岡田将生も一緒に「いつか4人で芝居したいね」夢が叶った

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東京・錦糸町を舞台に、総勢50人以上の人間模様を描く群像劇、ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(毎週金曜深夜24時12分)。本作で初のドラマプロデュースを手掛ける柄本時生、柄本とともにメインキャストを務める賀来賢人、落合モトキのインタビュー【後編】。

【前編】では、舞台となる“錦糸町”についてや、20年来の友達でもある4人での共演についての思いを。

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「いつか4人で芝居したいね」夢が叶った




――もうひとりのメインキャスト・岡田将生さんを含め「劇団年一(ねんいち)」でも活動されている気心知れた4人で一緒にやるからこその強みは、どんな部分で感じていますか?

柄本「強みというのは、まだわからないというのが本音ですが。まず、3人を俳優としてとんでもなくリスペクトしていますし、親友だとも思っています。“こんなことがあったらいいな”とか“こういうことやろうぜ”と言っていたことが実現できるところまで来たことが、僕にとってはとにかく嬉しいことなんです。現場に入って、脚本について会話をした時に、“あぁ、僕らって大人になったんだな”と思いました。

“これがやりたかった”という感覚でしたし、しかも、それを映像として廣木隆一監督(※注)に撮っていただける。そこが強みになっていくのかなと思います」

※注:廣木隆一監督は、柄本が20年前に初めて出演したドラマ「4TEEN」(WOWOW)の監督。

ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第2話より

――勝手知ったる仲だからこそのやりやすさもあるんですか?

柄本「どうなんですかねぇ。あるような気はしつつ、緊張しています、僕は」

賀来「すごい緊張してるよね?」

柄本「めっちゃしてる!」

賀来「時生とモッくん(落合)は、廣木さんが監督の『4TEEN』で共演していて14歳の頃から知っていて、まーくんも廣木さんとやっていて。僕だけ廣木さんと初めてだから、緊張というよりヘラヘラしてるんです(笑)」

柄本「あははは! かっちゃん(賀来)は自然と現場にいて自然とセリフを言うから、もう感動しちゃって」

賀来「このメンバーでやる意味については、僕も考えました。僕たちの関係性を出さないともったいないなと感じて、撮影初日に廣木さんが『自由にやってみて』と言ってくれたのでやってみたんです。普段の関係のまんまで、お芝居なのかなんなのかはわからないものだったんですが、19歳くらいから知ってるみんなとのただの会話をお芝居に昇華できる幸せさを感じて、本当に楽しかった」

柄本「贅沢だよね」

賀来「そういう関係性って作り込んでできるものじゃないし、僕たちが楽しそうにしているのを廣木さんがちゃんと切り取ってくれる。それが画面に出るとことが面白いんじゃないですかね」

落合「お互い10代の頃から知っているからね。20代前半はプライベートで、ほぼ毎週会っていたような4人だから。各々とは仕事をしたことがあったけど、今回初めて“4人一緒”に映像として切り取ってもらえて。『いつか4人で芝居したいね』と話してた夢が叶ったんだなと思いながら、毎日現場に行っています」

ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」第2話より

――感慨深いですね。

柄本「感慨はすごく深いです。情報解禁日にネット記事とかを見て感動して、“本当なんだ!やれるんだ!”という喜びが急に来ました。それまでは心配なのかなんなのか、蕁麻疹がずっと出てて」

賀来「そうだったの?」

落合「毎日、感慨深いよね。朝、現場でメイクしていると、時生ちゃんが入ってきて『おはよう』って挨拶して。賀来くんが入ってきて、“今日も撮影が始まるんだな”と思って。カメラの前に立つと、お芝居をする役者の一人として居るわけです。

時生ちゃんには言ったんですが、自分に近い役を演じて3人の空気でただただ楽しいだけの作品で終わらせたくないという思いがあって。スタッフさんも巻き込んで愛される『劇団年一』でありたいなと思うし、観てくださる皆さんにもその空気を届けて、愛されたらいいなと思っています」

賀来「そうだね。モッくんが言っていることに完全に同意なんだけど、プラス真逆の思いもあって。僕は本当に毎日がただただ楽しくて(笑)」

落合「そうなんだよね(笑) カメラが回ってない時もしゃべっているから」

柄本「こんなにしゃべるかってくらいしゃべってるもんね」

賀来「普段は、今の現場みたいにしゃべんないから」

落合「そういうところは普段の現場と違うよね。集中されたいかなと思って、共演者の方と距離を置いちゃう時もあるので」

賀来「毎日、みんなとお芝居できておしゃべりもできるっていう時間はなかなかないので、いかにこの時間を育むか、そんな様子が画面からも伝わればいいですね」

落合「撮影中、賀来くんと2人で路上で待っている時、『こんな時間ないよね』って話したんですよ。『会おう』と予定を立てて一緒に居る時間じゃないくて、ただただベンチに座ってしゃべっている、そういう時間は後にも先にも今しかないんだろうなって」

賀来「みんな、もう大人で仕事も忙しいし、僕は子供も二人いるしね。ああいう時間は、なかなかないよね」

落合「そう。だから今までの埋め合わせをしている感じもあります」

俳優が制作に携わる意義



――柄本さんはプロデューサーでもあるので事前にいろんなことを想定していたと思いますが、これはイケるぞと確信に変わったのは?

柄本「僕、ビビりなんですよ。“大丈夫なのか?”“みんなはどうなんだろう?”と、ずーーーっと不安だったんですが、全部払拭してくれたのはこの2人です」

賀来「もう不安はないでしょ?」

落合「ないよね?」

柄本「ない! 初日、2人を見た時に、“ああ、大丈夫だ!”と思いました」


――今作は柄本さんと今井隆文さんがプロデューサー、賀来さんは主演ドラマ「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)で共同エグゼクティブ・プロデューサーをされています。俳優が制作に携わる意義ややり甲斐はどんなところにありますか。

落合「そうですねぇ。僕が初めてプロデュースした……」

柄本「してない!」

賀来「してないだろ!」

落合「してないか(笑)」

柄本「(笑) やり甲斐はいろんなところにあります。“制作”の内側を見ると、例えば、衣装合わせで、俳優は自分の衣装を着て終わったら帰るけど、プロデューサーは全員の衣装を見る。それひとつとっても、初めて知ったことに感動しています。ただ、監督や脚本家の意思もあるので、僕一人のものではないということは念頭に置いていて、“ここは逃したくない”というところだけ譲らずにやらせていただいています」

賀来「時生くんも感じていると思うんですが、最初に『柄本時生プロデュース』と出ると、その作品は“柄本時生の感性”なんですよ。それがめちゃくちゃ恥ずかしいなって」

柄本「あはは! めっちゃわかる!」

賀来「言い逃れできない。自分の感性や、やりたいことを作品にぶち込んだ責任を負う分、貫き通さなきゃいけないものもある。だから、やりたいことが観ている人に伝わった時は、俳優としてだけ参加するのとはまた違った感覚になるんです。時生が言ったように全体を見るし、作品が子供のようになるだろうし」

柄本「なる!」

賀来「“俳優”の仕事は受け身なので、“プロデューサー”をやるとなると、それまでとは考え方を多少変えないといけないんです。だけど、“表現”という意味では変わらない。だから、俳優って現場でこうしたい、ああしたい、こうするにはどうしたらいいだろうと話し合うんです。監督はまた別かもしれないですが、“俳優”と“プロデューサー”は延長線上にあるものじゃないかなと思いますね」


――落合さんも、制作にご興味はありますか?

落合「時生ちゃんから『こういう企画を出してみようと思うんだけど』と連絡をもらって、『すごくいいと思う』と言ったところから始まって今があります。撮影初日にメイクをしてる時、賀来くんが時生ちゃんに『本当によかった。ここまで準備しても撮影が中止になる現場もあるから。本当におめでとう』と言っているのを聞いて、“本当によかったね、時生”と思いました。

そういうのを見ていると羨ましいな、楽しそうだなと思いますが。僕は自分からやりたいという欲があまりないなので、こういう感じで船に乗るほうが合ってるかなと思いますね」


ドラマ24「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(毎週金曜深夜24時12分/※7月19日(金)は深夜24時27分からの放送)第2話は?

第2話木ノ本大助(賀来賢人)・今井裕樹(柄本時生)・奥田一平(落合モトキ)のこの日の清掃場所は、音楽アプリ会社「fabulous crew」のオフィス。社長の能は残っているもの全て廃棄していいという。だが見回すと能をはじめ社員たちの仲良さげな写真が。起業当初から子供の頃の写真まであり、本当に廃棄していいのか躊躇してしまう。またほとんどの家具がレンタル品だったが、能はその事実をまったく知らず「なんにもわかってなかったんだな」とショックを受けた様子で…。
能は「fabulous crew」は幼馴染の牧田、荒川と学生時代に起業したと語る。最初は能が借りた青山のマンションがオフィスだったが、開発したアプリがヒット。すぐ軌道に乗り錦糸町へ移転した。だが突然ある事実が発覚し会社をたたむことに――。一体何があったのか?
一方、大助らは“幼馴染3人で起業”という同じ状況の会社のなりゆきに、思わず自分たちを重ねてしまう。

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【プロフィール】
賀来賢人(かく・けんと)
1989年7月3日生まれ。東京都出身。2007年俳優デビュー。ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)、「アフロ田中」(WOWOW)、「ニッポンノワール-刑事Yの反乱-(日本テレビ系)、映画「森山中教習所」(2016年公開)など出演作多数。世界配信ドラマ「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)では、主演・原案・共同エグゼクティブプロデューサーを務める。映画「聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメン VS 悪魔軍団〜」(2024年12月20日公開予定)など出演作の公開が控える。
X:@kentkaku
Instagram:@kento_kaku

柄本時生(えもと・ときお)
1989年10月17日生まれ。東京都出身。2003年、オムニバス映画 Jam Films S「すべり台」(2005年公開)で俳優デビュー。ドラマ「Q10」(日本テレビ系)、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(NHK)、「ひねくれ女のボッチ飯」(テレ東)、「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、映画「俺たちに明日はないッス」(2008年公開)など出演作多数。本作「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」(テレ東系)がドラマ初プロデュース。
Instagram:@emototokio1989

落合モトキ(おちあい・もとき)
1990年7月11日生まれ。東京都出身。2002年の主演ドラマ「4TEEN」(WOWOW)で本格俳優として活躍。「ぴーすおぶけーき」(日本テレビ系)、「ナースが婚活」(テレ東)、連続テレビ小説 「らんまん」(NHK)、「筋トレサラリーマン中山筋太郎」(日本テレビ系)、映画「鯨の骨」(2023年公開)、舞台「あのよこのよ」
(2024)など出演作多数。2024年10月「チャチャ」(酒井麻衣監督)の公開が控えている。
Instagram:@motoki_ochiai

(取材・文/タカモトアキ)