19歳のlia (Vo)が自ら作詞作曲を手掛けるバンドプロジェクトshallmが3月リリースの5thデジタルシングル「花便り」を皮切りに8月まで、デジタルシングルを6ヶ月連続リリース中だ。バラードやソリッドなロックチューン、毒性の高いラブソングなど、バリエーションに富んだ楽曲の数々を発表してきた連続リリースの最新作にして、第5弾が9thデジタルシングル「ヘミニス」となる。

◆shallm 動画 / 画像

新曲「ヘミニス」は前田公輝と久保田紗友がW主演を務めるドラマ『私をもらって〜追憶編〜』の主題歌としてlia自身が書き下ろしたもの。愛しい人に想いを馳せながら、もう一度出会いたいとの願いが込められた幻想的なバラード曲だ。男女の両視点を生かした歌詞は綿密である一方、複雑になり過ぎないアレンジや歪みきったファズギターの音色が感情を刺激する。いわゆるバラードという枠を超えたバンドサウンドはshallmならではのものだ。

また、「二人の記憶が宿る写真をもとに、一緒に行った場所を巡り。そのラストシーンでは屋上でバンド演奏を」というストーリー仕立てのミュージックビデオが楽曲「ヘミニス」をもり立てる。約1年ぶりのliaインタビューでは、この過密な月日を振り返ってもらいつつ、楽曲「ヘミニス」についてじっくりと話を訊いた。


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■“伝わったら嬉しい”という気持ちが生まれたのが
■曲を作ってよかったなと思うことのひとつ


──前回のインタビューが2023年9月で、「初ライブがこれからで、緊張している」とおっしゃっていましたが、そのあと12月に代官山UNITでの初のワンマンライブ<shallm 1st Live - liliana ->が、そして2024年3月に恵比寿LIQUIDROOMで二度目のワンマンライブ<shallm 2nd Live - アイオライト ->がありました。まずは、その2本のライブの感想を聞かせてください。

lia:初ワンマンはもちろんド緊張したんですけど、2ndライブもド緊張して。いつまで経っても緊張はしそうだなと思いました。それは人の前に立つ緊張もあるんですけど…2ndワンマンの会場だったLIQUIDROOMは、観客として行ったことがある場所でもあったので、「あ、ここでやるのか」という緊張感もあったんですよ。なので、セトリの最後に「夢幻ホログラム」という“憧れのステージに行きたい”という想いを込めた歌を歌う時に、感極まって泣いちゃって。すごく感情移入しちゃいました。

──liaさんにとって「夢幻ホログラム」という曲がさらに特別になった瞬間だったんでしょうか?

lia:そうですね。曲を書いた時は、自分の夢とか気持ちをちょっとストレートに出しすぎたかな?と思ったんですよ。だけど歌ってみたら、ストレートな分、自分の感情を語るように歌えたというか。だからこそ感極まってしまったんじゃないかと思っていて。「夢幻ホログラム」は今歌っていて一番好きな曲かもしれないです。歌っている最中って、曲を作っている時に浮かんでいた感情がもっと強くなる感覚があるんですよ。


──それは、聴いてくれている人が目の前にいるから?

lia:そうだと思います。Instagramなど配信ライブで歌う時も、“今この歌をリアルタイムで聴いてくれている人がいるんだ”と思ったら、“伝えたい”という気持ちが出てきて、自分の気持ちが高まっていくのを感じます。私は元々歌が好きというところから始まったので、最初は“伝えたい”と思ったことはなかったんですけど、だんだん“誰かに聴いてもらえているんだ”というふうに思えてきて。“伝わったら嬉しい”という気持ちが生まれたのが、曲を作ってよかったなと思うことのひとつです。聴いてくれている人が本当にいるんだと思ったら、やる気がどんどん出てきます!

──リリースも積極的に行っていますしね。現在は6ヶ月連続配信リリースの真っ最中ですし。

lia:毎月リリースさせてもらって、かなり濃い時間を過ごしてます。前回のインタビューでも「怒涛すぎて楽しい」と言っていた気がするんですけど、どんどん濃くなってきているなと。

──どうして6ヶ月連続でリリースしてみようと思ったんですか?

lia:shallmを始めた時点で10曲くらい制作中の楽曲があって、その曲たちを出演させてもらっているライブで歌っていたんです。ただ、リリースするタイミングがなかなかなかったので、今回6ヶ月連続で出そうということになりました。

──7月6日にリリースされた「ヘミニス」は、6ヶ月連続配信リリースの第5弾。現在放送中のドラマ『私をもらって〜追憶編〜』の主題歌として書き下ろした曲なんですよね。

lia:はい。恋愛的な要素もあるし、サスペンス的な要素もあって、ずっとドキドキできるドラマなんですよ。目を見張るような展開ばかりなので、いつも“なんだ、なんだ?”と思いながら見ていて…本当に面白い作品だなと思ってます。


▲9thデジタルシングル「ヘミニス」

──主題歌制作のオファーをいただいてから、どんな作業から始めましたか?

lia:原作の漫画を読むところから始めました。“どんな曲にしようかな”と考えながら読んでいるので、同じところを何回も読み返したりするんですけど、ストーリーが面白過ぎてしまって。先が気になるいち読者としての自分が“早く続きを読みたい”と思っているところをなんとか我慢する葛藤がありました(笑)。

──曲の方向性は、原作を読みながら考えていったんでしょうか。

lia:そうですね。出てくる台詞などをチェックしながら読んでいきました。「甘すぎないラブソング」「バラードで、サスペンス要素もほしい」というオーダーをもらっていたんですが、原作を読みながら、二人の強い絆を描きたいなと思いました。“こんなに強い絆で結ばれている人と出会えるなんて、いいな” “私も出会いたいな”と思ったので。

──そこから双子座というテーマに繋がったと。

lia:はい。原作の中で二人で星空を見るシーンがあって。そこで“あっ、星にちなんだ曲にしよう”と思いました。ドラマと合わせて流れた時に、雰囲気の手助けになるような歌になっていたら嬉しいです。

──特に気に入っているフレーズは?

lia:1サビの3〜4行目。“私の気配や仕草を/今はそっと記憶に刻み付けながら”というところが特に好きです。

──全体的にソングライティングはスムーズに進みましたか?

lia:「甘すぎない」の匙加減が難しかったです。最初は結構迷って、たくさん案を出しました。あと、先方からリファレンスとしていただいたのが、ソロのシンガーソングライターの方たちの楽曲で。shallmはバンドプロジェクトなので、バンドサウンドで表現したかったんですけど、そのバランスが結構難しかったです。アレンジャーさんに「サスペンス要素を出したいから機械音を取り入れてほしい」とお願いしつつ、サウンドがあまり複雑になりすぎないように気をつけました。

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■完璧な美しさを持っている曲
■そういうものを私もずっと求めている


──「ヘミニス」のレコーディングはいかがでしたか?

lia:私の曲は声を結構強めに張り上げる曲も多いんですけど、この曲は優しく歌うように意識しました。

──相変わらず音域も広いですよね。オクターヴ近く離れているようなメロディの移り変わりもあったりして。

lia:特にサビは音域が広くて、高音も低音もあって。高音では歌詞に合わせて切ない雰囲気を出すことを、低音では言葉のひとつひとつをしっかり歌うことを意識しました。歌うのがけっこう難しかったです。

──いつもご自身にハードルを課していく制作スタイルですよね。

lia:作ることに集中しすぎると、自分が歌うんだということを忘れてしまって(笑)。レコーディングの日が決まってから“あっ、そうだった”って思い出して、“どうしよう”と思いながら練習して。それで練習しているうちに“歌えるかも”と思えるようになっていく。この繰り返しです。

──今回の曲もたくさん練習しました?

lia:自分の声が一番綺麗に聴こえる音域よりも下の音域の音が結構多かったので、“どうやって歌ったら綺麗に聞こえるんだろう?”とたくさん練習しました。


──歌うことを考えずに作曲して、練習したら歌えるようになる、その繰り返しだという話でしたけど、制作を重ねていくなかで、自分のボーカルの成長を感じることもあるのでは?

lia:そうですね。私は元々Adoさんが憧れの存在なので、shallmを始めたての頃は一生懸命がなり声の練習をしていたんですよ。だけど自分の曲を歌うようになって、がなりたい曲だけじゃなくて、優しく歌う曲も増えてきて。選択肢が増えたなと思ってます。

──いいですね。

lia:曲を作りながら、いろいろなジャンルの音楽に手を出せるのがすごく楽しくて。日や時期によって聴きたい曲って変わるじゃないですか。私も同じように自分の作りたい曲も変わっていくものなので、いろいろな曲を作れるのはすごく楽しいなって。

──最近新たに聴くようになった音楽はありますか?

lia:ボカロはずっと好きなんですけど、洋楽っぽい、おしゃれな雰囲気の曲も最近はカッコいいなと思いながら聴いてます。ボカロはボーカルが高音だったり、メロディの起伏が激しかったりするんですけど、メロディの動き方も、声の使い方も全然違うなって。最近特に好きなのは礼賛というバンドで、ラップっぽい、メロディに囚われないボーカルがすごく面白いなと思ってます。サウンドもジャズみたいでカッコよくて。新しい扉を発見しました。

──そういう曲をいつか自分でも作るかも?

lia:どうでしょう? でもメロディに囚われなかったことがないから、できるのかな…。ちょっと恥ずかしいし。

── 恥ずかしい?

lia:カラオケで礼賛の曲を歌った時に、“やっぱり私はメロディがはっきりしている曲じゃないとダメなんだ”と気づいたんですよ。もちろん曲自体はカッコいいんですけど、私が歌うのかって思うと恥ずかしくて。ラップのように音程がステイだと、喋っているみたいだから恥ずかしいのかもしれないです。できたらカッコよさそうだからやってみたいと思いつつ…でもやっぱり恥ずかしくて…。


──あはははは。今後、やってみたい音楽はありますか?

lia:私、カッコよくなりたいので、カッコよくなれるような曲を常に作っていたいです。どんどんカッコいいを更新して、最新曲が一番胸を張れる自分でいたい。

──カッコいいというのは、ただ曲調が激しいとか、そういう話ではないですよね。

lia:はい。例えば米津玄師さんの曲を聴くと、全てが美しいなと思うんですよ。歌詞の語尾が同じ母音で揃ってたり、“ここの話がここと関連しているんだ”という部分があったり…完璧な美しさを持っている曲ばかりだなと思っていて。そういうものを私もずっと求めているんですけど、まだまだだと思うので、頑張りたいです。

──締切もある中で、完璧を求めていく作業は大変じゃないですか? どこかで制作を終わらせなければいけない時がくるじゃないですか。

lia:基本的に、自分が作った曲に対して満足できない性格なんですよ。出来上がってからも“もっとできたんじゃないか”とか、“今だったらもっとこうするかも”というふうに思ってしまうし。

──納得のハードルも日々上がっていっているでしょうしね。

lia:はい。だけど、だんだん納得できることも増えてきたというか。作っている時は集中してその曲のことばかり考えているから、客観的な視点で見ることはできなくなっているんですけど、作り終わってからだったら、自分の曲を落ち着いて聴けるので。しばらく経ってから聴いた時に“いい曲なんじゃないか”と思えることも増えてきました。

──いいですね。

lia:とある有名な歌手の人が、「締切が近づいてきたら、子どもを送り出す気持ちで送り出せ」というふうに言っていたと、母から教えてもらって。“ああ、そうか”と納得しました。私の場合はそういう運命かと思ったら、受け入れられるなと。“もっといけるな” “もっとできそう”と常に思ってはいるけど、運命だと受け入れたら、あとから納得できることも多いです。

──8月にリリースされる第6弾楽曲も楽しみにしています。最後に今後の活動について聞かせてください。いろいろなイベントライブ出演も控えているようですが、ライブでのまだ緊張は拭えなさそうですよね。

lia:そうですね。たぶんおばあちゃんになっても緊張します(笑)。

──これからshallmのステージを観る人に、どんな姿を見せたいと思っていますか?

lia:先程と重なってしまうのですが、本当はカッコいい人になりたいんですけど、まだカッコよくなれてはいないのかな。なので、だんだんカッコよくなっていく姿を見てもらえたら面白いのかなと思います。私、緊張するとすぐテンパっちゃうので、そこがよくないなと思っていて。カッコよくライブパフォーマンスできるようになりたいです。修行は続きます!

取材・文◎蜂須賀ちなみ

■9thデジタルシングル「ヘミニス」

2024年7月6日(土)配信開始
※日本テレビ金曜深夜ドラマ『私をもらって〜追憶編〜』主題歌
配信リンク:https://shallm.lnk.to/geminisPR
歌詞:https://www.uta-net.com/song/356808/


■ドラマ『私をもらって〜追憶編〜』
放送局:日本テレビ「Friday’s EDGE(フライデーズエッジ)」
放送日時:7月5日(金)スタート
※毎週金曜 24時30分〜24時59分放送予定
※編成都合により時間変更の場合あり
※初回は24時45分〜25時14分放送
▼同時ネット局
STV(札幌テレビ)、RAB(青森放送)、TVI(テレビ岩手)、MMT(ミヤギテレビ)、ABS(秋田放送)、YBC(山形放送)、FCT(福島中央テレビ)、TeNY(テレビ新潟)、TSB(テレビ信州)、YBS(山梨放送)、SDT(静岡第一テレビ)、KNB(北日本放送)、KTK(テレビ金沢)、CTV(中京テレビ)、NKT(日本海テレビ)、HTV(広島テレビ)、KRY(山口放送)、JRT(四国放送)、RNC(西日本放送)、RKC(高知放送)、FBS(福岡放送)、NIB(長崎国際テレビ)、KYT(鹿児島読売テレビ)、UMK(テレビ宮崎)
▼配信情報
Hulu/TVer毎話放送後見逃し配信
※「私をもらって」〜恋路編〜は、〜追憶編〜の最終回放送後Huluにて先行配信

出演:前田公輝 久保田紗友
栗原類 K (&TEAM) 柾木玲弥 手塚真生 山口大地 田島亮
原作:『私をもらって』RoseBean(「NAVER SERIES」連載)
『私をもらって』RoseBean・One Punch Rabbit(「LINEマンガ」連載)
脚本:下田悠子、目黒啓太、本田周、郄橋泉
演出:池田千尋、常間地裕、倉橋龍介、三島有紀子
音楽:小山絵里奈
楽曲:「ヘミニス」shallm (Virgin Music / ユニバーサル ミュージック)
制作:下村忠文
プロデュース:中村圭吾
監修:川邊昭宏
プロデューサー:ヘリー・アン、三木裕明、齋藤寛朗、李奇穎/石尾純
制作協力:カズモ
製作著作:日本テレビ

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