小説家の韓江(ハン・ガン)氏 パク・ジョングン記者

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10日、小説家・韓江(ハン・ガン)氏がノーベル文学賞を受賞したという便りがもたらされ、韓国国民の熱い祝賀と歓声があふれた。韓江氏の作品に対する注文が急増し、教保(キョボ)文庫・YES24などの大型書店オンライン公式サイトが一時麻痺(まひ)して混乱が起きた。

小説『少年が来る』に感銘を受けたと明かしたシムさん(35)は「光州(クァンジュ)のその日を改めて考える契機になった」とし「世界のすべての人が韓江の本を読んで感動を感じてほしい」と話した。シムさんは受賞が伝えられると、2015年に韓江氏のブックトークでもらった記念品とサインが入った本を撮影した写真をSNSのプロフィール写真にして記念した。会食の途中で受賞の一報を聞いて近くの教保文庫を訪れた尹さん(37)は「普段からの文学ファンとしてうれしく祝うべきこと」としながら「義母にプレゼントしようと『菜食主義者』を買ってきた」と話した。

イムさん(25)は「大学は国文科を卒業して韓国文学に関心が高かったが、特に韓江が好きだった」とし「初めて読んだ時は難解だったが、その中に含まれた社会的メッセージを咀嚼するほど重量感と意味が深く心に響いてきた」と話した。

海外でもノーベル文学賞受賞のニュースを聞いたファンたちの歓呼が続いた。東京に住むAさんはX(旧ツイッター)に書店本棚の写真を投稿して「今年受賞すると予想された作家の本が片づけられ、韓江の作品が平積みされた」とし「私が生まれて東京でこのような光景を目撃することになるとは」と感激した。

フェイスブックなどSNSでも韓江氏受賞祝賀メッセージが続いた。文学評論家のヨム・ムウン氏は「密やかに近づいた国民的慶事」とし「すべてのことが奈落に向かって転がり落ちているようなこのご時世に、久しぶりに心置きなく祝える出来事」としながら喜んだ。

詩人のキム・ミョンギ氏は「そう!ノーベル文学賞はこうして受賞するもの」とし「自分の人生を小説に没頭し、ただ作品として世に出すこと、無駄なおしゃべりはせずにただ作品だけで見せること。賞は困窮する欠乏によって受けるものではなく、一人の作家が見せた渾身の充満によって受けてこそ正しい。ひっそりと、しかしついに巨大化すること」と賞賛した。

韓江氏受賞の便りに本の注文が殺到して教保文庫・イエス24などの大型オンライン書店のサイト接続がスムーズにいかない混乱も生じた。出版業界によると、教保文庫はこの日夜8時の韓江氏受賞直後、サイトへの接続がうまくいかず、サイトの読み込みが停止したという苦情が入った。イエス24にもサイトを開く時、少し遅れるという苦情があったという。

サイト麻痺の中で韓江氏の書籍も飛ぶように売れている。教保文庫リアルタイムベストセラーを見ると『菜食主義者』が1位、『少年が来る』が2位、『別れを告げない』が3位、『ギリシャ語の時間』が4位、詩集『引き出しに夕方をしまっておいた』が5位、『すべての、白いものたちの』が6位、『菜食主義者(改訂版)』が7位、『ジ・エッセンシャル』が8位、『少年が来る(特別版)』が9位を記録している。イエス24も1位から10位までを韓江氏の作品が占拠した。

オフライン書店でも完売事態が起こった。キムさん(26)は「退社後、書店にすぐに立ち寄ったが、残っている韓江の本は2冊だけだった」とし「オンライン即時決済サービスで10分後にピックアップしに行ったが、すでに他の人が持っていってなかった」とした。

韓江氏は2016年小説『菜食主義者』でブッカー賞、2017年『少年が来る』がイタリア・マラパルテ文学賞、2023年には『別れを告げない』でフランス・メディシス外国文学賞を受賞した。今年5月には湖巌(ホアム)賞も受賞している。