「目指すは大阪城ホール!」関西出身のTHE FRANK VOXが、全身全霊を込めた「VOX GIFT 2」で届ける「ホットソング」
RYO・YASUの2VOCAL、SNG(シュンゴ)・RYO-TAの2MCからなる、関西出身の4人組ボーカルグループ・THE FRANK VOX。「ホッとするような温もりあふれる“ホッとソング”、心を熱くするような“HOTSONG”を4人の声(VOX)で音楽に乗せて届ける」をコンセプトに、2022年10月に始動した。2023年2月にはメジャーデビューを果たし、2028年までに大阪城ホールで単独ライブを行うことを目標に、作詞作曲からアートワーク、映像制作、毎日のSNS投稿までを4人でコツコツと手がけている。9月18日(水)にリリースされたEP「VOX GIFT 2」は、アレンジャーにYANAGIMANを迎えた「闘う君への応援歌」、既発シングルでダンサブルな「キミトオドリタイ」、アッパーなドライブチューン「アチチなブギー」、恋人との幸せな日々を綴ったラブソング「ずっと」の4曲を収録した1枚。SPICEでは、THE FRANK VOXの結成の経緯から、EP「VOX GIFT 2」について、メンバー全員に話を聞いた。関西人らしい仲の良さでボケとツッコミもありながら、終始和気藹々としたインタビューとなった。
RYO、RYO-TA
この4人なら絶対にいける。強い決意のもと再集結した仲良し4人組
ーーまずは結成の経緯からお聞きしていきたいと思います。皆さんの関係性は?
RYO:大阪のボーカル&ダンススクールに通っていた仲間の4人です。もともと前身のグループがあって、一度メジャーデビューをしたんですけど、コロナや色々なものが被って、皆気持ちが折れて挫折しちゃって。コロナが明けてきた時、音楽に自分たちの人生を賭けてやってたのに、未練が残ってるというかやりきれない気持ちがあったので「やっぱり大阪城ホール行かへん?」と皆で話して、心機一転グループ名を変えて「THE FRANK VOXとして5年以内に、絶対に大阪城ホール単独ライブは叶えよう」という想いで結成しました。
ーー年齢はSNGさんが4つ下なんですね。先輩後輩みたいな感じですか?
SNG:これがほんとに上下関係がなくてですね。基本的にはタメ口ですし、優しくて平等に意見を言い合える環境を作ってくれてます。自分たちで言うのもなんですけど、性格のバランスは良いかもしれないですね。
RYO-TA:趣味も性格も何もかも違うので、すごく合うんだと思います。
SNG:あとはリスペクトできるところがあるというか。
YASU:僕もあります(キラッ)。
RYO-TA:今日顔ウザいよな。
全員:(笑)。
SNG、YASU
ーー大阪城ホールを目標にしたキッカケは?
RYO:スクールに通ってる時、レッスンの空き時間にスクール生皆で大阪城の周りをランニングしてて、いつも大阪城ホールを横目に走ってたんです。関西出身で沸々としたものを抱えた者として、「やっぱりここは絶対行かなあかんやろ」というところで、大阪城ホールは1番最初に掲げた目標ですね。
ーーRYOさんがもう一度やらないかと声をかけたんですよね。
SNG:口説かれました。
YASU:1人ひとり呼び出してくれて、すごい熱い話を。な?
RYO:何の根拠かわからないですけど、「この4人だったらいける」って前のグループの時から思ってたんですよ。志半ばで終わるのはやりきれへんし、「最後にもう1回だけ、自分たちのやりたいことをやりきろう」って。
ーーでも皆さんが同じ気持ちを抱えていたから、再び集まったんですよね。そして実際に、始動から約4ヶ月後の2023年2月にメジャーデビューされました。
SNG:THE FRANK VOXと名前を決めて走り出して、路上ライブをしてる時に今のレーベルの方が見つけてくれました。
RYO-TA:もう信じられなかったですし、道端で歌ってる4人の男にそう言ってくださるって奇跡に近いものなので、本当にありがたいでしかなかったですね。
RYO:やっぱり大阪城ホールとなると、自分たちの力だけでは成立しない規模になるのかなと考えた時に、色んな方のお力添えをいただきながらやらないと、5年以内に大阪城ホールは無理なんじゃないかという話もして。その過程でメジャーデビューは欠かせないものだねというイメージでした。
ーーでは今は、5年後までの道のりを逆算して動いておられるんですか。
SNG:カッコ良く言えばそうなんですけど、裏側は超ダサダサです。
RYO:1日1日必死で。
RYO-TA:ほんまにトライアンドエラーの繰り返し。
SNG:毎日一生懸命やるしかないなって感じです。
(写真左から)RYO、RYO-TA、SNG、YASU
ーーメジャーデビューから約1年半経ちましたが、振り返るとどんな時間でしたか?
RYO-TA:濃密でしたね。
RYO:もうとにかく、曲を作るライブをする。あとはSNSでの毎日投稿を1年以上続けているので、本当にやってることは楽曲制作かライブか、SNS投稿のネタ作りのための撮影か運転かですね。
RYO-TA:ずっとハイエースを4人で運転して全国を廻ってるんですよ。
ーー動画の編集も、皆さんでされているんですよね。
RYO:皆でやってます。THE FRANK VOXをもっと世の中に広げるためにどうするかという打ち合わせを定期的にやって。その繰り返しですね。
RYO-TA:その甲斐あって、当初インスタグラムのフォロワーが3,000人ぐらいだったんですけど、今は10万人を超えました。
SNG:明らかにSNSで知ってくださった方が多くて。台湾のリスナーさんもたくさんいて、8月には初めての台湾公演(『THE FRANK VOX 台北演唱會.』)をさせていただきました。人生って何があるかわからんなと(笑)。
RYO:道端でしか歌ってなかったもんな。
YASU:まさか海外でライブできるとは思ってなかったですね。
背伸びしない、等身大の音楽をやりたい
ーー楽曲は全員で作られているんですか?
RYO-TA:SNGとRYOがトラックを作っています。
ーー歌詞はそれぞれが担当するバースを書いていく形ですか?
RYO:1番多い作り方はそれですね。でも例えば、今回収録の「アチチなブギー」は、「飲みに行く途中で聴けるような、テンションのアガるドライブ曲作らへん?」というネタをSNGが持ってきてくれて。「いいやん。THE FRANK VOXとして1曲作りたいよね」と世界観を統一して、パートを割り振って各々が作って、最後にガッチャンコしました。サビは4人の中間の想いを汲んで、しっかりすり合わせていく作り方ですね。
ーーホッとするような温もりあふれる“ホッとソング”、心を熱くするような“HOTSONG” というコンセプトは、いつ頃決められたんですか?
SNG:メジャーデビューするぐらいの時に「THE FRANK VOXって何やろう?」と考えて決めたね。
RYO-TA:そうやね。日常を切り取ったところを大事にしたいという4人の意見がまとまりました。
SNG:背伸びしない、等身大の音楽をしたいというか。今はSNSがすごく力を持っていて、なんだか冷たく感じる瞬間がある。そんな時にTHE FRANK VOXの音楽や活動を通して、皆さんの心に「あったかいな」と感じてもらえる瞬間が作れたらいいなと思っています。
ーーこれまでにリリースされたシングルのジャケットは、全て何かを手渡していくデザインになっていますね。
SNG:「音楽やけど、贈り物みたいに届けたいな」というので、ああいうジャケットになりました。手渡しぐらいの気持ちで届いたらいいなという想いがあります。
「伝えたい、届けたいこと」が、より明確になってきた
ーー今作の2nd EP「VOX GIFT 2」は、昨年8月リリースのEP「VOX GIFT」以来、同名のタイトルとして2枚目ということで、意識されたことはありますか?
RYO:僕たちが普段から伝えたいことは、そんなに変わっていなくて。今回だと「キミトオドリタイ」は、夏が始まる前に屋外の夏フェスや盆踊りに出演させていただくことが決まっていたので「お客さんと一緒に盛り上がれるパーティーチューンを作れたらいいね」と話してできた曲です。それからさっきも言った、ドライブの時に流せる「アチチなブギー」。「ずっと」はラブソングなんですけど、普遍的なテーマというか。変わらずにホットソングを届けていきたいというところで、去年よりもパワーアップして「伝えたい、届けたいこと」が明確になってきた気もするので、今できることを詰め込んだ4曲になったと思います。
SNG:「闘う君への応援歌」は、ケツメイシさんやFUNKY MONKEY BΛBY’Sさんを手がけておられたYANAGIMANさんと共作させていただきました。
ーー4曲とも、今作に向けて作ったんですか。
RYO:そうですね。これはレコード会社の人に怒られるんですけど、自分たちはストックが苦手なんです。
ーー作った瞬間のものを出したいからですか?
YASU:そうなんですよ。
RYO:制作から時間が経つと、自分たちの中で新鮮さが薄れていっちゃう感じがあって。「これ半年前に書いたやつやで。なんか違和感あるな」みたいな。
SNG:だけど今は、1ヶ月に1人3曲作って、月末に曲を出し合うことにトライしてます。大阪城ホールに行くために、感情をもっと乗せる方法を勉強していこうって。だからストックを作りながら、各々トレーニングしてるような感じです。
RYO-TA:音楽のルーツが全員バラバラなので、自分やったら絶対思い浮かばんやろなという曲ばかり来るので、すごく刺激をもらうというか。今後はストックが得意になるかもしれないです(笑)。
YANAGIMANから教授された、歌への向き合い方
ーー今作の手応えはいかがですか?
SNG:毎回全力を出してるんですけど、「VOX GIFT 2」ではまた次の壁が見えたというか。嬉しい気持ちと「もういっちょいこうぜ」という2つの想いがありますね。
ーー壁というのは?
SNG:メンバーそれぞれにあると思うんですけど、僕個人で言えば、心をそのまま音源にどれだけ出せるかがすごく難しくて。大阪城ホールの12,000人に響かせる表現についてずっと考えてます。あとはメンバーや友達、近くにいるヤツに「お前の歌薄っぺらいな」と言われんように、ちゃんと心込めよと思ってます。これは1番大事にしたいことですね。
ーー近くの人ほど届けていく。
SNG:近くの人に聴こえてへんかったら、遠くの山にも聴こえへんなって感じですね。
YASU:僕も「闘う君への応援歌」ができる前に「どうしたら歌が伝わるやろう」と考えていて。自分の歌い方を見失うというか「なんかもうわからへん」となってた時があったんです。ちょうどその時にYANAGIMANさんが、歌声やリズム、グルーヴのこと、どうやったら歌が伝わるかという話をしてくださって。その話を聞いた上でレコーディングをしたので、すごく思い入れがあるというか、自分的には今までで一番納得のいく歌が歌えたと思ってます。
RYO:「闘う君への応援歌」は、デモから全部書き換えるという作業を3~4回やっていて。今までも向き合ってきたつもりだったけど、こんなに向き合うかというぐらい、メロディーも歌詞もYANAGIMANさんのアドバイスをいただきながら、皆で「こうちゃう?ああちゃう?」と言い合ってね。
ーーなるほど。
RYO:レコーディングの時にYANAGIMANさんに教えていただいたのが、グルーヴの出し方。例えばリズムが4拍だったら、その4つがリズムじゃない。1個1個にもっと細かくリズムがあるからと。僕らはリズムに合わせてジャストに歌おうとしてしまうんですけど、「ちょっとだけ後ろにズレてる方がよりストレートに伝わる」とか、細かいギミックも教えていただきました。歌は正解がないから、その時その時の正解を見つけるしかないし、これからも磨き続けないといけないんですけど、YANAGIMANさんにTHE FRANK VOXとしての歌の向き合い方の新しい引き出しを増やしてもらったというところで、表現の壁を乗り越えられたのかなという感じはあります。
THE FRANK VOX - EP「VOX GIFT 2」 ティザー映像
ーーライブでは、それが活きたりしました?
RYO:そうですね。YANAGIMANさんに「こういうアーティストさんの曲を聴いてごらん」と言われて、聴いてみたら「うわ、ほんまや! この歌い方してる」とか「微妙にこういうことしてる!」と発見があって。自分たちが今まで歌ってきた曲にも活かせるものがあって、皆で車の中で「おお~!」と言いながら聴いていましたね。
RYO-TA:YANAGIMANさんからは、自分たちが思い浮かばないアイデアや、THE FRANK VOXの今までの常識を覆すような意見がポッと来たりして、しかもそれがすごく的を得ていて。本当に勉強させていただきました。実際、自分たちのライブの「闘う君への応援歌」の映像を見て、「うわ、伝わるなあ!」と言いました。「すごい鼓舞されてるやん!」って(笑)。
ーー自分たちで客観的に見ても、そう思えたんですね。
SNG:「闘う君への応援歌」をライブで歌い切った後は、クラッとなりますね。この曲はとても出し尽くします。
ーーRYO-TAさんは今作の制作で、壁を感じたことはありましたか?
RYO-TA:もう壁ばっかりです。1日で1文字も書けない時もあったりして。そうすると、考えてる時間はすごく長いんですけど、仕事してる感ゼロだからウワーッとナイーブになったり。あとは「ずっと」や「闘う君への応援歌」もそうなんですけど、歌詞の内容で、自分とは生きてきた道が全然違うけど、THE FRANK VOXの1つの意見として出す時に、中間地点を探すというか、俺ら4人の想い的にはどうなんだということを話し合うのはめちゃめちゃ楽しいんですけど、いつも1番苦労する部分でもあって。色んなパターンの曲を出していくので、そこに毎回ぶち当たっては、皆で崩れながらも乗り越えてきました。今回もその壁には皆で闘ったと思います。
ーー「闘う君への応援歌」の2番に<これまでなんだかんださ やってこれた理由ってなんだろう?>という歌詞がありますが、THE FRANK VOXがこれまでやってこれた理由は何だと思いますか?
RYO-TA:1番は、2028年までに大阪城ホールに行くという目標があることです。人間なのでブレる日もあるんですけど、結局そこで団結するんですよね。
自分たちも闘って良かった。9月末からは全国13カ所を廻るツアーへ
ーー逆に喜びを感じたことや、今作について「良かったな」と思うことはありました?
RYO-TA:「キミトオドリタイ」と「闘う君への応援歌」をライブでやったんですけど、ファンの方を目の前にして歌った時に「作って良かったな」と思いますし、ライブが終わった後にインスタグラムのDMで「すごく救われました」という言葉をいただくと「自分たちも闘って良かった」となりますね。
SNG:自分はこのメンバーともっと曲を作りたいなと思いました。それぞれ壁を乗り越えている皆を見て、「負けてられへん」という気持ちと「もっと行こう」という気持ちが湧いてきて。もっと楽しんで音楽をやりたい。もちろん今までも楽しかったけど、もう1個奥の楽しさと嬉しさですね。
YASU:僕ももっと4人で曲を作りたいです。この4人やからこそ伝えられる色や声があると思ってるので、制作が楽しい。この4人がいいですね。
RYO:作ってる過程は苦しいというか、初めてメンバー同士で、喧嘩じゃないけどぶつかり合ったりもして。僕らは誰かが引っ張っていくグループではなく、民主主義というか、なるべく皆の意図を平等に汲み取るスタイルでやってるんです。今回「VOX GIFT 2」を作るにあたって熱い話をしたり、なあなあにせずに改めてメンバー同士で向き合って会話できた瞬間が多かったので、良かったと思います。
ーー「VOX GIFT 2」、改めてどんな1枚になりましたか?
RYO-TA:「今のTHE FRANK VOXとはなんぞや」というものが表れてる。名刺代わりじゃないですけど、本当に僕たちが今できること、全身全霊を込めた1枚になってます。「闘う君への応援歌」がリード曲ですけど、正直全曲自信をもって押し出せた4曲が入ってると思います。
ーーその自信作を提げた全国ツアーが、9月28日(土)の北海道公演から始まります。意気込みをお願いします!
YASU:僕らのVOXを聴きに来てください。
SNG:ぜひフランクに来てください。
RYO-TA:一緒に大阪城ホール行きましょう!
RYO:大阪城ホールを一緒に目指してくれる仲間が、1人でも多く来てくれれば嬉しいなと思っております!
取材・文=久保田瑛理 撮影=浜村晴奈