相続に強い専門家は「相続会議」などのポータルサイトで探すのがお勧めです(c)Getty Images

東京都杉並区は23区の西側に位置し、新宿や渋谷、東京、銀座といった都心へのアクセスもしやすいエリアです。区内に点在する高級住宅街に居を構える方は多額の資産を持つケースも多いため、亡くなった際の相続トラブルに注意が必要です。弁護士をはじめとする各種窓口に相談し、円滑に手続きを進めましょう。杉並区在住の方が利用できる無料相談窓口や、専門家の効率的な探し方を紹介します。

1. 杉並区にある相続の無料相談先9選

相続手続きをスムーズに終えるためには、専門家や行政機関に相談してアドバイスを求めるとよいでしょう。

杉並区在住の方は、主に以下の無料相談窓口を利用することができます。

【お勧め】杉並区内にある相続の専門家事務所

東京三弁護士会による無料電話相談

東京税理士会杉並支部・荻窪支部

東京司法書士会杉並支部

杉並区役所

法テラス(日本司法支援センター)

東京都行政書士会杉並支部

東京法務局

杉並税務署・荻窪税務署

1-1. 【お勧め】杉並区内にある相続の専門家事務所

相続手続きに関する質問やトラブルの解決は、相続案件を豊富に取り扱う専門家に頼るのがお勧めです。

杉並区内には多くの弁護士、司法書士、税理士が事務所を構えており、30分から60分ほどの初回無料相談を実施している事務所もあります。

専門家によって業務範囲や費用が異なるため、自分の悩みに沿った専門家を見極めることが重要です。たとえば、相続トラブルが起こっている場合は弁護士、不動産の相続登記は司法書士、節税対策や相続税申告は税理士に相談しましょう。自宅近くで相続に強い専門家の事務所を探すなら、「相続会議」のようなポータルサイトの利用がお勧めです。

なお、相談は無料でも、専門家へ実際に依頼をする場合は費用が発生します。正式に契約を結ぶ前に着手金や報酬など具体的な金額や仕組みを必ず確認し、見積もりを作成してもらいましょう。

1-2. 東京三弁護士会による無料電話相談

弁護士は相続手続き全般に対応できる専門家です。税務に関しては、国税局長に税務を行う旨の通知をした弁護士が対応可能です。東京都には「東京弁護士会」「第一東京弁護士会」「第二東京弁護士会」の3つの弁護士会があり、東京三弁護士会として電話無料相談を実施しています。相談時間は15分程度で、対応してくれた弁護士にその後の面接相談の予約や依頼をすることも可能です。

また、東京三弁護士会が東京の各地域に開設している法律相談センターでは、有料の法律相談も行っています。杉並区周辺の法律相談センターは、「」「」「」です。相談費用はセンターによって異なるため、詳しくは問い合わせるようにしてください。

法律相談センターへの相談は事前予約制で、電話予約のほかに24時間が可能です。

1-3. 東京税理士会杉並支部・荻窪支部

相続税の申告や相続税対策に不安があるなら、税理士への相談を検討しましょう。税理士を統括する税理士会とその支部が全国に設置されており、杉並区には東京税理士会のとがあります。

どちらの支部も税理士による無料相談会を定期的に開催しています。相談内容は税に関することなら幅広く受け付けており、相談時間は杉並支部が40分、荻窪支部が45分程度で、いずれも事前予約制です。

また、東京税理士会の「」では、面談形式に加え電話やオンラインでの相談も受け付けています。相談時間はいずれも25分以内で、電話相談は予約不要ですが、対面とオンライン相談はホームページから予約が必要です。また、すでに税理士や公認会計士に依頼している人は相談不可、税額計算や申告書の作成やチェックは対象外といった注意事項があるので、利用する前に確認しておきましょう。

1-4. 東京司法書士会杉並支部

司法書士は相続登記や紛争性のない相続手続きに対応してくれる専門家です。東京都の司法書士を統括しているのは東京司法書士会で、杉並区にはがあります。相談会の情報は東京司法書士会ウェブサイトの杉並支部のページから確認できます。

また、では、対面に加えてWEBによる無料法律相談を実施しています。WEB相談は自身のPCやスマートフォンを用いて、自宅にいながら専門家に相談することができます。相談時間は対面、WEBともに一人40分以内です。予約が必要なので、相談を希望する場合は東京司法書士会へ問い合わせてみましょう。

さらに、東京司法書士会は、電話で法律相談できる「」を設け、法的なアドバイスや一般的な法律知識の提供をしています。電話がつながった後に司法書士ホットラインで相談したい旨を伝えると、スタッフが相談内容を聞き、適切な司法書士を紹介してくれます。相談時間は10分程度ですので、あらかじめ相談内容をまとめておくとスムーズです。

1-5. 杉並区役所

杉並区では、区民向けに、、を行っています。いずれも電話もしくは来庁による予約制で、1回あたりの相談時間は30分以内です。また、同一年度内の相談回数は一人3回まで、弁護士による相談に関しては同一内容の再相談や継続相談はできないといった制約もあります。

区役所の相談窓口は気軽に利用できるものの、相続案件に詳しい担当者がいるとは限らず、個別の事情を含む複雑な相談はできません。そのため、いきなり専門家事務所に相談するのに抵抗がある場合や、どこに相談したらいいかわからない場合の第一歩として、区の窓口を活用するのがよいでしょう。

1-6. 法テラス(日本司法支援センター)

法テラス(日本司法支援センター)は、弁護士や司法書士といった法の専門家に対して市民がアクセスしやすくなるよう設立された公的機関です。東京都内には複数の法テラスがあり、杉並区在住の方は「」が最寄りの窓口です。

法テラスでは、経済的に困難を抱える方を対象に無料の法律相談を行っています。相談は法テラスの事務所や各地域に設置された相談場所、または法テラスと契約している弁護士や司法書士の事務所で対応しています。

収入と資産がいずれも一定水準以下の方に限り、同一問題につき1回30分の無料法律相談を3回まで利用できます。事前の予約が必要で、予約時には収入や資産を回答する必要があるので、あらかじめ準備しておきましょう。電話予約のほか、インターネットからの予約も可能です。

法テラスの窓口から無料相談を申し込む場合は弁護士や司法書士を指名できません。もし相談する専門家を自分で選びたい場合は、法テラスと契約している弁護士や司法書士に先に相談して、その弁護士ないし司法書士を通じて法テラスの利用を申し込む方法もあります。

なお、以下の条件に当てはまる方で相談場所へ赴くのが困難な場合、専門家が自宅や入院先等に出向いてくれる出張相談を利用できる可能性もあります。詳細は電話で問い合わせてみましょう。

65歳以上の高齢者

心身に重度又は中度の障がいがある方

既設の相談場所まで公共交通機関利用で往復3時間以上を要する地域に居住する方

その他、やむを得ない事情がある方

1-7. 東京都行政書士会杉並支部

行政書士は遺言書の作成や成年後見などに対応できる専門家です。

では定期的に「書類と手続きなんでも相談会(無料相談会)」を開催しています。杉並区居住や勤務でなくても利用可能で、相続や遺言、成年後見など幅広く相談することができます。予約が必要な場合があるため、相談を希望する場合はあらかじめ杉並支部のウェブサイトで確認しておきましょう。

なお、行政書士は相続トラブルや相続税申告には対応できません。自分の困りごとが行政書士に相談・依頼できる内容なのかは事前に把握しておきましょう。

1-8. 東京法務局

法務局では相続した不動産の名義変更、いわゆる相続登記を取り扱っています。相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局または地方法務局の本庁または出張所に申請して行います。

東京法務局は都内各地に支局や出張所を開設しており、どこでも相談できますが、相続する不動産を管轄する法務局に相談するのがお勧めです。杉並区に所在する不動産を管轄しているのはです。東京都内にある法務局は「」からも確認できます。

また、東京法務局では、完全予約制で対面・電話・Webによるを行っており、1回あたり20分以内で申請書の記載方法等のアドバイスをしています。ただし、申請書類に記載された内容と実態の整合性の調査や、個別の事例に合わせた書類の作成依頼は対応範囲外なので注意しましょう。

1-9. 杉並税務署・荻窪税務署

税務署では相続税の申告や納付を受け付けています。
相続税は国税であるため、相続税がかかる場合は亡くなった人の住所地を管轄する税務署で申告と納付を行いましょう。杉並区を管轄しているのはもしくはです。東京都内の管轄税務署は「」で確認することができます。

また、税務署では申告書の書き方や相続税の計算など、相続税申告の手続きに関する一般的な相談を電話・対面で受け付けています。対面の相談には事前の予約が必要です。なお、申告書の代理作成や節税のアドバイスは行っていないため注意しましょう。

2. 杉並区で相続の無料相談先を選ぶ際のポイント

杉並区在住の方が相続に関する無料相談先を選ぶ時は、以下の点を参考にしましょう。

相談方法や場所がライフスタイルと合っているか

相談内容と相談先の対応業務が一致しているか

相談に対して必要なアドバイスが受けられるか

依頼を検討している場合は専門家事務所へ

2-1. 相談方法や場所がライフスタイルと合っているか

相続の相談先は公的機関や専門家事務所など多数ありますが、それぞれ受付時間が決まっています。仕事で忙しく平日日中に時間が取れない場合や、窓口に出向くのが難しい場合は、夜間や土日の相談に応じている窓口や電話・オンラインでの相談に対応している窓口を探しましょう。

また、専門家に相続手続きを依頼した後は通常、何度か事務所を訪れる必要が出てくることから、依頼まで検討している場合は自宅や最寄り駅、職場等から行きやすい事務所を選ぶことをお勧めします。

2-2. 相談内容と相談先の対応業務が一致しているか

相続手続きに関係する専門家は主に弁護士、司法書士、税理士です。自分が抱えている困りごとが、どの専門家の担当分野なのかをあらかじめ確認しておきましょう。

相続において弁護士、司法書士、税理士が取り扱っている業務は、以下のとおりです。

■弁護士:法律に関する業務全般(紛争性があるものを含む)
・相続財産の調査
・相続人の調査
・遺産の名義変更手続き
・遺産分割
・遺留分侵害額請求
・遺言書の作成
・相続放棄(書類作成+代理)

■司法書士:登記手続き、その他、紛争性がない相続手続き
・相続財産の調査
・相続人の調査
・遺産の名義変更手続き(特に不動産の相続登記)
・相続放棄(書類作成のみ)

■税理士:税金に関する業務
・相続税の申告
・生前の相続税対策(タックスプランニング)

2-3. 相談に対して必要なアドバイスが受けられるか

申請書の書き方や必要書類の過不足確認といった一般的な相談であれば、自治体の無料相談や税務署の窓口で十分でしょう。一方で、個別の事情が含まれた具体的な相談、節税対策や申告書作成等の依頼をしたい場合は、相談内容に応じて弁護士、司法書士、税理士といった専門家の事務所へ行くことを検討しましょう。

自治体の相談会でも専門家が応じてくれますが、複雑な案件の相談には対応していない場合が多いです。もし個々の状況に合わせたアドバイスが欲しければ、最初から相続案件の経験が豊富な専門家事務所を選びましょう。

2-4. 依頼を検討している場合は専門家事務所へ

専門家には相談するだけで、手続き自体は自分で行う予定であれば、公的機関の無料相談のみで十分です。しかし、「専門家への依頼を視野に入れている」「相談だけでなく手続きも任せたい」という場合は、はじめから専門家の事務所に相談するのがお勧めです。

なお、経済的な理由で依頼費用が準備できない場合は、法テラスの利用を検討しましょう。依頼者の収入や資産が一定の水準以下の場合、法テラスが弁護士や司法書士への依頼費用を立て替えてくれます。ただし、税理士費用に関しては立替えの対象外なので注意しましょう。

また、法テラスは弁護士や司法書士を通じて利用することもできます。お近くの弁護士や司法書士で法テラスの利用ができるかどうかを問い合わせてみましょう。

3. 杉並区内の無料相談を有効活用するコツ

慣れない相続手続きを進めるうえで強い味方になってくれるのが、専門家の事務所や公的機関等で受けられる無料相談です。しかし、そのような無料相談には制限時間があります。限られた相談時間を最大限有効に使うためには、次の3点に留意しましょう。

聞きたいことをメモに残しておく

相談内容に関係のある資料を持参する

事実を正確に伝える

3-1. 聞きたいことをメモに残しておく

無料相談の1回あたりの相談時間は30分~60分程度です。聞きたいことや自分がどうしたいかという最終的な希望を明確にしてメモにまとめておくことで、聞き漏らしや「何が聞きたかったかわからない」といった事態を防ぐことができます。

3-2. 相談内容に関係のある資料を持参する

相談に行く際には、内容に関する資料を持参することをお勧めします。例えば以下のような書類があるとよいでしょう。

財産に関する資料(不動産の登記事項証明書、預貯金通帳の写し等)

亡くなった人の戸籍謄本

遺言書(遺言書がある場合のみ)

生前贈与に関する資料(自分が受けたもの、他の人が受けたもの)

また、相続に関する出来事を時系列にまとめた資料も役に立ちます。特に、すでに相続トラブルが起きてしまっているような場合には「いつ何が起きたか」といった事実関係を整理できるため、専門家へ伝えやすくなります。

3-3. 事実を正確に伝える

相続に関するよりよいアドバイスを得るためには、事実を正確に伝えることが大事です。

全てを正直に伝えるのは憚られることもあるかもしれませんが、自分に都合の悪いことを隠していると的確なアドバイスが得られないだけでなく、相談している専門家からの信頼を失い、依頼を断られる可能性もあります。

相続相談をする際には、真実を正確に伝えましょう。

4. 相続問題に詳しい専門家の探し方

相続問題に詳しい専門家を探す方法としては、以下の例が挙げられます。

検索エンジンを活用する

知人から紹介してもらう

ネットの口コミも参考にする

効率よく探すなら相続ポータルサイト「相続会議」を利用する

4-1. 検索エンジンを活用する

相続手続きで専門家の力が必要になった場合、自分に合う事務所はどうやって見つけたらよいのでしょうか。有効なのがGoogleなどの検索エンジンです。

例えば、「弁護士 杉並区 相続 無料相談」で検索をすると、杉並区にある弁護士事務所のウェブサイトが見つかります。複数の事務所が出てくる場合もありますが、それぞれのサイトで受付時間や得意分野を確認し、自身の希望に合う専門家を選びましょう。

4-2. 知人から紹介してもらう

専門家探しで強い助けとなるのが、知人からの紹介です。もしその知人が、実際に相続の困りごとを抱えて専門家の力を借りた当事者であればなおさらです。

紹介してもらう専門家が自分の困りごとに対応してくれそうか、事務所の受付時間や相談方法は自身のライフスタイルにあっているか等を確認したうえで、相談を検討しましょう。

4-3. ネットの口コミも参考にする

「検索して見つけた事務所の評判を知りたい……」。そんな時に有効なのが、ネットの口コミです。有名な事務所であれば利用者も多いことから、さまざまな意見が書かれています。

多くの人から集まった口コミは専門家選びの助けになる面もあるでしょう。ただし、感じ方は利用者それぞれなので、ネットの口コミを鵜呑みにはせず、あくまで参考程度にするのがお勧めです。

4-4. 効率よく探すなら相続ポータルサイト「相続会議」を利用する

相続ポータルサイトの「相続会議」には、相続案件の経験が豊富な弁護士や司法書士、税理士の情報が掲載されています。エリアや相談内容を指定して検索できるため、自宅近くで自分に合った専門家を効率的に探すことができます。

また、「相続会議」には初回無料の相談を受け付けている専門家も多数掲載されています。相続でお悩みの際は「相続会議」をぜひご利用ください。

5. 杉並区の相続事情

新宿や大手町などの都心にアクセスのよい杉並区の人口は約57.2万人(2024年1月1日現在)です。区内には300を超える区立公園が整備されており、緑が多く子育て世代から高い人気を誇っています。

また、2024年における杉並区の住宅地の地価公示価格は60万200円で、2023年から4.9%上昇しています。一般的なサラリーマン家庭でも、持ち家がある場合は相続税の基礎控除を超える可能性もあるため、その場合は相続税の申告や納付が必要です。

加えて、総務省の家計調査によれば、2023年の東京都区部における2人以上の世帯の平均収入は816万円、平均貯蓄額は2720万円と、同年の他の都市よりも多い結果となっています。そのため、亡くなった方が多額の財産を残す例も多く、遺産相続に関するトラブルが起こりやすい傾向にあります。裁判所による「」によると、杉並区を含む東京都を管轄する東京家庭裁判所が2023年に取り扱った遺産分割事件(終局区分別)は1,768件と、全国の家庭裁判所で最も多い件数となっています。

相続対策はトラブルを防ぐ意味でも生前から取り組んでおくのが効果的です。家族で話し合いを持ったり、相続に詳しい専門家に話を聞いたりするなど、早いうちから将来的な相続を見据えた対策を取っておきましょう。

6. まとめ 相談内容に応じた専門家の使い分けが大事

杉並区内には、専門家や自治体その他公的機関が設置する無料相談窓口が充実しています。

相続に関する具体的な対策を知りたい場合や実際に手続きを依頼したい場合は、弁護士、司法書士、税理士などの専門家に相談することが大切です。また、相続手続きの中には期限が設けられているものもあるので、ひとりで抱え込まずなるべく早めに相談しましょう。

相続案件の経験が豊富な弁護士、司法書士、税理士を探す際は、相続ポータルサイトの「相続会議」が便利です。お住まいのエリアや相談内容から検索し、初回相談無料の専門家を簡単に見つけることができますので、ぜひご活用ください。

(記事は2024年9月1日時点の情報に基づいています)