低燃費性には「Fuel Saving Technology(フューエル セービング テクノロジー)」を採用。これはタイヤの軽量化と新樹脂配合のコンパウンド+空気抵抗を減らす新たなサイドウォールのラウンド形状によって転がり抵抗を低減させるというものだ。

試乗は様々なシチュエーションで行った。ウェットブレーキはスバル レヴォーグで60km/hからのフルABSブレーキで新旧の制動距離を比較した。ABSフルブレーキの感触が想像よりもしなやかに安定感を保ちながら路面に食いつく感覚に”止めにいっている”感が得られ頼もしい。ちなみに計測器を使った制動距離は従来製品(3回計測の平均値)では15.82mだったのに対し新製品(2回計測の平均値)では15.31mだったのでマイナス51cmと、ほぼ3%の向上は確認できた。

ウェットコーナリングは低μハンドリング路を使いスカイライン400Rで旧タイヤを比較した。もっとも印象的だったのは大きめのS字コーナーの2つ目をややオーバースピード気味に入り、するとこの滑りやすさではフロントタイヤがススーッと外に逃げてしまうかと思いきや…、アンダーステアが出にくかったことだ。大きなカーブでアンダーステアをあえて作り比較をしたけれど結果は同じ。新製品はウェット路面でも横方向のグリップが多角保たれ、操舵感も抜けにくい。ちなみに先にハンドルを握った従来製品であっても決して性能が劣るという印象ではなく、むしろ車が400Rなだけにオーバーステアになった際のコントロールが面白いほど。

新製品のコントロール性の高さは先代譲りと言えそうだが、さらに応答性に優れドライバーが挙動の変化をわかりやすく、すると対応がしやすくなるから走りやすい。ESCの介入頻度も少なく、つまり安定性も高いと言えるだろう。

アバルト595という個性的なスポーツモデルで行ったドライ路面の100km/hの高速走行&ハンドリングでは、そもそもアバルト595のハンドリングがキビキビ系であり、そんな俊敏な動きを足下で支えられている安心感がある。また連続するタイトコーナーではタイヤの角の角までまるく滑らかに使ってグリップし、グリグリと曲がるような感覚が頼もしく、楽しかった。これはコーナリングが得意なアバルト595を何度もドライブした経験のある筆者としてアシンメトリック6を装着することで得られるドライブフィールならではではないかと思えた。

試乗の仕上げは一般道だ。ここで想定外だったのは直線よりもコーナーのフィーリングの良さだった。一般道レベルながらコーナリングはタイヤのトレッド面全体で路面を捉え、ラインをトレースしていく。しなやかなタッチでカッチリとグリップする感覚がいい。左右にハンドルを操作しながら走るワインディングの滑らかな質感もいい。ドライブフィールにカッチリとした印象のあるA200dにアシンメトリック6を装着したことで、スポーツ性を高めながら快適さを車とタイヤで補い合っているという感想を抱いた。

また比較的、路面のきれいなところではフラットな静粛さを、路面の所々にひび割れや未補修、補修箇所もあるような路面では、ザラザラ、ゴロゴロとした感触を手応えや足下の堅さで感じるたが、そのわりに静かで乗り心地もいい。ただロードノイズのような振動音はそれなりにある。が、個人的にはスポーツタイヤとしては気にならないレベルだ。

ちなみに今回試乗ができなかった高速道路については、グッドイヤーの方によれば「バタバタやロール、ピッチングが少なく目線の動きが少ないドライブをサポートできるだろう」とのことだ。

近年、車の性能は進化を続け、大型/重量級のモデルも増えている。衝突安全性、各種サポートデバイス、室内空間を広くとか、どんどん大きく重くなっている。ハイパフォーマンスカーのアジリティも向上している。電動車はハンドリング性能にこだわるモーター駆動のハンドリング、乗り心地を実現している。そんな車たちの進化も少し先まで見据えてパフォーマンスを足下から高め開発を行ってきたのがアシンメトリック6だ。

愛車の進化や熟成を求め、優れた性能や品質などのより高いパフォーマンスをサーキットのようなハイスピードの世界よりも日常に目線を向けて選ぶシューズとしてはバランスも満足度も高いタイヤと言えそうだ。

文:飯田裕子 写真:尾形和美
Words: Yuko IIDA Photography: Kazumi OGATA