東京VのFW染野唯月 ©TOKYO VERDY

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 東京VのFW染野唯月(23)が20日、非公開練習後に取材に応じ、次節・鳥栖戦(22日、味の素スタジアム)に向けて、「自分が点を取って勝ちたい」と自身リーグ戦約3カ月ぶりのゴールへ意気込んだ。

 6月2日の札幌戦までで6ゴールを記録し、チームを引っ張ってきた染野球。ただ、その後は約3カ月間にわたってゴールから遠ざかっている。開幕からほぼ全試合で先発出場を続けてきたがFW山見の好調もあり、リーグ戦の直近2試合は途中からの出場。期限付き移籍先で出場できなかった鹿島戦を含めて、自身が先発から外れた3試合でチームは3連勝し、順位も今季最高の6位に浮上した。複雑な思いがあることも想像できる中、染野は自身の現状について、こう分析する。

 「まずは点を取れば、個人としても調子を戻してくるだろうし、試合に出られる時間帯も増えてくると思う。そこで今試合に出ている人たちよりいいパフォーマンスができれば」

 長いトンネルを抜けるため、自身で試合の映像を見直し改善点を見つけ思考を重ねているという。信頼を寄せる森下仁志コーチからも、メンタル面、ボールが入る前の動きだしなどのアドバイスも受けていることを明かした。

 昨季、2度目の期限付き移籍で当時J2だった東京Vに合流し、リーグ戦終盤の上位争いに貢献。J1昇格プレーオフでは、試合終盤に自らが獲得したPKを決めて、16年ぶりのJ1昇格を勝ち取った。それだけに城福浩監督も「このチームのストライカーで牽引していく1人であることは間違いない。彼が持っている決定力とボールをおさめる力、総合力はJリーグの若い選手の中でも非常に高い」と実力を認めている。

 ただ、だからといって開幕当初から、ポジションを確約することはしないと明言してきた。調子、コンディションを見ながらフェアな視点で選手を評価し、ここ2試合は染野を先発から外した。城福監督は「それは11人が成長して彼に絶対的な指定席を与えないような状況を他の選手が作ったという見方もできる」と競争が激しくなってきたチーム状況に手応えを口にする。その上で染野に奮起を期待した。

 「今こそが彼の踏ん張りどころだと思う。またいつか誰かが調子を崩し順番が回ってくるという待ち方をするのか、自分で先発を取りに行くのか。取るためには日々何をしなくてはいけないか、与えられた時間で何をするか。彼自身が問いかけながら実際にアクションを起こしていくタイミングで、まさに彼がもう一皮むけるかどうか。もちろんアドバイスはしますけど、この状況をどう打破していくかは彼自身です。新しい競争のレベルに彼が引き上げることになればこのチームはさらに一歩前に進める」

 “スランプ”を脱し、殻を破れるか。まずは直近の次戦に向けて「久々のホームで勝てればいいですし、相手チームも走ってくると思うんで、そこは負けないように頑張っていきます」と染野。約1カ月ぶりのホームで躍動し、チームを今季初の4連勝に導く。