「井上戦実現はありえない」米興行関係者も断言 JBCの出場停止処分が下ったカシメロに母国でも逆風「ふざけた態度」

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蛮行を繰り返しても、悪びれないカシメロ。そんなフィリピン人戦士に厳しい意見が飛び交っている。(C)Getty Images

 これ以上の蛮行は許されない。10月16日、元ボクシング世界3階級制覇王者のジョン・リエル・カシメロは、日本ボクシングコミッション(JBC)から日本での試合に関して1年間の停止処分を科されたことが判明した。

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 自業自得と言っても過言ではない決定である。カシメロは今月13日に行われたWBO世界バンタム級8位サウル・サンチェス(米国)戦の前日計量で、スーパーバンタム級のリミット(55.3キロ以下)から1キロの体重超過。2時間以内に行われた2回目の計量も600グラムのオーバーとしていた。

 その後、当日計量128ポンド(58.1キロ)以下という条件でサンチェス陣営と合意したカシメロは、当日計量58.0キロで試合を実施。衝撃の1回KOで勝利していた。

 JBCは「体重超過をした外国人選手は自動的に1年間の出場停止処分が科される」としており、サンチェス戦後のリングインタビューで「昨日の計量でオーバーしてしまったが、俺に計量なんて関係ない」と豪語したカシメロにも問答無用で処分が下された形だ。

 もはや擁護のしようがない。過去の世界タイトル剥奪も含めてプロ意識に欠ける行動を繰り返す“悪童”には、母国の識者からも厳しい意見が飛んでいる。

 日刊紙『Daily Tribune』のニック・ジョンコ記者は「ここ最近のカシメロが見せるふざけた態度は、ナオヤ・イノウエのプロモーションを任される『Top Rank』のプロモーターたちにとって、常に人気のあるフィリピン人ファイターの話し合いを遠ざけるだけだ」と指摘。「もはやイノウエ陣営にとってカシメロは眼中にない。それは当然である」と断じた。

 さらにジョンコ記者は『Top Rank』社のカール・モレッティ副社長が「カシメロがイノウエの潜在的な敵になる可能性があるか?」という問いに「ノーだ。実現はありえない」と明言したことをリポート。その上でカシメロへの厳しい持論を展開した。

「彼にパワーが残っていたのは驚いたが、コーチ陣は今以上に厳しく体重管理をすべきである。本人は『大したことではない』と気にかける素振りを見せていないが、世界タイトル獲得の可能性を高めたいなら抜本的に見直しを図り、きちんと体重を落とすことに全力傾けるべきだ」

 かつては井上尚弥(大橋)の「好敵手になり得る」と見られていたカシメロ。そんなモンスターとのメガマッチに向けたアピールの場も喪失した今、彼の取り巻く状況は絶望的と言っていい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]