若手社員は「見守ってほしい。そうすればモチベーション上がる」 上司に求められる「チェンジマネジメント」とは
先日、仕事のインタビューで「自分のことを暖かく見守っていると感じれば、モチベーション上がりやすい」と話してくれた若手社員がいました。
仕事に対するやる気=モチベーションが高まるために、会社に期待するのとは何か?といった趣旨であったと思います。
「傍らでみてくれている」に慣れきっている最近の若手社員
比較的、歴史があり、社員の平均年齢が高い。若手社員は入社からまもなく離職するケースが増えている。その対策を考えるうえで話を聞いてほしい...との要望が会社側にはありました。
そうした状況出てきた回答が「暖かく見守る」こと。つまり、傍でみていてくれる、いまどきでいえば、スクール形式ではなく個別指導型で仕事に関わってほしいと願っているのですね。自分たちの世代なら「構わないでいて欲しい、自分で勝手にやりたい」と放任を希望する人が多いように思います。
そもそも、最近の若手社員は個人主義で上司からの指導なんて期待していない感じがします。なので、意外な回答でした。
ただ、あくまで仕事上のこと。プライベートで関りを深めたいとの意向は低い前提で「暖かく見守る」ことを望んでいるようです。こうした感覚はどうして生じてきたのでしょうか?
学校や塾で個別指導が増え、体育系部活まで「いつでも手を差し伸べるから」
おそらく、学生時代に周囲から暖かく見守られる機会が多かったことが要因ではないでしょうか?
たとえば、学校や塾でも集団指導から個別指導に力を入れるようになりました。塾では半数以上が個別指導になってきています。
最近は大学生を指導する体育会の監督の育成法が変わり「俺についてこい」ではなく「いつでも手を差し伸べるから」と近くで見守っている姿勢を示さないと、選手の気持ちが折れてしまうケースが増えていると聞きます。
大学のアメフトチームを監督している知人がいますが、最近は4年生になると、多くの選手にキャプテンだけでなく副キャプテン、ディフェンスリーダーと肩書を付与するとのことでした。
すると、肩書のある選手が集まり、合議制で何事も決めたがるにもかかわらず、監督は決定のプロセスをみていてほしい。そして、共同責任者であってほしいと要求してくるといいます。
私は「チアアップ型」の指導と呼んでいますが「頑張れ」と横で暖かく見守り、伴走する姿勢で指導を受けてきたのです。
若手の願望に応える「チェンジマネジメント」は一人で取り組むことも可能
そこで会社でも、同様の指導法を期待する。いわゆる、『フォロワーシップ』を求めているのでしょう。
すべて任せるわけでもなく、「手取り足取り何から何まで教えてやるから、その通りしなさい」でもなく、「自分で考えて、いろいろと仕事に対する取り組みをやってみてください。ただ、困ったときにいつでも声をかけられる距離に俺はいるから、いつでも言ってくれ」という状態を望んでいるのです。
会社は、この前提は十分に理解したうえで若手社員と接する、指導することが重要です。
ただ、現在の上司たちは違った指導を受けてきたケースが大半。いわゆる、「トップダウン型」であったとすると、そこからの転換は簡単ではありません。
そこで注目が高まっているのが、「チェンジマネジメント」という手法です。組織として取り組むことが多いですが、自分一人で取り組むことも可能です。
過去の成功体験は通用しない。チェンジのためのさまざまな問いかけを
若手と接するときには過去の自分がされてきた手法は通用しない。暖かく見守ることが重要...とわかっていても、納得できない。それでいいのか?と不満や不安を感じた時に
・どのようなサポートがあれば受け入れられるか?
・何か新しいスキルを身につける必要はあるか?
・コーチングなどが必要か
など、チェンジを効率的に進めるための問いかけを行うといった方法です。
過去に成功体験があっても、現在においてはチェンジしなければいけない仕事のスタイルが増えてきています。
しかし、チェンジに対する恐怖心や不安、抵抗感は、どんな人や組織にも存在しています。巧みに克服して仕事で成果を出していくために活用をしてみてください。
【筆者プロフィール】
高城 幸司(たかぎ・こうじ):株式会社セレブレイン代表取締役社長。1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。