池田向希

写真拡大

 世界陸連(WA)の独立監視部門の「インテグリティー・ユニット(AIU)」が1日、21年東京五輪男子20キロ競歩銀メダリストの池田向希(26)=旭化成=に対してドーピング違反の疑いで暫定的な資格停止処分を下したと発表した。

 AIUは血液ドーピング(自身の血液をあらかじめ採取して保存しておき、大会前にその血液を自己の体内に戻すことで赤血球量を増やし、パフォーマンスを向上させる方法)を検出するために、国際レベルで活動する一部選手に定期的に血液検査を行い、血液中のヘモグロビン等の数値を計測している。池田は6月から8月にかけての血液検査値から血液ドーピングを疑われた。

 22年まで池田が拠点を置いた東洋大陸上競技部の酒井俊幸監督は「卒業してからのことはわれわれはとやかくいえない」と前置きしながらも、「いたときはヘモグロビン値の変動はなかったですし、毎月の血液検査や体組成計、あと医療機関の受診もあるので証明できます。食事も、毎回とっていたので。変動が出る理由づけもできます」と説明した。

 酒井監督は類似例として、16年リオ五輪50キロ競歩で金メダルを獲得したマテイ・トート(スロバキア)の名前を挙げ、「同じように暫定で疑われたことがあったんですけど、解明に8カ月ぐらいかかっていましたね」と渋い表情だった。血液検査の値について、「トレーニングの内容とか場所によっては変わることは多いにある。高地トレーニングをやったりとか、暑いところでやったりとか、溶血が多いタイプだったら下がる、もちろん疾患があったらそれでも下がる」と別の理由でも変動すると説明。「人間ですからかならずしも対処できませんから、そういうのがちゃんと証明できればいいわけなので。なんで回復したのか、医療機関をちゃんと受診してれば証明できると思う」とし、「(解明は)大変ですよ。僕はやってないから信じてくれというだけでは(通らない)」と話した。

 旭化成側は池田へのヒアリングや、専門家の意見を通じて、「規則違反はないものと認識しております」とし、「池田選手の潔白が証明されるよう、今後も鋭意対応してまいります」と主張。池田もコメントを寄せ「今回、全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、たいへん困惑しております」としている。