枝野幸男氏、中国の領空侵犯批判でザワつくX 「北京政府」批判は初めてではなかった
立憲民主党の枝野幸男前代表が2024年8月26日、中国軍機による日本への領空侵犯について、Xで「北京政府の国際法に違反した挑発的行動に厳しく抗議します」と書き込んだ。
投稿を見た人たちからは、領空侵犯への厳しい批判とともに「北京政府」といった表現にも注目が集まっている。
「北京政府の国際法に違反した挑発的行動に厳しく抗議します」
防衛省は26日、同日午前11時29分から31分ごろにかけ、中国軍のY-9情報収集機が、長崎県男女群島沖の領海上空を侵犯したことを確認したと発表した。
枝野氏は同日夜、領空侵犯を報じたNHKのニュースサイトを引用し、「北京政府の国際法に違反した挑発的行動に厳しく抗議します」とXに書き込んだ。
「日本政府においても、毅然とした姿勢で対応することを強く求めます」とし、「こうした問題には与党も野党もありません。北京政府に対して毅然とした対応をされる限り、党派を超えてこれを支持します」とつづっている。
投稿を見た人からは、中国政府を「北京政府」とした表現に注目が集まり、「北京政府とは?」「"北京政府"とわざわざ書かれる意図はありますか?」などその意図を勘ぐる投稿が相次いだ。
中国政府は、中国本土と台湾は不可分の領土で、台湾は「中華人民共和国」の一部だという「一つの中国」の原則を主張している。これに対して台湾の頼清徳総統は24年5月の就任演説で「中国は中華民国の存在を直視すべき」だとして、台湾が主張する「中華民国」に繰り返し言及している。
そのため枝野氏が「北京政府」という呼称を使っていることで、「一つの中国」論を支持していないのではないか、との見方も出ている。
香港めぐる問題でも「北京政府の決定」の表現で懸念を表明
枝野氏は過去にもたびたび中国政府を「北京政府」と呼称し、批判してきた。台湾だけでなく、香港と中国本土との関係についても言及してきた。
例えば20年6月に、香港でスパイ行為などの国家の安全を脅かす行為を取り締まる「香港国家安全維持法案」(国安砲)が可決されたとの報道を受けては、「香港の皆さんによる政治的自由と民主主義を守る活動に、重ねて連帯の意を表します。また、北京政府の決定に、普遍的価値である自由と民主主義の観点から、懸念と遺憾の意を表します」としていた。
党代表時代には、代表記者会見でも「北京政府(中国)と我が国は物理的に避けられない近い距離にあるわけであります」(21年6月30日)などと表現していた。
これに先立つ21年4月2日の記者会見でも、中国本土と香港をめぐる対立について、「足元では香港について、北京政府が勝手に事実上被選挙権を制約するような法律をつくって押しつける、これによって一国二制度は中国によって一方的に破棄された」などと厳しく批判。同月に札幌市内で開かれた会合での演説では、台湾について「国」や「島国」と繰り返し表現していた。