春奈さんはこの一件で同人ビデオへの出演をやめることができたが、今でも「“身内バレ”を危惧する毎日」だと語っている。

◆同人ビデオを選ぶ理由

 ぶっちゃけたことを言うと春奈さんの事例はまだラッキーな方で、運営者が逮捕されたり、音信不通になったり、「一度載せたら削除申請には応じません」のような契約書にうっかりサインをすれば、泣き寝入りまっしぐらでしかない。

 このようなトラブルが絶えないにも関わらず、なぜ“同人”を選んでしまうのか?

 その理由は、以下のような「適正ビデオ特有の面倒くささ」にまつわることが挙げられる。

・適正ビデオのように、同人ビデオはメーカー周りや面接などの手間がない
・同人ビデオは事務所不要で誰でも出られる
・すぐ仕事にありつけて、日払いで給料がもらえる(時間がかからない)
・労働時間が適正ビデオに比べると遥かに短い
・スカウトマンや出演者の紹介など、仕事を見つけるまでのルートが簡単

 つまり、適正ビデオよりも時間をかけずに仕事(撮影)が見つかり、「給料日は末締め翌月払い」なんて縛りもなく、税金も引かれない。即日即金手渡しで、お金に困った時には救世主のような存在にもなり得る。

◆軽い判断が招く大きな代償

 オトナのお店で働けば、基本的に完全歩合制システム。出勤しても必ず10万円手にできる保証はないと思えば、ビデオのように1回〇万円の確約は大きな安心材料だろう。

 手軽さが人の判断力を惑わす一因、といっても過言ではない。特にお金に困っている人は切羽詰まると判断力が鈍りやすいため、後先考えずに足を踏み入れてしまう。

◆冷静な判断で自衛を

 適正ビデオも出演すれば立派なデジタルタトゥーだが、同人よりもルールが定められているので、トラブルが起きた際の対処はしやすい。反対に同人は“公式”ではないので、ルールも何もかもが曖昧なグレーゾーン。よからぬ事態が発生しても、未解決のままで終わってしまうことが多い。

 同人ビデオの世界からはバッシングを受ける発言だが、筆者としては出ない方がいいと思ってる。いくら即金10万円だったとしても一生食べていける額には程遠く、身バレ、病気、運営者によるセクハラ、無断の二次使用などデメリットが多すぎるからだ。

 被害に遭わないためにはまず、目先のお金ばかり追わないことが重要なポイントとなる。そして契約書が用意されても油断してはならない。運営者に都合の良いことばかりが記載されている場合も多いため、誘いを受けたら冷静に「これは本当に大丈夫なのか?」と慎重に考える必要がある。

「誰かが紹介したから大丈夫」「契約書もあるし、しっかりしてそう」という甘い考えはNG。出演を検討する女性は今一度考え直してほしい。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。