PCだとスルーしてしまう誤字に、書類だと気づくのはなぜ? 紙に出力したほうが作業がはかどる理由
古来より、文字や絵などを記録するために使われてきた「紙」。
しかしデジタル化が進む現代では、“ペーパーレス”の傾向が強くなっています。
わざわざ紙の書類を読まなくても、PCやスマホ、タブレットなどでデジタルな書類を読むことができますし、小説やマンガ、雑誌なども電子書籍で楽しめます。また、キャッシュレス決済の普及で紙幣すら使う機会が激減。
一度デジタルな生活に馴染んでしまうと、もう戻れない感じがします。
しかし、あらゆるものがデジタル化されることで、脳が体に送る動作の精度が低くなって、脳に余計なエネルギーを使わせてしまい、結果として脳が疲れてしまう脳疲労という弊害が起きています。
そう語るのは、作業と脳の関係に詳しい作業療法士の菅原洋平さんです。
今回は、デジタル化の利便性を最大限に享受できる作業と、実は紙で行なうほうが適している作業について、菅原さんにお話を伺いました。
より効果的に、効率よく仕事や勉強を進めていくには、どのような方法が適しているのでしょうか。
便利になると脳が疲れる? デジタル化の弊害とは
スマホやタブレットを日常的に使う現代。デジタル化が進む日常は、脳にどのような影響を及ぼしているのでしょう。
一番大きな影響は、触覚情報の不足です。脳は前後2つに分かれていますが、後ろにある頭頂葉には見たり聞いたり触ったりした情報が集められ、それを前にある前頭葉に送り、過去の記憶と照らし合わせて、体に命令を送っています。
このとき、頭頂葉の情報が少ないと判断材料が少なくなるため、体に送る命令が曖昧になります。曖昧なぶん、正確な命令を送るために脳は修正作業をする必要が生じて、エネルギーを余計に使うことになります。
たとえば、紙の本を読む場合と、タブレットで電子書籍を読む場合。
前者は紙の質感にふれながら1枚ずつページをめくり、重要だと思うところは指でなぞってみたりと、さまざまな動作を行ないながら読み進めていきます。
一方、後者は視線で文字を追っていくことがメインとなり、動作といえば画面をスワイプしてページを送ることくらい。ドラッグしてマーカーを付けたりすることもできますが、どれも「ディスプレイに触れる」という同じ動作になります。つまり、触覚情報が乏しい状態なのです。
同じ内容のものを読んでも「紙の場合のほうが文章の意図を理解しやすい」と感じるのは、この触覚情報の有無が大きく関連していると言えます。菅原さんは、これを「デジタル化の弊害」と表現しています。
紙の本は、本が重たかったとか、ページをめくったとか、文字を指でなぞったという感覚が、文章に注意を払ったり、他の箇所と比較したりする助けになります。デジタルの場合は、その部分の感覚が少なくなってしまうため、文章の意図を、より深く理解することが難しくなってしまうのです(※1)。
「キャッシュレス決済が普及したことで、つい無駄遣いをしてしまう」なんて声を聞きますが、実際に紙幣や小銭を自分で触らなくなっているため、「お金を使う」という行為への意識が希薄になってしまうためなんでしょうね…。僕も気をつけないといけません。
デジタルとアナログの効果的な使い分け
しかし我々人類は、デジタル化の波に逆らうことはできません。一度便利な思いをしてしまうと、なかなかそこから抜け出せませんよね。
デジタル化した現代社会で人間の持つ感覚を研ぎ澄ませていくには、どのようなことを行なっていけばいいのでしょうか。
それにはデジタルとアナログの特徴を理解して、デジタルでやるべきことと、アナログでそれを補完するということを、自分で意識的に行なっていくことが必要だと思います。
たとえば、自分の考えをまとめたいときは紙とペンのほうが向いていますし、会議の議事録などのように、あらかじめ決まった内容をまとめるのならばデジタルのほうが向いています。
おもしろいのが「パソコンのキーボードで文字入力をしているときは、ほかのことを考えることができない」ということ。
たとえば、ホワイトボードに「紙のメリットについて」と書きながら「ここ、テストに出ますよ」と言うことは可能ですが、キーボードで文字入力しながら別のことをしゃべるということはできないんです。
つまり、キーボードで文字入力をするという行為自体に脳の容量を多く使ってしまっているため、同時にほかのことが考えられなくなってしまうのです。
これ、実際に試してみるとわかるんですが、ほんとにできないんですよ。みなさんもやってみてください。できませんから。できる人は、おそらく天才なんだと思います。
タブレットで小説やマンガを読む場合は、内容が脳に記憶されても、あくまでも文字情報としての記憶にとどまります。紙とノートパソコンで小説を読んで、内容を思い出す場合、具体的な内容への質問はノートパソコンで読んだほうが答えられるのですが、内容を理解して推測しなければならない質問は、紙で読んだほうが答えられることがわかっています(※2)。
デジタルデバイスでは、文字を読んでいるだけで負担が大きく、内容を深く理解する余裕がなくなってしまうのです。
一方で、デジタルは「整える」という点でアナログよりも優位な点があります。
たとえばイラストレーターさんは、アイデアを考えているときは紙とペンを使い、イラストを仕上げる段階でデジタルデバイスを使うという方が多いようです。
デジタルデバイスでは、線を引く前にコマンドを選択してその都度注意が中断されたり、イラストの完成度に注意が引きつけられたりしてしまうことが認知的に負担になりますが、あらかじめ紙の作業で考えがまとまっていれば、これらはデメリットになりません。
考えるときはアナログで、整えるときはデジタルで。
両者のいいとこ取りをすることで、脳の活性化も行なえますし、効率よく作業をこなしていくことが可能となります。これが現代のデジタル&アナログの二刀流ってところでしょうか。
ちなみに、日常的な脳の活性化には家事がいいとのこと。もし「食器洗いは面倒だし、玉ねぎのみじん切りは苦手」というなら、それは機械や便利グッズにお任せしてOK。その代わり、やりたいことや面倒じゃないと感じることを自分でやることで、脳は自然と活性化するようです。家事の時短により浮いた時間を、趣味の時間にあてるのもいいんだとか。
やっぱり、上手な使い分けが重要なんですね。
紙でチェックしたほうが間違いを見つけやすい理由
もちろん、菅原さんは意図的にデジタルとアナログを使い分けています。
私は、論文はプリンターで印刷して読んでいます。一方で、事務的な連絡が書いてあるものはデジタルデバイスで読んでいます。本はすべて紙のものですね。
私の場合、書籍は資料として読むことが多いので、しっかり読み込むというよりは「こういうことがあるんだな」とか「こういう側面からの考え方もあるのか」というように、情報を取捨選択して読むことがほとんどです。
そうすると、こういう文章で書かれていたなとか、その書籍のなかのこの辺のページに書いてあったなというイメージが頭に残っているので、あとでその情報が必要になったときに「あの本のこの辺りに書いてあったな」という感じで読み返したりします。これはデジタルでは管理できません。
大昔から、食料が確保できる場所を記憶することは生死に直結していたので、紙や本など、空間に実在する物の位置を記憶することは、脳になじみが深いのかもしれませんね。
また、文章のチェックをデジタルで行なうよりも、紙に出力してチェックしたほうが誤字に気付きやすいというのも脳の働きに関係しています。
ある放送作家の方が、台本をざーっとめくっていくと誤字が浮いて見えるという感じのことを言っていました。これは「視覚性プライミング効果」と呼ばれ、過去の記憶が自分の中にあって、その感覚をもとに見ていると、違和感を感じやすいというものです。
自分が触れてきた文章の記憶と異なる部分があると、流し読みをしているだけでもそこだけにはっきりと違和感を持つので、より気付きやすくなるというわけです。
これが、タブレットなどのデジタルデバイスで見ていると、文字を画像として脳が認識するため、自分が今まで触れてきた文章と比較できず、不自然と感じないそうです。
やはり、紙でチェックしたほうが間違いは見つけやすいんですね。
薄々気付いてはいましたが、やっぱりそうでしたか…。これからは印刷してチェックしたいと思います。この原稿も印刷してチェックします!
お話を伺ったのは── 菅原洋平(すがわらようへい)さん
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。1978年生まれ。国際医療福祉大学を卒業後、作業療法士免許取得。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で睡眠外来を担当する傍ら、企業研修を全国で行なう。『頭がいい人は脳を「運動」で鍛えている』(ワニブックス)、『超 すぐやる!「仕事の処理速度」を上げる“科学的”な方法』(文響社)ほか著書多数。
※1 柴田博仁,他(2016):テキストタッチが読みに与える影響:タブレット端末の利用がアクティブリーディングにもたらす影響の分析.情報処理学会論文誌.vol.57,No.9,2131- 2141,
※2 Kaufman,G.and Flanagan,M.(2016). High-low split: Divergent cognitive construal levels triggered by digital and non-digital platforms. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems(CHI’16),2773- 2777. New York : ACM.
一家に1台、エコで設置しやすいプリンター「HP Smart Tank 7305/7306」
ということで、文章のチェックには印刷したものが最適だということはわかりましたが、それに必要なのがプリンターです。でも、プリンターって場所を取りますし、印刷コストも考えると、導入にちょっと躊躇してしまいます。
そんな不満点を解決してくれるのが「HP Smart Tank 7305(グレー)/7306(ダーク サーフ ブルー)」。このプリンターの特徴をかいつまんでご紹介します。
1.インク代が安い!
「HP Smart Tank 7305/7306」のインクは、カートリッジ式ではなくボトル式。しかも、同梱のインクボトルでモノクロなら約6,000枚、カラーは約8,000枚の印刷が行なえます。しかも、黒のインクボトルは標準で2本付属しています。モノクロ印刷なら1万2000枚もできちゃいます。
しかもランニングコストも安いんです。A4用紙1枚あたりのインク代はモノクロなら約0.33円、カラーは約0.93円。コンビニプリントはモノクロなら1枚10円、カラーなら50円以上というところがほとんどなので、本当にお得ですよね? すごい。
2.設置場所に困らない
プリンター導入で問題になるのが設置場所。給排紙の関係上壁際に寄せられなかったり、そもそも大きかったりして、部屋の中での存在感がやけにあったりして…。それが気になって導入に至らないという人もいるでしょう。
「HP Smart Tank 7305/7306」は、そもそもが42.75×36.40×24.03cmとコンパクトなうえに、前面給紙・前面排紙、無線LAN接続が可能。つまり、壁際に付けて設置することができるんです。
給紙カートリッジはA4用紙を250枚セットできるので、頻繁に補充する必要もありません。
3.大量印刷に向いている自動原稿送り機能
「HP Smart Tank 7305/7306」は、コピー機として使用することもできます。そのときに役立つのが「自動原稿送り装置(ADF)」。大量の資料をコピーしたいときなどは、フィーダーにセットするだけで、あとはプリンターにお任せでOK。1枚1枚資料をセットする手間はありません。
シリーズで、この自動紙送り装置を装備しているのは、ハイエンドモデルであるこの「HP Smart Tank 7305/7306」だけです。
4.両面印刷で資料を半減
また、「HP Smart Tank 7305/7306」は1枚の用紙の両面に印刷ができる両面印刷機能を搭載しているので、片面印刷に比べて用紙を半分に減らせてとってもエコ。会議の資料などを印刷する場合、両面印刷をすることで紙の消費量を大きく抑えることができます。
「HP Smart Tank 7305/7306」には、 スマホやPCにインストールして使えるアプリ「HP Smart」があり、そのアプリを使えばスマホのカメラを使ってスキャンできるカメラスキャン機能や、 電話回線がなくても使えるモバイルファクス(送信専用)など、日々の作業や趣味を快適にする機能が盛りだくさんです。
デジタルとアナログをうまく使い分けていこう
人間の記憶力を活性化するために、視覚情報だけではなく触覚情報も重要ということが菅原さんのお話でわかりました。触覚情報を得るためには、積極的に紙に触れるということが必要です。
菅原さん曰く、
もし、ご家庭でお子さんと一緒に勉強する場合は、体験を共有していただきたいので、お絵描きや色塗り、物語を読みながら本に線を引いていくということをやっていただくと、ずっと記憶に残りやすいと思います。
とのこと。
大人だけではなく、子どもにとっても紙に触れるというのは重要。オフィスや家庭にプリンターを導入して、積極的に印刷して使うことで、デジタルとアナログを駆使した、新しいハイブリッドなスタイルで能力を活性化していくことができるでしょう。ぜひ活用してみてください。
年に一度の「Amazon プライムデー」でお得に買える!
2024年7月16日(火)〜7月17日(水)の期間で開催される「Amazon プライムデー」で、「HP Smart Tank 7306」(ダーク サーフ ブルー)もプライスダウン!
「デジタルとアナログを駆使して能力の可能性を伸ばしたい」と思う人はもちろん、インク代を気にして印刷することをためらっていた人も、プリンターが家庭に1台ある便利さを堪能したい人も、ぜひこの機会に導入の検討をしてみては?
【期間】2024年7月16日(火)00:00〜7月17日(水)23:59
【セール対象モデル】「HP Smart Tank 7306」(ダーク サーフ ブルー)
Source: 日本HP
Photo: Kosumo Hashimoto