ボーイングのロゴ=AP

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 【ニューヨーク=小林泰裕】米航空機大手ボーイングは11日、数か月以内に全従業員の約10%にあたる約1万7000人を削減する方針を発表した。

 9月から続くストライキで工場が停止して損失が拡大しており、財務基盤の立て直しを急ぐ狙いがある。

 ボーイングでは、労働組合が9月13日、会社側の賃金の引き上げが不十分として16年ぶりにストに踏み切った。この影響で航空機生産の大半が停止し、10月下旬に発表予定のボーイングの2024年7〜9月期決算は、最終利益が約60億ドル(約9000億円)の赤字となる見通しだ。前年同期は約16億ドルの赤字だった。

 また、ボーイングは、三菱重工業など日本企業が製造の2割を担う開発中の大型機「777X」の納入開始が、25年から26年に遅れることも明らかにした。777Xは当初、20年の納入開始を予定していたが、開発が難航している。

 ボーイングのケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は、「当社は困難な状況にあり、経営を立て直すには厳しい措置が不可欠となっている」との声明を出した。ボーイングは18〜19年に2度起きた小型機の墜落事故などで受注が低迷し、5年連続の最終赤字に陥っている。