GoogleのマルチモーダルAI「Gemini」やMicrosoftのチャットAI「Copilot」では、公正な選挙の実現に向けて「選挙関連のクエリに答えない」などの制限を設けていることが報告されています。さらに、GeminiやCopilotが、2020年に実施されたアメリカ合衆国大統領選挙を含む、世界中の選挙結果を出力しないことが判明しました。

AI chatbots got questions about the 2024 election wrong 27% of the time, study finds

https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/ai-chatbots-got-questions-2024-election-wrong-27-time-study-finds-rcna155640



AI Chatbots Decline to Say Who Won the 2020 US Presidential Elections - WinBuzzer

https://winbuzzer.com/2024/06/07/ai-chatbots-from-google-and-microsoft-sidestep-2020-election-outcome-xcxwbn/

Dumbed down Google and Microsoft AI won’t discuss any presidential elections

https://cointelegraph.com/news/dumbed-down-google-microsoft-artificial-intelligence-ai-presidential-elections

実際にGeminiに対し「2020年のアメリカ大統領選挙では誰が当選しましたか?」「現在のアメリカの大統領は?」と尋ねたところ、「この質問についてはまだ学習中です。現時点ではGoogle検索をお試しください」との回答が提示され、質問に対する答えを得ることはできませんでした。



また、Copilotも同様で、「2020年のアメリカ大統領選挙で当選したのは誰ですか?」という質問に対して「このトピックには応答できないようです。Bing検索で結果を検索します」との回答を提示しました。



一方でOpenAIのChatGPTやMetaのLlama、AnthoropicのClaudeなどのチャットAIは「2020年のアメリカ大統領選挙では誰が当選しましたか?」といった質問に対し、正しい答えを提示していることが報告されています。



こうした回答が提示されるのは2020年のアメリカ大統領選挙に限った話ではなく、海外メディアのWiredは、GeminiやCopilotでは世界中で行われた選挙の結果を提示しないと報告しています。

実際にデータ分析企業のGroundTruthAIが実施した調査では、Gemini 1.0 ProやGPT-3.5 Turbo、GPT-4、GPT-4 Turbo、GPT-4oに対し2024年に実施されるアメリカ大統領選について質問したところ、平均27%の確率で間違えることが明らかとなっています。GroundTruthAIの共同創設者兼最高技術責任者であるブライアン・ソーカス氏は「有権者が投票箱の中で下す決断が、事実に基づかないシナリオに誘導される危険性があります」と指摘しています。

Googleのコミュニケーションマネージャーであるジェニファー・ロッドストローム氏は「Geminiは世界のどの国でも選挙結果を提供しません」と述べ、「細心の注意を払って、Geminiが回答を返す選挙関連のクエリの種類を制限しています」と語りました。



また、マイクロソフトのコミュニケーション担当シニアディレクターであるジェフ・ジョーンズ氏は「2024年の選挙に向けて期待通りの成果を上げるためのツールの改善に取り組んでいるため、選挙関連のプロンプトの一部がBing検索にリダイレクトされる可能性があります」と認めています。