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――収録現場の雰囲気について教えてください。
ファイルーズ 皆さんこの世界に没入する必要があったのか、現場ではあまりおしゃべりせずにスッと収録に入っていった感じですね。あと音響監督の久保さんの返しが速すぎて談笑とかしている余裕がなくて(笑)。セリフについても「どう言おうか」とか「どう処理しようか」と考えたシーンもあったんですが、掛け合いをしていくうちに「このキャラクターはこういう気持ちだからこういう言い方になって、だからベルのこの言葉が出てくるんだ」っていう表現の引き出し合いが出来たので、周りの先輩方にも助けられました。

――冲方先生は今回のアニメ化に、どのようなかたちで関わっていますか?
冲方 最初はいただいた資料を元にクオリティコントロールをお助けするかたちになるのかなと思っていたんです。でも脚本を拝見した上でお話しを聞いてみたところ「あれ? もうなんも言うことないぞ」となりまして(笑)。ファイルーズさんに初めてお会いしたのも第1楽章のアフレコだったんですが、そこでの音響監督さんとのやりとりを聞いて「この方はわかっているな」と思いましたので、それ以降は全てお任せして余計なことを言わないように気を付けていた感じです。

ファイルーズ 原作の先生にそう言っていただけるなんて、何よりも嬉しく思います。アフレコでも先生がいてくださるっていうのはすごく安心感がありました。

冲方 「こういうニュアンスが欲しいかも」って思うと、スタッフの誰かがそれをキャストの方に言ってくれるので「すごく楽だな」と思って見ていました(笑)。逆に邪魔にならないように気をつけた感じです。

――実際に完成した映像をご覧になっての感想を聞かせてください。 
冲方 よくもまぁこの物語の世界観を僕の思い描いていた想像の一歩先の映像にしたもんだなと感心しています。とにかく全部のカットが面白いんですよ。僕がこの作品を書いた当時にはなかった技術も目白押しで、「今こんなこと出来るんだ、すごーい!」みたいに、視聴者気分で映像を楽しませてもらいました(笑)

ファイルーズ アフレコのときは線画や絵コンテの状態だったんですが、それに色が付いて動き出したら異世界感が強まりました。特にベルの異種感というか、異端というか、違う存在なんだというのがより際立って見えるんです。華奢な身体で大剣を振るうド派手なアクションも見どころのひとつだと思います。

冲方 ベルを通して絵がドラマを語っていますよね。そんな様々なベルのドラマを皆さんには存分に味わっていただければと思います。自分で作ってないですけど(笑)

――本作にはさまざまな亜人が登場します。気になる亜人がいれば教えてください。
ファイルーズ ネズミちゃんの月鼠族とかいいですよね。収録でも周りの人にずっと「ネズミが可愛くて」って言っていたりしたんですが、実はキャラデザで一番好きなのは弓瞳族のギネスなんですよ。角のある生き物が大好きで、学生時代に卒業制作で描いた羊の男の子が、ビックリするほどギネスにそっくりで、もう一目惚れレベルというか、すごい運命を感じちゃうぐらいギネスが好きですね。

冲方 僕はローハイド王かな。どんな風に世界が見えるのかとか気になりますよね。あと興味があるといえば飢餓同盟かな。飢餓同盟はサーカスのイメージなんですよ。気の合う仲間が集まっていて楽しそうだし、入りたくないけど一日体験とかしてみたいなって思います(笑)

――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
冲方 いままで原作を楽しんでいた方たちには改めてイメージの違いなどを映像で楽しんでいただければと思いますし、アニメで興味をもって小説に入ってきてくれる人がいたらそれもまた嬉しいなって考えています。単純にとても良く出来ているだけでなく、チャレンジブルな素晴らしいアニメになっていますので、一人でも多くの方に見てほしいですね。

ファイルーズ この作品は見る人によって解釈の幅がすごく広がる、考察しがいのある作品になっていると思います。キャラクターデザインもものすごく魅力的で、いっぱい素敵なキャラクターが出てくるので楽しみにしていてください。あと音楽にすごく力入れていると聞いています。この先のエピソードでも音楽がキーになるお話があるので、そういったところもぜひ楽しみにしていただければと思います。

<PROFILE>
ファイルーズあい
7月6日生まれ。ラクーンドッグ所属。主な出演作は『怪獣8号』(四ノ宮キコル)、『悪役令嬢レベル99 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜』(ユミエラ・ドルクネス)、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(空条徐倫)、『チェンソーマン』(パワー)、『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(夏海まなつ/キュアサマー)ほか。