マーリンズ戦の9回、3打席連続本塁打となる51号3ランを放つ大谷(提供・共同通信社)

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 「マーリンズ4−20ドジャース」(19日、マイアミ)

 ドジャースの大谷翔平選手(30)は敵地でのマーリンズ戦に「1番・指名打者」で出場し、3本塁打、2盗塁をマークして史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成した。六回に49号2ラン、七回に50号2ラン、九回は3打席連続の51号3ランを放ち「51−51」まで伸ばした。6打数6安打10打点。日本選手では1試合の本塁打数、安打、打点いずれも最多で、シーズン120打点も最多となった。チームは20−4で勝ち12年連続となるプレーオフ進出を決めた。大谷はメジャー7年目で初めてポストシーズンに進む。

 最後まで打球の行方は追わなかった。打席からチームメートがいる一塁側ベンチの方を見た大谷は柔らかな笑みを浮かべて咆哮(ほうこう)した。

 「カモーン!」

 約150年の歴史を持つ米大リーグで初めて達成された「50−50」の偉業。仲間たちからのハグとハイタッチの嵐に顔をくしゃくしゃにした大谷が、鳴りやまないカーテンコールに手を挙げてこたえると、敵地の熱はさらに上昇した。

 誰がこんな結末を予想しただろうか。「48−49」で臨んだ一戦。プレーボールの合図で『ショウ・タイム』の幕が開けた。

 初回。右中間フェンス直撃の二塁打で出塁し、三盗を成功させた。日本選手ではイチロー以来、23年ぶり2人目となる50盗塁の大台。二回には右前適時打から二盗を決め「48−51」とした。5−1の三回2死一、二塁の好機には左中間へ2点適時二塁打。この時点で3安打3打点2盗塁。リードを6点に広げた。

 ここから大谷劇場が佳境に入る。六回に右翼2階席へ49号2ランで偉業にリーチをかけ、七回に左越え50号2ランだ。持ち味の逆方向への一撃で偉業を成し遂げ、「うれしさと安堵(あんど)。それと同時に記録を作ってきた先輩方にリスペクトというか、そういう気持ちで今はいます」と言った。

 11点リードの九回にはマウンドに立った野手からとどめの51号3ラン。終わってみれば自身初の6安打&10打点。数々の記録を塗り替えた6打席に「自分が一番びっくりしている」。昨春のWBCで世界の頂点に立った思い出の地で偉業、そして、メジャー人生初のプレーオフ進出を決め、「一生忘れない」と表情を引き締めた。

 ベンチから快挙を見届けたロバーツ監督は「驚くべきパフォーマンス。この試合はMLBにとっての勝利だと思う」と意義の大きさを力説。「60−60」の可能性を問われると「今日みたいな試合がある限り、あと9、10本打つ可能性はあるよ」。残り9試合。不可能を可能にしてきた『ショウ・タイム』はこれからも続く。