「裏金非公認議員に2000万円」問題、自民党があわてて出した「内部文書」の「驚愕の中身」

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見掛け倒しの「非公認」

裏金問題で自民党にかつてないほどの逆風が吹いている衆院選。

投開票日の10月27日が目前に迫っているが、ここにきて、自民党が非公認とした裏金議員の政党支部にも2000万円を配っていたことが明らかになった。

石破茂首相が裏金問題に対して取った措置が見掛け倒しだったことが伺えるような内容で、選挙戦で自民がさらなる劣勢に追い込まれることは必至だ。

この問題は、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が23日に報じ、森山裕幹事長が内容を認めた。

一方、森山幹事長は2000万円について「党の組織として、しっかり党勢拡大のための活動をしていただきたいという趣旨で支給したものです。候補者に支給したものではありません」というコメントを発表。

つまり、あくまで党の政策を広げたり、選挙区内の比例票の掘り起こしに使ったりするものであり、非公認議員の選挙活動に使われるものではないという説明だ。

しかし、この説明には無理がある。

そもそも、この2000万円という金額は、選挙で公認された候補者の政党支部に公認料500万円、活動費1500万円として一律で配られたものが踏襲されている。

公認料を含んでいるような金額が、裏金問題で非公認となった候補者の政党支部にも振り込まれていながら、「候補者に支給したものではない」という説明をするのは苦しいだろう。

また、この選挙期間中に党の政策を広げたり、比例票の掘り起こしをしたりしながら、選挙区内の非公認議員については一切触れない活動をするというのも現実的には考えにくい。

石破首相の逆ギレ

だが、石破首相は24日、広島市で「私たちは候補者にお金を出しておりません。政党の支部に対し、この厳しい中、なんとか自由民主党の公約、政策をわかってもらいたい。その思いで出している」と釈明しただけでなく、「このような時期に、このような報道が出ることは憤りを覚える」と逆ギレするような演説をおこなった。

さらに、自民党の総裁・幹事長室は、各候補者や選挙実務者に対して「わが党の支部政党交付金に関する報道について」という文書を発出した。

今回の件について「一部ネットでは『#偽装非公認』というハッシュタグまで散見され、各候補の選挙活動中にもこのことを指摘される可能性がある」という危機感を示しながら、報道について「事実を曲解して極めて精緻に誤解を誘導するもの」「倫理的にも後ろ指をさされるものではありません」という説明をしている。

ただ、自民党が非公認とした裏金議員を支援するかのように2000万円を配っていたという内容が世論に与える影響は大きいと見られる。

永田町関係者は「もともと裏金問題で逆風だった自民党だが、この投開票日直前に2000万円問題が出てしまったことによって、さらに厳しい戦いが強いられるだろう。全国各地の選挙情勢も大きく変化する可能性があり、大手マスコミの間では、状況をにらみつつ情勢調査をもう一度実施するという声も挙がっているほどだ」と語った。

一部の裏金議員を非公認とし、厳正な国民の審判を受けさせるとした石破首相。

しかし、その裏で党から2000万円の援助がされていたとなれば、非公認とした措置の意味がなくなり、体裁だけを繕う自民党の姿勢にますます失望感は高まっていくことになるだろう。

投開票日の前に馬脚をあらわした自民党の石破政権に対して、衆院選では一体どのような審判が下されるのか。

選挙戦も終盤となる中、情勢はますます混迷を極めている。

さらに【つづき】「石破茂も青ざめる…自民党の「あまりの劣勢」を前に、幹部たちが進めている「追い込み戦略」の意外な中身」でも、衆院選の最新情報について報じています。

石破茂も青ざめる…自民党の「あまりの劣勢」を前に、幹部たちが進めている「追い込み戦略」の意外な中身