これ試してみて…秋の乾燥と冷えを撃退する「超かんたん」な2つの方法

写真拡大 (全4枚)

「中医学は“季節の養生”と言われるほど、季節や暦を重視する」と語るのは、中医学と心理学の両面から、健康に過ごすための「生活習慣」を提案する、SNSでも大人気の漢方コンサルタント・櫻井大典氏。

長引く暑さの疲れが抜けないまま一気に秋に突入し、疲れがとれない、咳が続く、あるいはメンタル面での落ち込みなどに悩んでいる人も多い頃ではないでしょうか。

本稿では、数千年という歴史に裏づけられた中医学の知恵と四季折々の暦をもとに、ベストセラーとなっている同氏の著書『二十四節気の暦使い暮らし かんぽう歳時記』より一部を抜粋・編集しながら、秋の不調にうってつけの食材と、心がけたい生活習慣について紹介します。

「秋の不調」が起こるメカニズム

ようやく残暑が収まり、秋の深まりが感じられる季節になりました。秋はもともと五臓(※)の肺に負担がかかりやすい時期ですが、感染症やインフルエンザ対策でマスクをすることが増えると、ますます肺の負担が大きく……。

マスクをする時間が長いほど肺に負荷がかかり、肺が弱ると、体表を守るエネルギーである「衛気(えき)」の力が弱まり、結果として防衛力が落ちてしまいます。鼻、喉、皮膚といった呼吸器系、そして肺とつながりがあるとされる「大腸の調子」にも注意が必要となります。

中医学的には、秋は “収穫”のタイミングなので、積極的に活動するのではなく、徐々にスローダウンしていき、静かに過ごしたいところ。とくに、春夏に頑張ったことを静かに振り返り、実りを得るのに適した時期です。

そして、寒暖差が激しくなることから、呼吸器系にトラブルが出やすい時期。秋の花粉によるアレルギー症状が出始める人もいるでしょう。秋の五臓の肺が乾燥すると、咳が出る・疲れが取れない・やる気が出ないなど、さまざまな不調につながってしまいます。

また、肺は“悲しみ”の感情とつながる臓。メンタル面では、気分の落ち込みや不安など、ネガティブな感情がさらに強くなる頃です。

秋の養生キーワードは「滋陰」「補肺」

この時期、気をつけたい養生のポイントは「滋陰(じいん)」と「補肺(ほはい)」。食べ物や加湿で身体の潤い(=陰)を補給しつつ、肺を丈夫にするという意味です。

秋の養生は、一にも二にも“加湿”だと覚えておきましょう。とくに、肺はあらゆる臓の中で、唯一、外気と接する場所。ゆえに、乾燥や冷えは、肺にとって一番の大敵となります。

肺が弱まると、冬に下痢をしやすくなったり、体力の消耗から風邪をひきやすくなったり。外気の影響をダイレクトに受ける肺を守るためには、単に加湿器などを使用するだけでなく、ホットヨガやサウナでの過度な発汗を避けましょう。

「発酵食品」が秋の不調に効くワケ

さらに、肺は経絡(全身に気を運ぶ道)を通して大腸とつながっていると考えられ、大腸がととのうことは、肺をととのえることにつながります。そこで、粘膜が敏感な人をはじめ、この時期は特に、味噌や醤油など、腸内環境に良いとされる「発酵食品」がおすすめです。

また、大腸とつながる肺は、肌も司るため、大腸をととのえることは肌をととのえることにもなります。

納豆や漬物屋さんで丁寧に作られた漬物などは、とくにおすすめ。できればヨーグルトやキムチなどではなく、日本古来の発酵食品を、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

たとえば、本枯れ節。もちろん普通の鰹節でもいいのですが、さらに熟成させて菌で発酵させた本枯れ節は、とても優秀な発酵食品です。この秋、ぜひ食卓に取り入れてみてください。

…つづきの<「これ、止めてみて」…秋の季節の変わり目に《やってはいけない》2つの意外なこと>でも、秋の身体の不調をスッキリ解消し、免疫力を高める、秋の「生活習慣」について紹介します。

(※)中医学の思想で「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」という。五行は、季節や感情(五志)などともつながる。

「これ、止めてみて」…秋の季節の変わり目に《やってはいけない》2つの意外なこと