年齢を重ねても不滅の3名様(撮影:石井隼人)

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「カムバック?違います、“おかわり”です」(佐藤隆太)。…「あぶデカ」「マッドマックス」「インサイド・ヘッド」など、かつての名作の続編が次々と公開される2024年。佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史による「THE 3名様」もスクリーンに帰って来る。

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取材場が突然ファミレスに?

「THE 3名様」は、漫画家・石原まこちんによる同名漫画を原作にしたオリジナルDVD発のコメディドラマ。深夜のファミレスを舞台に、フリーターのジャンボ(佐藤)、まっつん(岡田)、ミッキー(塚本)が他愛のない会話を繰り広げるだけのシュールな内容がウケて長寿シリーズ化した。

2022年4月には12年ぶりの新作にして初の劇場版「THE3名様〜リモートだけじゃ無理じゃね?〜」がロングランヒット。その反響を受けてカムバック第2弾となる最新作「映画 THE3名様Ω〜これってフツーに事件じゃね?!〜」が8月30日から劇場公開されるのだが…。

「ちょっと待って!『あぶデカ』『マッドマックス』『インサイド・ヘッド』!? どんなタイトルと並べてるのよ?恐れ多いってば!」と佐藤がヒット作との同列に恐縮すれば、岡田も「そんな気負い僕らには全然ありません!」と大慌て。佐藤曰く「そうそう、この映画に関しては“カムバック”ではなく“おかわり”ですから」とのことだが、塚本に言わせると「いや、カムバックだな。だってファンの方の中にはそう思っている人もいると思うし。うん、カムバックッ!決定」。

3人が揃って話し始めると、取材場所は一瞬にしてあのファミレスの一角のようになる。

同じ時代を共有してきた仲間

恐縮する佐藤だが、今回の“おかわり”に対しては並々ならぬ思いがある。「前回12年ぶりに新作をやった時に、これだけで終わりにはしたくないと思った。活動休止したバンドが再結成して1枚アルバムを出して終わり…では寂しいのと同じ。意を決してもう一度集まったんだから、そこからまたできる限りのことをしていきましょう、と。そんな気持ちもあって“おかわり”ができたのは本当にうれしい。今後もこれを継続していきたい」とさらなる長寿化に意気込む。

背中を押したのは「THE 3名様」ファンの存在だ。

岡田が「前回の復活時に感じたのは皆さんの“待ってました!”の熱量の高さ。その気持ちに応えたいと思ったし、今回の“おかわり”はこれまで支えてくれたファンの皆さんに対しての僕らからの恩返し。“これからもよろしくね!”の決意表明でもあります」と力を込めると、塚本も「舞台挨拶でファンの方々の話を聞いたりすると、僕らと一緒に年齢を重ねてきた事を如実に感じる。もはや『THE 3名様』を通して同じ時代を共有してきた仲間」と深くうなずく。ファンたちの待ち望む声に佐藤は「第2弾の製作を発表した時に予想以上のコメントをいただいて感動しました。ファンの方々にとって『THE 3名様』がいかに大きなものだったのか、それを教えられた」と力を込める。

この作品だけは辞めない

「THE 3名様」誕生から20年に手が届く。20代だった3人は今では40代。俳優としての経験値を重ねて円熟味も増した。それは今作にも反映されている。

岡田が「20代の頃は“俺が俺が”の自我のぶつかり合いが芝居の中に見えて面白かったけれど、経験と年齢を重ねていく中でお互いにあうんの呼吸が生まれた気がします。今誰の芝居を際立たせれば面白いものになるのか?その駆け引きが出来るようになった」と打ち明ける。

佐藤も「役者としてのキャリアもそうだし、僕ら3人の信頼感も強くなっている。昔と比べてやり取りが一層楽しくなったと感じるし、この作品にそんな渋いアプローチいる!?という事もやったりしています」と笑う。

塚本は「今回の映画で描かれるエピソードも、今の僕らがやるからこそ面白くなるという視点で厳選しました」と新しい時代の「THE 3名様」に手応えを得ている。

3人が交わした約束事がある。「例えば3人の誰かが俳優を辞めたとしても、この作品だけは辞めないという約束をしました。業界を離れても『THE 3名様』だけには出ると。それだけ僕らにとっては特別な作品なんです」(岡田)。

“おかわり”は何杯でもいけそうだ。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)