【解説】ロシアに3000人派兵した北朝鮮の狙い…大量脱北の可能性で統制強めるも兵士1人30万円で「軍事的・経済的見返り大きい」判断か
ロシアへの兵士派遣は北朝鮮にとってどんな狙いがあるのか、FNNソウル支局・柳谷圭亮記者が中継でお伝えします。
北朝鮮はロシアからの軍事的・経済的見返りが大きいと判断しているとみられます。
まず、核・ミサイル開発を進める北朝鮮にとってロシアの技術は必要不可欠で、特に偵察衛星に関しては技術支援を受けた新型エンジンがすでに使用されたとみられています。
また韓国の情報機関は、今回の派兵で北朝鮮が兵士1人あたり月2000ドルを得るとみていて、北朝鮮経済にとっては大きな助けとなりそうです。
――北朝鮮にとっては初の本格的な派兵となりますが、北朝鮮内の反応は?
北朝鮮内でも動揺が広がっているようです。
韓国の情報機関によると、北朝鮮当局は兵士家族を集団で隔離し、情報統制をしているということです。
また、派遣された兵士18人が一時脱走を試みたという情報もあり、大規模な派兵が大量脱北につながるのではないかという指摘も出ています。
そういったリスクを抱えながらも、北朝鮮としてはウクライナ侵攻の長期化でロシア側が疲弊する今の内に軍事的に協力し、より多くの見返りを求めたいという考えがあるとみられます。
ここからはスタジオからお伝えしていきます。
――ロシアへの派兵は様々な見返りを狙ったものという見方もあるようですが、西側諸国はどう見ていると思いますか?
スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
見返り以外にもメリットがあるとアメリカ側のアナリストが指摘しています。例えば、北朝鮮の兵士はよく訓練はするんですが実戦の経験がない。また、ミサイルは開発するけど戦場で使ったことがない。今回参戦することによって経験値も上げて功績を作ること、実績を作ることができたら有事の時にも便利だし、ミサイルの売買にも有利ではないかと読まれています。
――日本としてはどう見ていけばいいですか?
立石修解説委員室長:
ロシアは日本海を挟んで日本のすぐ隣にある国。そこに今、北朝鮮の兵士が歴史上、初めて配備されて実戦に投入される可能性が出ていると。つまり極東周辺で新しい強力な軍事同盟の姿が見えつつある。したがって日本の安全保障東アジア全体の安全保障にも大きく影響してくると思います。