大谷翔平が超絶能力を発揮した(ロイター=USA TODAY Sports)

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 栄冠ロードはまだまだ続く――。ドジャースは11日(日本時間12日)に本拠地ロサンゼルスで行われたパドレスとの地区シリーズ第5戦を2―0で制し、3年ぶりにナ・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。大谷翔平投手(30)は4打数無安打に終わったものの、目には見えない不思議パワーの存在が指摘されている。それはプレー以外でチームを突き動かす“言霊”だという。

 悲願成就まであと8勝だ。2度目のシャンパンファイトを味わった大谷は泡まみれになりながら「厳しいシリーズでしたけど、いいゲームだったと思います」と喜びをかみ締めた。

 ダルビッシュ有投手(38)との対決では空振り三振、三飛、空振り三振と完璧に抑え込まれた。それでもチームにはしっかりと貢献していた。この日の先発で5回無失点と好投した山本由伸投手(26)は第1戦(5日=同6日)で3回5失点の背信投球。しかもこの日はチームの進出か敗退かが決まる運命の一戦だった上に、ポストシーズン(PS)で日本選手同士が先発で投げ合う史上初の大舞台だった。

 大谷はかわいい後輩が大役を果たした直後のベンチで頭をナデナデ。歓喜の宴では顔面にシャンパンを噴射したが、前回の山本の降板後には「(チームが)勝ってよかったな」と声を掛け「場数も踏んできた投手。次に向けてしっかりと切り替えて、次は素晴らしいピッチングができるんじゃないかなと思います」と言葉で鼓舞していた。

 さらに、チームが1勝2敗で敗退寸前に追い込まれた3戦目の試合後には「後がないとかという感覚自体が今の僕にはない。2連勝すればオッケー。そういうゲームだと思っています」とネガティブ要素を一切排除し、前だけを見据えていた。

 こうした言動に球界関係者からは「昨年のWBC決勝戦前にも侍ジャパンのメンバーに『あこがれるのはやめましょう』と言って米国代表を破って世界一に返り咲いた。大谷が口にする言葉には不思議な力があるのでは」との声も上がる。

 もちろん言葉だけではない。大谷は第1戦の2回の第2打席で豪快な同点3ランを放ち、初回に山本が喫した3失点を一時帳消しにした。自身にとって初のPSで早々とバットから快音を響かせ、チームを勢いづかせたことは確かだ。

 大谷に“魔法”をかけられ、すっかり別人のようによみがえった山本も「前回登板した後にたくさん声を掛けてくださった。今日もポジティブな声掛けをたくさんしていただきました」と明かした。やはり大谷の言葉には何かがあるようだ。

 もっとも当の大谷の目は次に向けられている。勢いに乗るメッツとのリーグ優勝決定シリーズは13日(同14日)に開幕する。「初戦が大事になる」。次の関門を突破し、ドジャース入団時に公言した「ワールドシリーズで勝つ」との究極目標へ走り続ける。