試合終了後、スタンドへあいさつに向かう巨人の選手たち(21日)=大石健登撮影

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 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は21日、セ・リーグのファイナルステージ(6試合制)の第6戦が行われ、DeNAが巨人を3―2で破り、通算4勝3敗(巨人のアドバンテージ1勝を含む)として、7年ぶりとなる日本シリーズ進出を決めた。

 最優秀選手はDeNAの戸柱と発表された。DeNAとソフトバンクが対戦する日本シリーズは26日、横浜スタジアムで開幕する。

 DeNAが総力戦を制した。2点を追う五回に森敬の適時三塁打、代打フォードの適時打で同点。四回途中から継投策に出て無失点でつなぎ、九回に牧の適時打で勝ち越した。巨人は敵失とスクイズで四回までに2点リードしたが、その後は好機で決定打を欠いた。

 勝った方に、日本シリーズへの道が開ける最終決戦。今CSを象徴するように1点を争った競り合いで、巨人は敗れた。12年ぶりの日本一への夢が断たれ、選手たちは悔しさを押し殺しながら、東京ドームを埋めたファンに頭を下げた。

 総力戦を掲げ、菅野、グリフィンもブルペンに控えた。打線はなかなか快音を響かせられなかったが、初回、敵失に乗じて先取点を挙げ、四回にはスクイズを決めて泥臭く2点目をもぎ取った。しかし、五回に追いつかれると、九回に勝ち越し点を許し、力尽きた。

 後がなくなった崖っぷちから、阿部監督はあらゆる手を打った。左手首骨折から実戦復帰したばかりのヘルナンデスを調整中の宮崎から緊急招集し、肋骨を折った吉川もベンチに加えた。3連敗から2連勝。リーグ制覇を成し遂げたレギュラーシーズン同様、よく粘った。

 来季、さらに進歩するための課題はある。今CS計6試合でわずか9得点。チームの首位打者・吉川がシーズン終盤に担った3番が固まらず、1番の丸を充てざるを得なかった。深刻だったのが5番だ。大城卓、坂本、ヘルナンデスが担ったが6戦で安打は一本も出なかった。4番の岡本和は孤立し、この日も初回の好機で申告敬遠で歩かされたのが、象徴的だった。打線に厚みを持たせるため、中心選手を脅かす若手のさらなる台頭が必要だろう。

 試合後、阿部監督は選手たちを集めて語りかけた。「(リーグ)優勝した自信は持っていてほしい」。その上で、こう求めた。「分析だったり、自問自答をしてくれ。こういう難しい試合を勝てなかった悔しさは、必ず来年につなげてほしい」。一人ひとりの思いの強さが、日本一奪回への力になる。(平山一有)