今季13勝目を挙げた才木(左)と決勝打を放った中野は笑顔でサムアップポーズ

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 「阪神1−0巨人」(22日、甲子園球場)

 天王山初戦、難敵から阪神・中野拓夢内野手が放った一打に甲子園が揺れた。執念でもぎ取った1点は、逆転優勝に望みをつなぐ、大きすぎる1点となった。

 「そうそうチャンスを簡単につくれないピッチャーなので、回って来たチャンスを絶対打とうと打席に立ちました」

 相手先発の菅野に対してチームは今季4戦して1敗、対戦防御率0・98と抑えられていたが、中野は13打数5安打、打率・385と好相性だった。両軍無得点の三回2死一、三塁。絶好機で“キラーぶり”を発揮した。

 フルカウントから、この日多かったカットボールが頭にあった中で、スライダーにうまく反応した。打球は右前への貴重な先制適時打に。「才木のためにもと思っていました」。一塁上ではいつもの敬礼ポーズではなく、思わずガッツポーズ。岡田監督も「まだ序盤なのにね、だいぶ前進守備をしていたので、もう1点勝負みたいな感じだったんですけど、中野がよく打ちましたね」と称賛した。

 今年28歳を迎え、「年々、寝ても疲れが取りにくかったり、違う張りを感じたりする」と入団時に比べて体の変化も感じている。その中で大切にしているのが「食事のバランス」。支えとなっているのが愛妻の存在だ。「奥さんがいろいろ考えてくれている」と日々、栄養バランスを考えた手料理でサポートしてくれる。そのおかげで、体重が落ちやすい夏場も乗り越え、チーム唯一の全試合出場を続けている。

 守備でも執念を見せた。初回無死二塁では併殺を完成。二回2死一、二塁の場面では「絶対やってはいけないボールだったので、大事にいこう」と小林のバウンドした二ゴロを体で止め、アウトにした。「最近の甲子園はイレギュラーが多い」と感じていた中で、雨上がりのグラウンド状況でもしっかり対応して才木を救った。

 攻守の活躍でつかんだ大きな白星で、首位・巨人に1ゲーム差に迫った。「逆転で優勝するっていう気持ちしか持っていない。明日が大事になると思うので、一丸となって切り替えてやりたい」。選手会長の目には自信と気合が宿っていた。

 ◆今季G戦5割以上確定!聖地G戦勝率7割超え!! 今季巨人戦を12勝11敗1分けとし、勝率5割以上を確定。また、チームはこの日で今季甲子園38勝19敗2分け、勝率.667。巨人戦に限れば8勝3敗1分け、勝率.727とした。なお、チームは両リーグ最多タイとなる20度目の完封勝利。

 ◆“ラスボス”菅野に勝利 岡田阪神が今季勝負の9月で他球団主戦投手と6度対戦。1日・菅野に敗戦してから3日・中日戦=高橋宏、10日・DeNA戦=東、13日・広島戦=大瀬良、18日・中日戦=高橋宏に勝利。そしてこの日は菅野にリベンジ星。さらに阪神打線は今季初めて菅野に土をつけた。