衆議院議員総選挙(27日投開票)の東京15区(江東区)には、5人が立候補している。自由民主党所属の大空幸星候補(新人)は「あなたを守り、未来を拓く」と公約を述べた。

【映像】大空幸星候補はなぜ自民党を選んだのか?

 東京15区では2代続けて衆議院議員が逮捕され、議席を持っていた自民党が候補者の擁立を見送った中、4月28日に行われた衆議院補欠選挙では過去最多の9人が立候補した「乱戦」となっていた。

―自己紹介を。

 自由民主党公認候補の大空幸星と申します。私はこれまで相談窓口をやってまいりました。子どもからお年寄りまで悩みや不安を抱える人に対し年間20万件、4年間で100万件、本当に多くの方々からの相談が寄せられました。この悩みや不安に寄り添う人たちの政治、本来やらなければいけないということで自ら手を挙げさせていただきました。

(25歳という)若さはその人の一つの側面でしかないとは思いますし、若さだけしかアピールすることがない政治家にはなってはならないということで、孤独・孤立対策もやってまいりましたので、そういったお話もさせていただいております。とはいえ、今回の選挙において25歳での小選挙区の立候補者は私以外いないんです。野党でもいない。しかも700人以上の国会議員の中で20代が一人もいない。こういう状況では25歳、最年少ということはしっかりお伝えすることにも意義はあるんじゃないかと。

 若い人が政治に関心を持てないとか投票率が低いと言いますが、そもそも関心を持てるような政治じゃないと。同じ年代の人が一人もいない国会に関心を持てというほうが難しい話なのであって、やっぱり誰かがやらなきゃいけないと思いますし、20代、若い世代かもしれませんが、だからしがらみがない立場で、そして新しい視点を取り入れることができるのではないかと思います。 

 私たちの世代は年金をちゃんともらえるのか、今の社会保障の仕組みは維持されるのか、そういった当事者世代としての疑問がある。そして今は日本の若い人たちがワーキングホリデーを使って海外に出稼ぎに行くような時代なんです。そういった実情を国の政治まで伝えていくことは一定意義があると思います。 

―大空さんが掲げる公約は。 

「あなたを守り、未来を拓く」です。あなたを守るというよりは、まずは命が守られること。やっぱり私が取り組んできた相談窓口には本当に多くの方から相談が来ました。子どもの自殺も過去最多、いじめの認知件数とかも過去最多ですが、老々介護もあり、多くの人が苦しんでいる。命を守るということ、そして防災減災対策も待ったなしなんです。

 江東区は特に水害の被害もあるかもしれないし、首都直下型地震のことも考えなくてはならない。約8割の区民の方が集合住宅に住んでいますから、地域特性に応じた防災減災対策を進めていく。こういったことも必要です。国を守るというよりは、国会議員である以上は、外交や安全保障を議論しなければ、国会議員になる資格がないと思います。先日も中国は台湾海峡周辺で大規模な軍事演習を行いました。安全保障の厳しさが一段と増しているわけですから、現実的な外交と安全保障、何としてもやっていく。

 ただし、最先端の防衛装備品を買うだけが防衛強化ではない。自衛官の皆さん、命を懸けて国を守っている皆さんの待遇を、改善していくということ。私の相談窓口にも自衛官の皆さんから多くの相談があったんです。実際に自ら命を断つような自衛官の方というのも毎年いらっしゃるわけです。ですから、そういった待遇改善とストレスチェックのあり方にも実は課題がありまして、ある種の働いている人、国を守っている自衛官、そしてもちろん海上保安官の皆さんの待遇改善、これもひとつの防衛力強化においては重要なのではないか。

 そして「未来を拓く」ということについて。先ほど申し上げたように、未来志向の若い世代として、20代が一人もいない今の国会の中でしっかりと若い世代の声を生かしていく、これに尽きると思います。 

―賃上げなどの経済対策については。 

 賃上げ賃上げと言うんですが「賃上げをしたくてもできない」というのが多くの中小企業の皆さんの本音だと思います。私も数十人を抱えている小さな組織の経営者をやっていましたから、気持ちはよくわかるんです。(本当は)賃上げをしたいんです。だってどの業界も人手不足ですから、賃上げをしないと雇用も採用もできないわけです。だけれどもできない。

 例えば江東区の主要産業は製造業なんです。この製造業の60%以上の方が売上が減少したと答えておられます。燃料高・物価高もありますから、生産性を上げていくためのDX、当然サポートしていかなくてはいけませんし、やっぱり多くの中小企業の皆さんは大企業と取引しているわけです。そのときにしっかりと価格転嫁が認められていくこと、公正な取引になることが大前提です。

「下請け法」という法律の名前も私は変えないといけないと思っています。やっぱり下請けというイメージが先行してしまっている。下請けということではなく、日本経済をしっかり支える柱なわけですから、その名称を変えていくことも当然必要ですし、賃上げをするためには何よりも中小企業の皆さんの「稼ぐ力」が必要なんです。賃上げと一方的に言うのではなく、まずは中小企業の皆さんを稼ぐ力、先ほど申し上げたような、さまざまな施策で強化をしていくというかと思います。

―今回の選挙の大きな一つの争点となっている政治と金の問題については。

「信頼回復」という言葉を自民党議員も使うんですが、私はその言葉自体がそもそも間違っているんじゃないかと思います。この国にそもそも回復するような信頼はなかったんじゃないかと。こういう視点に立たないといけないと思うんですね。信頼をゼロどころかマイナスから、一つひとつ積み上げていくんだと。信頼創造、これが今の政治に私は求められていることだと思うんですよ。

 この信頼創造という意味では、やっぱり本来政治が変わることで社会が変わります。実際に私が学生時代から孤独対策を提言させていただいたことで法律ができたんです。実際にそのことによって「国は自分たちを見捨てていなかったんだ」といったお声もたくさんいただきました。これがやっぱり本来の政治の力であるはずですし、それがある種の可能性として認識されなければなりません。ですから「声を上げたら変わる」などと言われていますが、声を上げられない人たちにこそ政治はあるわけです。

 選挙はある種、街づくりの舞台です。私は立憲民主党や共産党には政権は絶対に渡すことができないと思っていますが、とはいえ、政策やイデオロギーとか、主義・主張が違っても、この江東区と日本をよくしたいという思いや「人々のために尽くしたい」「政治家を目指す」という考えは各候補者で一致している部分だと思うんです。選挙はどうしても違いを強調して、違いで選ぶ仕組みになっていますが、その中でできるだけ、ある種の共通項、共に今街づくりの舞台に、皆さんが参加していただいているんだというような思いを持っていただくことも、政治の信頼創造のためには重要だと思っています。 

―今回、無所属という選択肢もあった。なぜ自民党を選んだ。 

 日本は議会制民主主義ですから、政党政治が行われています。その中で、私は自分が政治家になりたいということではなく、やっぱり政策をやって法律を作りたいのです。現実的に無所属一人で法律を作ることはできません。ですから、各候補者の皆さんの気持ちはよくわかるけれども、ご自身が政治家になりたいだけなのでは、という思いを抱くことも、ある種の事実ではあります。現実的に政策と法律でこの国を変えたい、社会を変えたいのであれば、やはり何らかの政党に属していくことが必要になると思います。

 そして自民党は多様な政党なんです。他の候補者の方、かつて政党に所属をされて離党された方がいらっしゃいますね。討論会では「組織では自由なことを言えない雰囲気だったから無所属になった」とおっしゃっていた。野党ではそうなのかもしれませんが、自民党は多様な政党なんです。いろんな意見が飛び交って、最後まとまるという、まさに政党政治をやっているわけです。

 実際に、今回の選挙、1300人以上候補者がいる中で、最年長は麻生太郎さんで最年少は私です。最年長から最年少までいるのが、自民党なんですよ。幅広い世代の声を聞いていく。いろんな価値観の人が混ざり合って、それでもなお国を良くしていきたい。こういう思いをある種、体現できるのも自民党の強みでありますから、自民党の中で実直に政策をやって法律をつくって、国会議員の務めを果たす。これに尽きるかと思います。

―大空さんにとって「幸せに生きる社会」とはどのようなものか。 

 理想は「お互い困った時に助け合える社会」です。隣の人の顔が見えて、まさに醤油を貸し借りするような、誰か困っている人がいたら手を差し伸べる。そしてまた自分も困った時には、誰かに頼る。それを実現するためには、一人ひとりの生活に余裕が必要なんですよ。賃金が上がらない、経済が成長していない状況の中で、自分の暮らしがきついのに、誰かに手を差し伸べることなんてできないわけです。だから経済対策を最優先でやらなくてはいけないわけです。だけれども、目指さなきゃいけない社会は、地域のつながりがしっかりと維持されて、困った時に助け合える社会。これは防災・減災対策にもつながりますから。 

 悩みや不安というのを、完全に消し去ることはできません。でも小さなモヤモヤの段階でちょっとしんどいなって思う時に「この人に話すことができる」「この人なら頼ることができる」それを全ての人が感じられて、問題や悩みは重症化しない。そういう政治を目指さないといけませんし、私自身も高校の先生に救われて、今この場に立っている。困った時、苦しい時に誰かに頼る。そして自分も誰かに手を差し伸べる。それが当たり前です。その時にハッと幸せだなと思ってもらえるような社会を政治で実現していく。それに尽きると思います。 
(ABEMA NEWS)