手入れの手間を減らしつつ、庭の地面に緑を充実させたい…。それならグランドカバー(地表を覆うために植栽する植物)を検討しましょう。3年前にハウスメーカーで家を建てたライターは、いわば庭づくりの初心者。土がむき出し状態の地面に、踏めば芝生のような密度がでるクラピアと、季節の花も楽しめる種類のグランドカバーを組み合わせました。試行錯誤の結果、庭に緑のじゅうたんが広がることに!

庭は土が露出したままの状態で引き渡し

わが家は、夫、筆者、小学生の息子2人(9歳と7歳)の4人暮らし。3年前にハウスメーカーで、2階建ての注文住宅を建てました。

1階には玄関、LDK、趣味室、トイレが。2階には、浴室、洗面所、ランドリールーム、主寝室、子ども部屋、トイレ、来客用のスペースがあります。

家の南側に設けた縦長のLDKと、塀の間の細長いスペースに庭をつくりました。しかし、造園業者に依頼したのは、ブロック塀ではたりない高さをカバーするために植えたシラカシと、3種類の木だけ。上の写真のような状態で住み始めたのです。

アプローチをDIY。次は手入れのラクな下草選び

そして、まず家族でアプローチをつくりしました。あとは下草を植えれば、緑に囲まれた庭になるはず。

しかし、この家に引っ越すまで、庭のある物件に住んだことがなかった筆者。実家にいた頃も、ガーデニングにはまったく興味なし。そのため、下草はなにを植えたらいい感じになるのか、まったくわかりません。

最初に芝も検討しましたが、手入れが大変だから、筆者たちには向かないと判断。

たどり着いたのはグランドカバー

芝よりもっと適したものはないか調べて、グランドカバーと呼ばれる下草にたどり着きました。

グランドカバーとは、地面をはって覆うような植物のこと。そのなかで、よく成長して手入れがほぼ不要の、クラピアという種類をメインに選びました。

クラピアは踏んでも大丈夫、むしろしっかり踏むと密度が増して、芝のような雰囲気になるそうで「これだ!」と即決。

また、タネを飛ばさないよう品種改良されているそうで、近所にタネを飛び散らさない(近所迷惑にならない)ことも決め手に。

苗は春先しかなかなか店頭には出回らないそう。筆者は秋にネットで購入(ちなみに苗は、写真のポット1つが690円でした)。そのせいか成長の初速が悪くて。最初の2年ほどは、なかなか伸びないなぁと、ヤキモキしました。しかし、去年と今年でかなり庭全体へと広がりました。

見た目だけでなく、気にせず歩けるところもいいと思っています。また、芝と違ってクラピアの葉はやわらか。触ってもチクチクしないところも気に入っています。

クラピアは春には野原に咲くような、かわいらしい小花が咲きます。アプローチ沿いにたくさん白い小花が咲き乱れる姿は、まさに野原のよう! 芝だと花も咲かないので、結果こちらを選んでよかったと思います。

塀際には日陰にも強いアジュガとセダムを植えて

植物が伸びにくい塀のコーナー部分は苦労しました。クラピアもあまり広がらないため、日陰にも強い植物を植えることに。それが上の写真。青い花はアジュガ、周りは多肉植物のセダムです。

アジュガは葉っぱの色が違う2種類を植えたのですが、濃い色のチョコレートチップという種類だけ生き残りました。はって広がるので、グランドカバーにもなっています。花は春先だけですが、葉は冬も枯れず、独特の色を年じゅう楽しめます。

セダムは肉厚なぽってりした葉が、かわいらしい印象。寄せ植えのイメージが強いと思いますが、庭でも育ちます。繁殖力も強いので、ほかの地面へ植えて増やすことも可能。

新たに苗を買わなくても増やせるのは、たくさん植えたい筆者からするとありがたい。根が深くないので、増えても管理がしやすい植物です。

ガーデニングについて調べていると、インテリアと同じく、庭木も高低差があった方が立体的で、おしゃれに見えると知りました。そこで下草だけでなく、ボリュームのある低木コルジリネや、寄せ植えの鉢も置くとバランスがよくなりました。

色鮮やかな草花をたして、より自然な雰囲気に

とはいえ、まだものたりなさが。原因は色でした。最初は緑だけの庭の方が、森のような雰囲気がでるかと思い、緑の下草ばかり植えていたのです。

しかし、緑一色だと、のっぺりしている感じに見えてきて…。そこで、色のある花も加えてみました。

植えたのは黄色の花のビーダンス、青い花が咲くベロニカ・オックスフォード、白い花のタピアン、黄色の花が咲くリシマキアです。

それから葉っぱに色があるカラーリーフのヒューケラも。写真は全部ヒューケラ。模様も色もたくさん種類があります。

すると、庭が一気に自然な雰囲気に! 色が緑一色よりも、いろいろな色がある方が、むしろ自然に感じるのだという発見がありました。しかもベロニカ・オックスフォードやタピアンはグランドカバーにも向いていると思いました。

季節によって黄色や青などの花が、代わる代わる咲くので、花も植えてからの方がより庭の観察が楽しくなりました。

このようにして4年目。地面には茶色い部分がまだ少し残っていますが、かなりいい感じになってきました。住宅密集地であることを忘れてしまうような、豊かな時間を過ごせています。

花壇をつくって植えるのとは違い、ポツポツといろいろなグランドカバーの苗を植えたことで、より自然の野原のような雰囲気になったと思います。地植えなので、夏以外は毎日水やりをしなくても育ちます。本格的なガーデニングは難しそう、と思っている方は、グランドカバーを検討するといいかもしれません。