20年以上続くシリーズの最新作がクライマックス！ 未見の方も遅くない『BEYBLADE X』
毎週、「ほとんどの作品を観ている」アニメライター・はるのおとによる週刊連載「【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク」。9月9日から9月15日に放送された分から注目の“神回”をピックアップ！（編集部）
参考：『小市民シリーズ』が打ち立てた絶品会話劇の神回 “座りっぱなし”なのに面白い！
先日、アニプレックスによるアニメ最新情報発信イベント「Aniplex Online Fest 2024」が配信され、さまざまな発表が行われました。筆者は梅津泰臣×シャフトの『ヴァージン・パンク』に特に震えてしまいましたが、アニメファンなら今後が楽しみになる情報がいくつもあったのでは。
Aniplex Online Fest 2024 アーカイブ配信 ～9/23(月)23:59 / Streaming until Monday, September 23rd 7:59 AM PDT ただ、個人的にはこんなにビッグニュースばかりならもっとSNSなどで話題になっていいのに、具体的にはゲームにおける「Nintendo Direct」と同じくらいには……などと感じていましたが、そもそも休日とは言え真っ昼間、しかも5時間以上と長時間の開催ということで「ニンダイ」みたいに多くの人が実況してSNS上でグルーヴ感を生み出すのは難しいよなあ、一度くらい夜にサクッとやってみてほしい……などとXでポストしたところ、知人からすぐに「夜にやるとアニメの放送が被るし」との指摘が。さすがアニメ好きは違うぜ。
先のアニメの話はさておき、夏クールもいよいよクライマックス。今回は最終盤を前に期待をグッと高められた神回を紹介します。
●ここからどうなるか、マジで読めない『BEYBLADE X』第48話
20年以上続く『ベイブレード』シリーズの最新作がいよいよクライマックス。今回から主人公チーム「ペルソナ」と、チャンピオンチーム「ペンドラゴン」が3対3で戦う頂上決戦が開幕しました。
今回はその第1試合として七色マルチが姉の七色シグルとバトル。この試合はマルチが負けこそするものの、マルチが見せる勝つための戦略や意地、複雑な思い、そしてマルチ役の野口瑠璃子さんによる『疑似ハーレム』七倉凛ちゃんばりのコロコロ変わる演技など見どころ盛りだくさんの一戦でした。
ただペルソナは初戦の敗北によって2連勝するしかなくなり、注目されるのが主人公のひとりであるバードの勝負の行方。なんと彼、この1年弱の放送期間中に1回も勝てていません。そもそも本作で戦う相手は大抵プロのため、アマチュア上がりの彼が苦戦するのは仕方ないのですが（その後アマ相手にも負けたのは置いておきます）、「さすがにそろそろ勝つだろ」という視聴者の予想を裏切り続けて、このクライマックスまで来ました。
しかもバードが戦うことになるのは、残りのどちらも作中トップクラスの実力者。マルチの試合だけでもグッときましたが、「ついにバードの初勝利来るか」「主人公のひとりが負けっぱなしで1年終わらないだろう」「でも2年目も発表されたし主人公チーム敗退で終わるかも……？」などメタ情報含めて今後への期待が高まる1話でした。1年アニメの重みはやっぱり強い。未見の人も、ぜひバードの奮闘に期待しながら今からでも観ましょう。
●三連覇中のチャンピオンが見せる誇りがムネアツ『新米オッサン冒険者』第10話
熱いバトルと言えばこちらも。前回も紹介した『新米オッサン、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。』は拳王トーナメントという大会が開催中で準決勝に入っています。主人公がヒロインの仇である天才気取りの竜人族と戦った前回が注力されるべき神回だったのは理解できるものの、今回描かれたもうひとつの準決勝はブロストン対ケルヴィンというオッサン同士の対決。主人公の師VS大会三連覇中のチャンピオン、と書けば設定としては強いものの最終回も近いのに地味！と思わせておいて、こちらも熱さは負けず劣らず。
強すぎるあまり、実はこれまで興行として成立させるべく全力を出さずに戦っていたケルヴィン。しかし今回は戦ううちに対戦相手が計り知れない力を持つことがわかり、ついに本気に。そしてバカでかい隕石を落とすなど全力を出し、観客の応援も受けてさらに攻撃を重ねますがそれも通用せずあえなく敗退。苦悩する天才がついに覚醒するも、天才がド天才に負けるといった話でしたが、あまりに誇り高い負けっぷりに、オープニングカットという“いかにも特別”な演出も納得の戦いでした。
●前回の超驚きの設定開示の行方は……？『烏は主を選ばない』第19話
夏クールの悪女と言えば『小市民シリーズ』の小佐内さん、『神之塔-Tower of God-』のラヘルあたりでしょうか。『烏は主を選ばない』にも彼女らに並ぶ可能性を秘めていた逸材・小海という少女がいました。しかし第2クールで発生した一連の事件--街にはびこる謎の薬、人々を襲う猿--の黒幕ではないかと思われていた彼女、そうではないことが第19話で明らかになりました。よかった～（その分、先週は残りのふたりの様子がおかしかったですが）。
しかし『烏は主を選ばない』、人に転身する八咫烏の一族が住む“山内”という場所を舞台にした和風ファンタジーと思わせておいて、前話にあたる第18話で“外界”やそこに暮らす人間の存在という設定を開示して溢れるSFマインドで視聴者の度肝を抜いたのに、今回はそちらにあまり触れず。次回が最終回ということで、このままいくと何のための“外界”設定だったんだとなりそうですが、はたして……？
（文＝はるのおと）
