マーリンズ戦の9回、3打席連続本塁打となる51号3ランを放つ大谷(提供・共同通信社)

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 日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(63)が取材に応じ、メジャー史上初の「50本塁打−50盗塁」を達成したドジャース・大谷翔平選手(30)について語った。投打二刀流の生みの親。日本ハム時代の教え子の快挙達成を喜ぶとともに、成し遂げることができた理由を独特の表現で語った。

 メジャーに新たな歴史を刻み込んだ「50−50」。恩師である栗山CBOの言葉は喜びに満ちあふれていた。「想像はしてなかったです。まさか盗塁に、あれだけ興味を持って、あそこまで進むというのは良かったな、すごいなと思ってます」。興奮気味に祝福した。

 日本ハム時代に走れる選手というイメージはあまりなかった。実際に5年間の通算盗塁13個で、シーズン最多も16年の7個。栗山CBOは「状況判断が抜群の選手。盗塁できるスピードはもちろんある」と当時を振り返りつつ、体への負担が大きい投打二刀流に挑戦していただけに「(盗塁のサインを)出さなくても行ける時は行こうとするから。止めることの方がほとんどだった。ケガをさせないのが一番。リスクの方ばっかりを考えてた」と盗塁には制限をかけていたという。

 今季は「ある程度、無理しても、体の状態が大丈夫な感じに見えたのが一番強い印象」。8月には渡米して試合を観戦し大谷と会話も交わした。栗山CBOは飛躍的な盗塁増の要因について、投手復帰に向けた「トレーニングの一環」という独自の見解を示した。

 「二刀流をやるというのは効率がものすごく重要。ダッシュしておけば練習でする必要がない。その時間を違うことに使える。自分に休息を与えることができる」。今季は打者に専念しているが本来は二刀流だ。負担も練習量も多い、その経験を生かし、試合の中でも体を鍛えるという効率化に挑戦している、という見立てだ。

 一方で「ピッチャーのクセとか動きで体重が少し乗ったら、ホームに投げるとかは相当、見ていると思う」。大谷の“野球脳”の進化にも言及し、「盗塁数が増えたということは、彼の野球論をさらに広げた可能性は高い。打つこと、球種を張るとか戦略にも全てつながる。全てに生きると思う」と目を細める。

 それでも二刀流の生みの親は、納得も満足もしていない。「僕が見ている天井はもっと高い。安心してほしくないし」と、ニヤリと笑みを浮かべた。