ライドシェアを推進する「暴走大臣」

写真拡大

 河野太郎行政・規制改革担当大臣(61)はコロナ禍でコロナワクチン接種を一方的に推進し、ワクチン接種後死亡者の遺族らが声を上げ始めると、自身を「運び屋」と称して逃げた“前科”がある。そんな河野大臣がいま旗振り役を務めているのが「ライドシェア」。そこでも彼のやり方に「乱暴だ」との声が上がっている。

 ***

「守るべきは規制ではない。全ての地域で、必要な時に円滑に、移動が可能になる『移動の自由の確保』が必要だ」

 河野氏がそう言って推進しているライドシェア。これが全面解禁されると、個人が自家用車を使って有償で人を運ぶことができるようになる。東京23区や京都などの一部地域では4月1日から限定解禁されているが、運営主体はタクシー会社のみに限られている。

ライドシェアを推進する「暴走大臣」

「あまりに急で乱暴」

「河野さんはタクシー会社にしか参入を認めていない現在の『日本版ライドシェア』には不満で、アプリ事業者などの他業者も参入できるよう法改正を進めるべきだ、との考えです」

 タクシー業界を所管する国交省関係者はそう語る。

「一方、全面解禁に慎重な国交省や斉藤鉄夫国交大臣(72)は、タクシー会社以外にもバス会社や鉄道会社も参入できるようにすればタクシー不足の問題は解消できる、としています。国交省内部では、そうした段階を踏まずに一気に全面解禁に突き進もうとする河野さんのやり方について『あまりに急で乱暴すぎる』との声が出ています」

 6月に方向性を示すことを目指していた岸田文雄総理(66)は5月30日に河野、斉藤両大臣と会談し、「期限を設けずに議論を進める」との方針にトーンダウン。河野氏が主張する全面解禁に「待った」がかけられた格好である。

「弊害ばかり」

「私どもとしてはライドシェアの全面解禁が先送りされたのは当然のことと思っています。全面解禁を議論することさえナンセンスだと主張してきましたから。全面解禁の必要はなく、むしろ弊害ばかりです」

 とは、タクシー乗務員が加盟する、全国自動車交通労働組合連合会の担当者。

「基本的に外国のタクシードライバーはフリーランス。海外では客から料金をぼったくったり、乱暴する、といったことが珍しくありません。しかし日本では乗務員はタクシー会社に属していることが多いため、教育も充実しているし、安全面でも会社が責任を取る。こういったことは、個人任せのライドシェアでは全く担保されなくなってしまいます」

相次ぐレイプ事件

 実際、アメリカではライドシェアを世界中で展開する「Uber(ウーバー)」のドライバーによる事件が相次いでいる。例えば、2016年11月にはカリフォルニアで10代の少女がUberのドライバーにレイプされる事件が起こっている。

「また、全米のUberのライドシェアでは17年からの4年で9805件の性犯罪が起こっています。そのうちレイプが800件以上でUberが訴えられるケースも。こういう実態がある中で、夜、女性が一人で乗車できるでしょうか」(同)

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。

「河野さんはまず目的があって、そこに一直線に飛びつこうとする。問題点を洗い出したり手順を踏むのを端折ってしまうことが多いように思います」

 安全性無視でライドシェアを進める前に、まずは自分にブレーキをかけることを覚えたほうがよさそうだ。

「週刊新潮」2024年6月13日号 掲載