ペットの柴犬の写真をX(旧Twitter)に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第74回は「犬とのお留守番ルール」について。

出かけるときの犬との「約束」

9月は遠出が重なって、山口と東京に行ってきた。最近はどこに行くにも自給自足した犬のアクスタを伴っている。

徳山駅で愛犬用のお土産として長州鶏のジャーキーが売っていて、犬の喜ぶ顔を思い浮かべながら購入した。

帰宅して犬に見せた瞬間には自分のおやつだと察していて、即座に開封を急かされた。おやつへの圧がすごい。

旅先に犬のアクスタがいてくれたら、ふとしたときに灯りが心にともるような安心を得られる。とはいえ犬がいない寂しさが埋まるわけではない。どうしてだろう。仕事にしても所用にしても出かけなければいけないときに、私がお留守番をする犬に対して「行かんといて」と思ってしまうのだ。

出かけるときには帰宅する日時を伝えるのが犬とのルールである。「夜を二度越したら帰ってくるね」とか、すぐに帰ってくるときでも「夕方には帰るからね」と伝えている。そして笑顔で手を振って家を発ちながら、心のなかで「行かんといてー!」と叫ぶのだ。外に行くのはこっちやのに、おかしな話だ。

それともうひとつ、心がけていることがある。

出かけていく側が不安や寂しさを表情に出すと、犬は不安になるというのだ。人間の表情を犬はよく見ている。いくら寂しくても悲しそうに家を出たら、犬は人間が出かけていくのをネガティブな出来事だと覚えてしまい、パニックや不安になってしまうらしい。

だから「行かんといてくれー!」という心の絶叫はおくびにも出さない。どんなときも「ほなまたあとでね〜!」と元気よく両手を振るんや。

その甲斐があったのか、もしくは元来の気質かもしれんが、犬は留守番に動じないというか、ひとりの時間をちゃんと自分のものにしているように見える。帰りを待つ時間としてではなく、気ままに軽やかに自由時間を過ごしている。

まぁ母とも話していたが、犬が1日のうちひとりきりの時間はそんなに多くないので、寂しさに全身ひたる間もないのかね。せいぜい手足くらいだろうか。

母は母で、出かけるときに犬に「留守番頼んだで、気をつけや」と思うらしく、実際そう声をかけている。

昔から母は自分が出かける側でも見送る側でも「気をつけや」と言ってくれる。その声が出先でも守ってくれている気がするのだ。

ちなみに柴犬の気質は自立心が強いとか常時だれかにべったりくっついているのを好まないと言われている。そんな犬だからこそ、甘えてくれるときの愛おしさはひとしおです。