AFX通信によると、英バージングループの総帥で、英ケーブルテレビ最大手NTLの大株主であるリチャード・ブランソン氏は、大手テレビ局ITVの買収をめぐり、ケーブル大手のBスカイBが9億4000万ポンド(約2100億円)を投じ、ITV株17.9%を取得したことは妨害行為にあたるとして、英公正取引庁と情報通信庁のほか、EU(欧州連合)の欧州委員会にも提訴する見通しだ。これは英週刊紙「サンデー・タイムズ」が19日付で報じたもの。

  同紙によると、NTLは、50億ポンド(約1兆1000億円)の買収額を提示して、今月初めからITVと合併交渉を開始したばかりで、BスカイBによるITV株取得はNTLの計画を妨害するものだとして、ブラソン氏は怒りを募らせているという。

  BスカイBが投資会社のフィデリティなどからNTL株を取得したことを明らかにしたのは、17日にロンドン証券取引所の取引が終了した後で、BスカイBは、声明文の中で、「ITV取締役会による経営の継続を支持する」を明言した上で、BスカイBが「経営陣に人材を送り込む考えはなく、経営方針や事業活動に影響力は行使しない。従って、(株式取得は)英国の法律における合併ではない」とした。

  銀行関係者やアナリストの間では、BスカイBの株式取得により、多額の負債を抱えるNTLにとっては、買収金額の吊り上げ合戦となる可能性があり、合併が困難になったとする見方がある。BスカイBの取得額は1株あたり1.35ポンドで、NTLの提示金額を上回る水準となっている。

  メディア王ルパート・マードック氏の三男で、BスカイBのCEO(最高経営責任者)であるジェームズ・マードック氏は、今週中にもピーター・バートITV会長と会い、スポーツ放映権の共有やITV番組のBスカイBでの放送、ブロードバンドの活用など事業提携について協議する予定だという。【了】

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