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 日韓の女性歌手が懐メロを歌って競い合う韓国のテレビ番組で、ほとんど無名だった日本人が大ブレイクを果たした。その名は歌心(うたごころ)りえ(50)。いったい彼女は何者で、どうして人気が出たのだろうか。

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【写真を見る】50歳にしてブレイク! 美貌も注目されている歌心りえ

 韓国の大手総合ケーブルテレビ局「MBN」で今年4〜5月に放送された「日韓歌王戦」が、歌番組としては異例の高視聴率を記録し、もはや社会現象になっているという。

 在韓ジャーナリストの金敬哲氏によれば、

「この番組は、日韓双方から女性歌手が7名ずつオーディションで選ばれ、国ごとの団体戦で歌を競い合うもの。日韓の懐メロが歌われるところが中高年層の心に響き、ヒットの一因となったのだと思います」

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地上波の自主規制にも変化が?

 韓国は反日感情や自国の産業保護の観点から、日本の大衆文化の輸入を長きにわたり制限してきた。1998年以降、段階的に制限は撤廃されてきたが、

「今でも地上波では、日本語の曲を流すことを極力避ける自主規制が行われているようです。しかし、『日韓歌王戦』は日本人が日本語で堂々と歌っており、それが新鮮かつ好意的に受け止められました。韓国はケーブルテレビの存在が大きいのですが、それでもやはり地上波のほうが影響力が強い。今後、この番組がきっかけとなり、地上波の自主規制も変わっていく可能性があります」(同)

日本の曲の良さを再認識

 歌心は、そんなヒット番組「日韓歌王戦」が生んだスターである。

「95年に音楽ユニット『レティットゴー』でデビューし、ポカリスエットのCMソングを歌うなどした彼女はその後、さまざまなグループに参加したり、ソロ歌手として歌ったりと地道に活動を続けてきました。近年は、夫が営む東京・下北沢のライブレストランで年に3〜4回、自身のライブを開催していたようです」(レコード会社関係者)

 このたび、大ブレイクを果たした理由は、

「根底には圧倒的な歌唱力の高さがあるでしょう。同番組で彼女が歌った中島美嘉さんの『雪の華』はユーチューブで392万回も再生されており、日韓両方の言葉で歌のうまさをたたえるコメントが相次いでいます。今時の韓国の中高年は、海賊盤やカバー曲で日本の音楽に親しんできた世代。そんな彼ら彼女らが歌心さんを通して、日本の曲の良さを再認識しているのです」(前出の金氏)

「思いっ切り歌えない恐怖心を克服できた」

 同番組に出た経緯を歌心本人に尋ねると、

「昨年の夏、前に所属していた事務所の方がオーディションを勧めてくれたんです。私は歌謡曲が好きだったので、ウェブから応募してみたら運よく合格できてしまい、現在に至っています。正直、テレビに出て有名になったという実感はいまだにありません」

 こう明るく語るが、下積みの苦労も経験してきた。

「実は数年前から声が出なくなっていました。いちど声帯を壊したことで、思いっ切り歌えないという恐怖心が芽生えてしまったからでした。オーディションを受けたのは、ちょうどそんな状態から復活しようともがいていた時で、夫から“君には歌しかない”と励まされ、なんとか恐怖心を克服できたんです」(同)

 9月には先のライブレストランにて、1日2回の公演で各回40名限定のライブを開催予定である。つい先日、チケットは即売り切れたそうだが、さすがは苦労人だけあって、これまでと同じ地道な活動を続けていくのだろう。

「週刊新潮」2024年6月27日号 掲載