声優のよこざわけい子

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声優の大山のぶ代(おおやま・のぶよ、本名・山下羨代=のぶよ)さんが9月29日、老衰のため亡くなった。90歳だった。所属事務所が11日、公表した。親族のみで密葬を済ませたという。

テレビ朝日系アニメ「ドラえもん」で、ドラえもんの妹「ドラミ」の初代声優を担当したよこざわけい子が日刊スポーツに追悼コメントを寄せた。

“お兄ちゃん”の突然の訃報に「ドラえもんお兄ちゃんの訃報を聞き、言葉では言い表せないような悲しみを感じています。声優業界では雲の上のような存在でいらっしゃるのに、出演者全員に気を使われる方でした」と故人をしのんだ。 大山さんの、周囲の人を大切にする人柄についても触れた。「私が出産後、初めてスタジオに行った時のことです。スタジオに1歩入ると大山さんから『おめでしう!』と言う声がかかり、大拍手で迎えられました。何と大山さんの音頭で大先輩方が早くからスタジオに集合し、私が入って来るのを待っていらしたそうです。私の出産で皆さんにご迷惑をお掛けしたのにこんなに温かく迎えていただけるなんてと、胸が熱くなりました」と鮮明に脳裏に刻まれている。「そして、大山さんが『私が選んだんだけど』とおっしゃって、プレゼントの箱を渡してくださいました。中には、生まれたばかりの時に履く靴や少し大きくなってから履く長靴まで、子供の成長に合わせた10種類が入っていたのです。この靴たちを履いてうちの娘は成長していくのだと思い、思わず涙が流れたのを覚えています」と振り返った。

思い出と敬意は尽きない。「大山さんチームのドラえもんが長く続いたのも、大山さんの大木のように出演者を包み込んでくれる暖かさがあったからだと思います。心からご冥福をお祈りいたします」と哀悼の意を表した。

よこざわは、1979年からテレビ朝日系「ドラえもん」でドラミ役を演じ、2005年の声優陣一新まで務めた。ほか、アニメ映画「天空の城ラピュタ」でシータ役、アニメ「はいからさんが通る」で花村紅緒役など、多くの名作で主要キャストを担当した。