【ミルクの束縛】「電車乗って来たのにない!」異例の大ヒットで140万本製造…牛乳離れ・エサ代高騰の酪農家へ「美味しい商品作り恩返しを」
千葉県の老舗乳業メーカーが製造した、生乳75%使用のミルクコーヒー「ミルクの束縛」が異例の大ヒット。ユニークな名前や、商品の見た目にも工夫を凝らして売上につなげている。牛乳離れが進む中でなぜ売れているのか、味やネーミング、誕生までの裏側を取材した。
述べ約140万本!異例のヒット商品誕生
「ミルクの束縛」が異例の大ヒットとなっている。
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ミルクの束縛、家から一番近いファミマにあった!
今、SNSにコンビニの陳列棚が数多く投稿されている。そのお目当てが千葉県の老舗乳業メーカーが作った「ミルクの束縛」だ。
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電車乗って探しに来たのにない…。
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美味しくて好きなんだけど、中々見つからない…。
このような声が投稿されるほど話題のミルクコーヒー「ミルクの束縛」(233円)は、約1年前に、千葉県内のファミリーマートで販売を始めたところ、飛ぶように売れたため、2024年3月から関東甲信越(静岡の一部を含む)に売り場を拡大した。製造数は延べ約140万本、開発担当者も「奇跡」と言うほどの売り上げを記録した。※店舗のよって取り扱いがない場合あり
古谷乳業事業開発部・金谷敏部長:
大ヒットですね。(会社の歴史上で)過去ないですね。まさかここまで売れるとは思っていませんでしたね。
遠藤キャスターが、実際に飲んでみた。
遠藤玲子キャスター:
美味しい…。
給食で飲んだような、懐かしいけど上品なミルクコーヒーです。
原材料の75%は、乳牛から搾ったそのままの生乳で、あとは砂糖とコーヒーだけ、というシンプルなもの。濃厚なミルクの味わいがヒットしているわけだが、この「生乳たっぷり」に、ある思いが込められていた。
牛乳の消費量は約30%減…酪農業界へ恩返しを
古谷乳業事業開発部・金谷敏部長:
我々民間企業ができることは、牛乳を多く使った美味しい商品を作ることに尽きる。それが酪農家さんへの恩返し、貢献かなと思っています。
牛乳離れや少子化などの影響で、一般社団法人Jミルク公式HPによると、30年前と比べて牛乳の消費量は約30%減っていて、酪農業界では苦境が続いています。
さらに、今は円安によるエサ代の高騰も深刻で、ミルクの束縛に使われる生乳を生産している、千葉・旭市の宇畑牧場で話を聞いた。
宇畑牧場・宇畑耕作代表:
(値段が)上がってます。これは配合飼料なんですね。これが前の我々が安いなと感じていた時から比べると、30円ぐらい上がっている。1kgですよ。
45頭の乳牛を飼育している宇畑牧場では、エサは1日約1300kg消費するので、エサ代だけで1日約4万円も負担が増える計算になる。
少しでも酪農業界を応援しようと、乳製品を販売するイベントを開いたり、Pascoでは国産牛乳を使った製品を数多く販売するなど、様々な企業が支援を広げる中で生まれた「ミルクの束縛」。宇畑さんにも飲んでもらった。
宇畑牧場・宇畑耕作代表:
最初にコーヒーの風味がふわっときて、その後にミルクのおいしさがふわーんときますよね。これはとても美味しいグッドグッド。我々生産者としてはミルクの風味も大切にしてくれて、非常に嬉しい。
宇畑さんは、「生乳の美味しさが全国に広がるのは酪農業界の活力にもなる」と話していた。
ユニークなネーミングの由来は?
「ミルクの束縛」という、個性的なネーミングがどのように誕生したのか、その裏側を紹介する。ヒットの裏側に緻密な作戦があった。
遠藤キャスター:
ユニークな広告企画に定評のあるIT企業「カヤック」と、一緒にブランディングを考えました。まずは一言も「コーヒー」に触れておらず、「ミルクの束縛」だけなんですね。
色々な案があったそうなんです。元々は「純ミルクコーヒー」や「頂ミルクコーヒー」という候補が挙がっていました。しかし「純」は強調表示で使えない、「頂」は何をもって頂なのかと却下されました。
そんな中、このプロジェクトに関わり生乳の美味しさを知った関係者が、普段の買い物でも生乳の割合を気にするようになり、「いつの間にかミルクに囚われちゃっていることに気づいた」ことが「ミルクの束縛」の由来だそうです。
遠藤キャスター:
そしてパッケージを茶色の面と、白の面にした狙いは、何だと思います?
スペシャルキャスターパックン:
「1色じゃなきゃいけない」という、固定概念に束縛されてないのかな。
遠藤キャスター:
角度を変えて並べると、違った商品に見えると言うことで陳列棚で目に留まりやすいという狙いで、緻密な戦略があるということでした。
(「イット!」10月24日放送より)