラブの本拠地・大宮市(現さいたま市)が定めた動物マスコットなんですが、レッドブルが親会社となると、リスはエンブレムからあっさりと駆逐されてしまった」

 もっとも、ネット上では「大宮アルディージャという名前と(クラブカラーの)オレンジを残してくれて感謝」「レッドブルがいろいろ配慮してくれた」「これから間違いなく強くなる」など好意的な反応が目立つ。格好の成功例があるからだ。 

 ドイツ1部の強豪RBライプツィヒである。

 もともとドイツ5部に所属する弱小クラブを2009年にレッドブル社が買収した。Jリーグと同様にドイツにも「企業名をチームに入れてはならない」という規則があり、苦肉の策で「RB」を地域名(ライプツィヒ)の前に付けたという経緯がある。

 今回の「RB大宮アルディージャ」も、ドイツでの前例を踏襲したわけだが、いずれにしてもRBライプツィヒは、金満親会社の資本投下によってチーム力を劇的にアップさせた。2016/2017年シーズンに1部に初昇格。それから昨季までの8シーズンで2位2回、3位3回とドイツを代表する強豪クラブに生まれ変わった。

 RB大宮が「短期間でJ1に昇格して優勝争いを演じるようになる」とサポーターたちが期待するのも理解できる。

「レッドブル社は、関東エリアでJリーグと女子のWEリーグを保有しているクラブを買収しようと画策した。最終的に大宮にターゲットを絞って交渉を進めてきた。すでにオーストリア1部のレッドブル・ザルツブルグ、米国のニューヨーク・レッドブルズ、ブラジルのレッドブル・ブラガンチーノを保有しており、RBライプツィヒにRB大宮を加えた<レッドブル・グループ>を形成。ブランドイメージを向上させ、商品の購買力アップに繋げていく算段です」(前出関係者)

 今シーズンはJ3で際立った強さを見せ付け、1年でJ2復帰を決めたRB大宮。台風の目になれるか、今オフの戦力補強も見逃せない――。

  ◇  ◇  ◇

 さて、「Jリーグ初の外資系企業・単独オーナー誕生」で日本サッカーはどう変わるのか。今回風穴が空いたことで多くの外資系企業が、Jリーグへの参入を狙っていくことが推察されるが、果たしてーー。

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