映像と音声に手を加えていないことを証明する「カメラで撮影」というラベルが、YouTubeに採用されました。これにより生成AIやCGによって作られた映像と現実の映像を区別できるようになる可能性があります。

Building trust on YouTube: ‘Captured with a camera’ disclosure - YouTube ヘルプ

https://support.google.com/youtube/answer/15446725

Why labeling authentic media matters

https://www.truepic.com/blog/why-labeling-authentic-media-matters

コンテンツの出所を保証する「C2PA」の規格に沿ったカメラでクリエイターが映像を撮影し、YouTubeにアップロードすると、YouTubeはC2PAに基づくメタデータを検知して、動画の概要欄に「カメラで撮影」というラベルを付与します。視聴者は概要欄から「カメラで撮影」というラベルを確認することができるため、動画が手を加えられていないものであるかをすぐに確かめられます。



C2PAとは、MicrosoftやAdobe、OpenAIなど複数のテクノロジー企業が合同で運営している団体であり、コンテンツにAI使用履歴や作者の情報を付与する「Content Credentials(コンテンツクレデンシャル)」などの規格を策定してテクノロジー機器への導入を進めています。すでにコンテンツクレデンシャルが採用された「ライカ M11-P」というカメラが登場しており、このカメラで撮影した写真にはコンテンツクレデンシャルに基づくメタデータが付与されます。

世界で初めてAI使用履歴や作者の情報を画像に付与する「コンテンツクレデンシャル機能」を内蔵したカメラ「ライカ M11-P」 - GIGAZINE



YouTubeによると、「カメラで撮影」というラベルが付与されるためには、上記のような特殊なカメラやソフトウェア、あるいはモバイルアプリなど、C2PA(バージョン2.1以上)をサポートするツールを使用して映像を撮影しなければならないとのことです。

加えて、映像の出所をたどれなくするような編集、例えばC2PAに対応した映像をC2PAに対応していないカメラで撮影するなどの処理を行うと、ラベルの付与が行われなくなる可能性があります。

「カメラで撮影」ラベルは、C2PA創設メンバーの一員であるTruepicの協力で実装されました。Truepicは「カメラで撮影」ラベルを付けた最初の動画を以下の通り公開しています。この映像は、YouTubeに世界で初めて投稿された動画「Me at the zoo」と同じ場所で撮影されているとのことです。

I am really at the zoo - YouTube

なお、YouTubeは「カメラで撮影ラベルは、クリエイターがC2PA技術を使って映像を撮影した場合にのみ表示されるものであり、表示されないからといって音声や映像が編集されているというわけではありません」と補足しています。加えて、編集された映像をC2PA対応カメラで撮影し、「カメラで撮影」のラベルが付与されるリスクがあることにも留意する必要があると指摘しました。