山本舞香

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 日本テレビ系「アナザースカイ」の新MCに就任すると発表された女優の山本舞香に、早速SNSでは批判の声も上がっている。ライターの冨士海ネコ氏が分析する、「批判はされやすいが炎上はしない」という山本独特の立ち位置とは。

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 新MCが山本舞香さんと発表されたばかりの日本テレビ系「アナザースカイ」、空模様は雨といったところだろうか。前任の八木莉可子さんとは正反対の山本さんのキャラクターに、顔をしかめる人も少なくないよう。本人はその手の過去を否定しているのに、ずっとついて回る「ヤンキー」感が原因のようだ。

山本舞香

 圧倒的な美貌を持ちながらも、それを帳消しにするような勝ち気な言動の数々は、山本さんの知名度を大きくアップさせた。実兄の恋人が家に来た時、あいさつをしろと促されても「は? ここまいかんちだから(彼女が先にあいさつするべき)」と答えたエピソードは今も語り草だ。TikTokなどSNSでこすられつづけている。

 強気さは家族のみならず、番組共演者にも向けられる。4年間レギュラーを務めた「王様のブランチ」では、ゲストの女性と目も合わせず仏頂面だったことが大きく批判を浴びた。同性にはライバル意識をむき出しにしながらも、共演した年上の男性や恋人には甘えた顔を見せるのも反感を買いやすい点なのだろう。共演経験のある藤森慎吾さんや松岡昌宏さんにはかわいがられており、YouTubeや番組での仲良しぶりが伝わってきた。インスタでは現在の恋人であるMY FIRST STORYのHiroさんが撮影した写真を投稿するなど、ラブラブな様子を隠さない。

 山本さん自身、批判されやすい自分の性格をよく分かっているようだ。バラエティーでは何度となく「私は性格が悪いので」「バチくそたたかれる」と発言。それだけに、なぜよりにもよって「アナザースカイ」MCなのか、と視聴者が疑問を持つのも当然だろう。でも、改めて調べて思った。山本さんは確かに生意気だが、炎上するほどの失言は意外と無いのである。それは山本さんの「正直で何が悪いの」というかたくなな態度こそが生んだ、予期せぬ好結果だったのではないだろうか。

サービス精神の無さが生む炎上リスクヘッジ ポジショントークをしない山本さんの強さ

 山本さんは「うそをつかない」ことを信条とし、最善だと信じているのだろう。だから好き嫌いがすぐ顔に出るし、ちょっとしたことでも受け流すことができない。「かわいい〜」とか「おいしい〜」とか、「ブランチ」で乱発されるワードにいちいち抵抗する。

 おそらく、場を円滑に回したり和ませたりするためのフォローや受け答えをする人を、「こびている」「うそつき」と嫌悪しているのではないか。確執がうわさされた女性ゲストと別のバラエティー番組に出た時も、山本さんを「小悪魔っぽい」と褒めた相手にカチンときたのか「そっちもスタッフに抱きついたりしてますよね」と吐き捨て、場を騒然とさせていた。宣伝で出演したからには、内情はどうあれ表面上は仲良く。そういう「お約束」を守った相手に対し、「いい子ぶってんじゃねえよ」と言わんばかりに切り返されては相手のメンツは丸つぶれだ。自分の信念を曲げないことは山本さんの魅力の一つだが、大人げないと言われても仕方ないだろう。

 ただ、ポジショントークを「こび」と嫌う山本さんだが、それはそれで良いこともある。それは、余計な炎上の種をまかないということだ。

 女性タレントの炎上で最も多いのは、要らぬことを言う、という舌禍事件である。それはある種のポジショントークから生まれることも多い。「無邪気な美少女として」「おバカタレントとして」「サバサバ系ご意見番として」……広瀬すずさんの「なんで照明さんになろうと思ったんだろう」、フワちゃんの「死んでくださーい」、和田アキ子さんの「トドみたいでかわいい」は、自分のキャラ通りのコメントを口にするという、リップサービスと言えなくもない。視聴者はともかく、隣にいるタレントたちが笑ってくれることを意識した発言だ。しかしそのサービス精神が、大きな炎上につながった。

 でも山本さんに、その手の行動は見られない。むしろその場で求められるコメントを、絶対に言ってやるものかという反抗心のほうが強く出ている。ポジショントークに乗らないというサービス精神の無さは、視聴者の反感を呼ぶ一方で、失言リスクを下げるという大きなメリットを番組にもたらしているように思うのである。

みちょぱに橋本環奈……令和の人気者はポジショントークに乗らない人だらけ

 考えてみれば最近の人気女性タレントは、ポジショントークをスルーする人が多い。例えばみちょぱさんは「ギャル=おバカ、無礼」という構図に簡単に乗らないからこそギャルタレントの中で一つ抜けた存在になった。橋本環奈さんもアイドル然とした華のあるルックスだけでなく、地に足の着いた考え方や振る舞いが高く評価されている人だ。二人ともコメントがなかなか冷めているというか、自分の人気など一過性のものだと突き放している印象を受ける。面白いのはみちょぱさんも橋本さんも、山本さんと大の仲良しというところ。類は友を呼ぶということだろうか。

 とはいえ、もし山本さんが、場や相手に応じて空気を読むことを「相手や世間にこびる」と捉えて突っぱねていては、ゲストを招く「アナザースカイ」に向いていないのは確か。でも隣には今田耕司さんという歴戦の名MCがいるし、最初から仕切り役など求められていないはずだ。さまざまな分野の年上男性たちから妹分としてかわいがられてきた山本さんのこと、今田さんにもしっかりフォローしてもらえることだろう。

 ちなみに山本さんの憧れは、加賀まりこさんだという。ドラマ「南くんが恋人!?」では加賀さんの若い頃を演じ、加賀さんからも「若い頃の自分に“空気”が似ている」と太鼓判を押されていた。その加賀さんも「夜のヒットスタジオSUPER」で司会に抜てきされたときは、歯に衣着せぬ物言いでアーティストたちを困惑させたと話題になったが、今では加賀さんの持ち味を語る実績の一つとして受け入れられている。この先山本さんが第二の加賀さんになれるのか、ただの幼稚な生意気キャラで終わるのか、それは1年先の天気予報程度にしか分からないだろう。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部