杉野遥亮、俳優として大事にしていること 「“どれだけ自分の全力を出せたか”の積み重ね」
杉野遥亮が主演を務める連続ドラマ『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系)は、山岳医療にスポットを当てた完全オリジナルストーリーで、杉野は山岳医として励みながら自らの過去と向き合っていく宮本歩を演じている。山の知識×医療知識が問われる山岳医を演じる上での役づくりや、4月から撮影がスタートしたという現場の様子などを杉野にたっぷりと語ってもらった。
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ーーまずは、出演が決まった時の気持ちを聞かせてください。
杉野遥亮(以下、杉野):ありがたいなと思いました。過去にご一緒したスタッフの方もたくさんいるので、変に気負わなくてもいいですし、安心感があります。
ーー大森南朋さん、檀れいさん、岡崎紗絵さんと過去に共演経験のある方もたくさんいらっしゃって。
杉野:役柄と関係値がまったく違うので、再共演することは逆にむずかしいところもあるんです。ですが、4月から撮影をしているので、新しい関係性を築けています。
ーー4月から撮影されているんですね。
杉野:はい。連続ドラマの撮影は、時間に追われてしまうところがあるのですが、『マウンテンドクター』は、早撮りで撮影させていただいたり、台本が早めに出来上がっていたりするので、余裕を持って物作りに向き合えています。
ーー杉野さんが演じるのは“山岳医”とのことですが、撮影は過酷なシーンも多いのでしょうか?
杉野:「楽しいな」「疲れるな」「しんどいな」の繰り返しですね。ヘリが飛んで来たり、山を登ったり、救助をしたり……。なかなか経験できないことばかりなので、すごく贅沢な日々を過ごさせていただいているなと思います。
ーー実際に演じてみていかがですか?
杉野:僕が演じる歩は、普段は整形外科の医師なんですけど、山岳医となるとプラスアルファで山のことや救助の知識などを頭に入れなければならない。相当、大変なお仕事だなと思いながら演じています。
ーー事前にトレーニングもされたのでしょうか?
杉野:崖に落ちた人を助けなければならないシーンもあるので、ロッククライミング施設に行って勉強をしました。カラビナの手順も覚えました。あとは、医療監修の先生に入っていただいているので、いろいろなことを教えてもらいっています。
ーーご自身と歩の共通点はありますか?
杉野:最初の方は、歩のことはあまり好きではないなと思っていました。どこかやる気がない感じで。ただ、何かきっかけがあれば動き出せる人ではあるんですよね。第1話でスイッチを押してもらい、そこからどんどん成長していく姿が、ドラマの見どころになっていると思います。最終的には、どんな人でも共感してもらえるようなキャラクターになっていくんじゃないかなと思います。
ーー杉野さんは、目標を設定するタイプですか?
杉野:昔はあったかもしれないんですけど、今はないです。今は、「みなさんに自信を持ってお届けできるものを作らなければ」という責任感で動いている感じです。
ーー今回は主演という立場ですが、現場での振る舞いなど意識していることはありますか?
杉野:昨年、『ばらかもん』(フジテレビ系)を主演をやらせていただいた時は意識していました。「主演ってなんだろう」「座長ってなに?」と。今回も意識していないわけではないけれど、主演でもそうじゃなくてもやることは変わらないなと思ったんです。ただ、主演は一番長い時間その作品で演技をさせてもらう立場であり、軸となっていくので、「とにかくいい演技をしなければ」と思って頑張っています。
ーー『ばらかもん』を経て、考えに変化があったんですね。
杉野:意見をちゃんと伝えられるようになったのは大きいです。今回はとくにオリジナル作品だからこそ、疑問に思ったことはどんどん聞いています。
ーー原作ものとオリジナル作品では向き合い方もまた違うのでしょうか?
杉野:原作ものをやる時は、大事な軸をブラさないように、作品を愛してくれている人に失礼がないように、というのを一番に考えています。ただ、オリジナル作品の時も同じようなことには気をつけているので、向き合い方としては変わらないかもしれません。
ーーもうひとつの主演ドラマ『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(WOWOW)も同時期に放送されますが、なにか今後の展望や目標があれば教えてください。
杉野:僕は“この人みたいになりたい”というのを、あまり作らないようにしているんです。特定の人を目指したとしても、すでにその人がいるので。だから、どれだけ自分の全力を出せたかというのをこれからも大事にしていきたいです。たとえ後悔が生まれたとしても、それを消化できるような日々を過ごしていく。その積み重ねだと思います。
(取材=宮川翔/構成=菜本かな)