扶養内でパートをしていますが、繁忙期で給与が「10万円」になりそうです。このままでは“扶養”から出る必要がありますか?「来月もシフトを増やしてほしい」と言われているので心配です…

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社会保険料の支払いは大きな負担ですが、配偶者の扶養に入ることでその負担が免除されます。そのため、扶養の範囲内に収入を抑えて働いている人も多いでしょう。 しかし、繁忙期の月は残業が多くなってしまい、結果として収入が多くなる場合もあるでしょう。この場合は必ず扶養から出なければいけないのでしょうか? 本記事では、扶養の基準よりも収入が多くなった月が1ヶ月あった場合に、扶養を必ず出なければいけないのか解説していきます。2ヶ月超えてしまった場合についても紹介していくので今後の働き方の参考にしてください。

扶養に入る基準とは

配偶者の扶養内で働くことで、自身で社会保険料を支払わずに社会保険の保障を受けることができます。配偶者の扶養に入るためには、一定の基準を満たさなければいけません。扶養の基準は健康保険によって異なります。
主な健康保険として挙げられるのが「全国健康保険協会(以下協会けんぽ)」と「共済組合」です。そこでこれら2つの健康保険の基準を紹介します。協会けんぽの扶養の基準は以下のとおりです。


・対象者が被保険者の収入によって生計を維持されていること
・年間の収入が130万円未満(対象者が60歳以上や障害年金を受けられる年金者である場合は180万円未満)であり、被保険者の年間の収入の2分の1未満であること

上記に該当しない場合でも、「年間の収入が130万円未満(対象者が60歳以上や障害年金を受けられる年金者である場合は180万円未満)であり、被保険者の年間の収入を上回らない場合」は被扶養者として認められることもあります。
共済組合の扶養の基準は以下のとおりです。


・対象者が主として組合員の収入により生計を維持していること
・12ヶ月の累計収入が130万円未満であること
・月額の収入が10万8334円以上ある月(連続して)が3ヶ月以内であること
・雇用保険の失業給付を受給中の場合はその日額が3612円未満であること

協会けんぽや共済組合の基準から考えると、給料が10万円の月があっても1~2ヶ月あっても扶養から外れることはないと考えられます。
 

令和6年10月から社会保険に加入する対象者が拡大

もっとも、健康保険の基準を満たしていたとしても社会保険に加入しなければならない場合もあります。社会保険の対象者が拡大されているからです。
具体的には、令和4年10月から「従業員が101人以上の事業所」で基準を満たしている従業員が対象となり、令和6年10月からは「従業員が51人以上の事業所」まで拡大しています。社会保険に加入しなければいけない基準は以下のとおりです。


・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であること
・基本給や諸手当の合計が月額8万8000円以上であること(通勤手当や残業代、賞与は含まない)
・2ヶ月を超える雇用の見込みがあること
・学生でないこと

月の収入が10万円の場合は、月額8万8000円以上になってしまうので社会保険に加入しなければいけないように思えます。
しかし、この収入の基準には残業代は含まれないので、事例のような繁忙期によって残業代が増えた場合は該当しないといえるでしょう。そのため、繁忙期が2ヶ月続いたとしても、それだけでは社会保険に加入する必要はなさそうです。
 

扶養や社会保険加入の基準を覚えておきましょう

繁忙期が続くことで収入が増えることはメリットといえますが、扶養を外れてしまったり、社会保険に加入しなければいけなくなったりする可能性があるので注意が必要です。
しかし、1ヶ月や2ヶ月程度収入が増えたとしても、すぐに社会保険料を支払わなければいけなくなることはないでしょう。また、令和6年10月から社会保険の加入対象者が拡大されているので、こちらも確認するようにしてください。
 

出典

全国健康保険協会 被扶養者とは
公立学校共済組合 被扶養者の認定要件とは?
厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー