「後頭神経痛」の症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!

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立ち上がると頭痛がする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?MedicalDoc監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

≫「起立性調節障害」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

監修医師:
神宮 隆臣(医師)

熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「立ち上がると頭痛がする」原因と対処法

頭が痛いという症状は、誰しもが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。頭が痛いことが、いままで一度もない人はいないでしょう。頭痛持ちのかたは、日本国内には数千万人はいるといわれています。天気が悪いと頭が痛い、片頭痛持ちなど周りにもたくさんいらっしゃると思われます。今回は、「立ち上がると頭痛がする」という状況に注目して、その原因や対処法、治し方についてお話ししたいと思います。

立ち上がると頭痛がする原因と対処法

まず、頭痛全般に言えることですが、「突然の頭痛」「過去最高の耐えられない頭痛」などの場合は、くも膜下出血や脳出血など緊急性の高い頭痛の可能性があります。速やかに病院を受診しましょう。そうでない場合は以下を参考にしてください。
立ち上がると頭痛がするときに、考えられる原因はいくつかあります。そのため、原因を探るため、皆さまに確認してほしいことがいくつかあります。
まず、どのような時に、どのような症状がでるかを確認しましょう。毎回立ち上がったときに症状が起こるのか、時間帯はいつが多いか、どのようにしたら症状が治まるかなどを記録しておくことです。この記録は、病院受診の時に役立ちます。ズキズキやジンジン、ガンガン、締め付けられるような頭痛の性質も参考にはなります。また、どれくらい続くかも参考になります。一瞬だけ痛むのか、数時間なのか、数日以上か。波があるのか、一定なのかなども確認しておきましょう。
立ち上がると頭痛がするときの対処法は、まず、静かな部屋で横になり安静にすることです。横になることで、症状がよく改善するようであれば、起立性調節障害や脳脊髄液減少症の可能性があります。慢性化すると、治療が難しくなることもありますので、脳神経内科や脳神経外科などの頭痛外来を受診しましょう。

立ち上がると一瞬だけ頭痛がする原因と対処法

立ち上がると一瞬だけ頭痛がする場合は、神経の痛みの可能性があります。ビリビリ、チクチク、電気が走るようなどと表現される痛みが多いです。代表的な病気は後頭神経痛と呼ばれる病気です。筋肉や骨により神経が圧迫され、後頭部中心に痛みます。首の骨に変形を伴っていたりする場合には、立ち上がったり、首を動かしたりしたときに痛みが誘発されることがあります。動きに関係なく痛みが起こることもあります。
対処法は、特定の動きで痛みが出るようなら、その体勢をとらないように心がけましょう。痛み止めを飲むことも問題ありません。
神経の痛みの場合は、長く放置していると改善しなくなることがあります。症状がよくならないのであれば病院を受診しましょう。

立ち上がるとズキズキするような頭痛がする原因と対処法

立ち上がるとズキズキするような頭痛は、前述の起立性調節障害や脳脊髄液減少症でも見られます。それ以外の場合は、頭痛が主な症状である病気の集まりを表す一次性頭痛の可能性があります。
特に、一次性頭痛のなかでも、片頭痛や緊張型頭痛は、ズキズキするような頭痛を訴えるかたが多いです。運動することで誘発され、立ち上がったり、階段をのぼったりすると頭痛が増悪する片頭痛は原因になり得ます。
さらに、コロナウイルス感染症がまん延した影響もあります。いわゆる「アフターコロナ」や「long COVID」と言われる、感染後の後遺症により頭痛が残ることもあります。
対処法は共通している部分になりますが、静かな部屋で横になり、安静にしましょう。市販薬を含め鎮痛薬を飲んでみるのもよいでしょう。頭痛は医療者から見ても難しい症状で、頭痛の強さや発症の仕方、性質などでは、緊急性を正確に把握できないことも多いです。頭痛が強い場合や普段と違いを感じる場合は、速やかに病院を受診してください。

立ち上がると締め付けられるような頭痛がする原因と対処法

立ち上がると締め付けられるような頭痛の場合も、多彩な原因によって引き起こされます。頭痛などの痛みは本人しかわからず、他の人が正確に理解できないことも一つの要因です。
締め付けられるような頭痛の代表は、緊張型頭痛です。多くは両側が痛みます。強さは中くらいで、寝込むほどではありません。肩こりなどの体の問題と精神的なストレスや不安が関わっています。他の頭痛と一緒に安静にすることも重要ですが、精神面の解決も重要です。

すぐに病院へ行くべき「立ち上がると頭痛がする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急な強い頭痛症状の場合は、脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来へ

他の病気によって引き起こされる頭痛を二次性頭痛と言います。すべての頭痛ではありませんが、突然起こるものは危険性が高いものが多いです。特に、くも膜下出血や脳出血によって起きる頭痛は、「何時何分に痛くなりました。」と言えるくらい、ある時突然起こります。頭痛以外に、片方の手足が動かしにくい・しびれる/言葉がでない・ろれつが回っていない/顔が歪んでいる/目の見え方がおかしいなどの症状を伴っているときも、病院受診が必要です。
また、頭痛が主な症状である一次性頭痛の中でも、片頭痛や群発頭痛などは、強い頭痛が特徴です。この2つは治療タイミングを逃すと、治療効果が低くなります。
突然の頭痛や強い頭痛があるときは、我慢せずに、すぐに病院を受診しましょう。

「立ち上がると頭痛がする」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「立ち上がると頭痛がする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

起立性調節障害

以前は不登校とされていたなかに、起立性調節障害の方々が紛れていたといわれています。近頃では、頭痛を扱う小児科や脳神経内科や脳神経外科で知られています。まだまだ、一般に周知されているとは言えません。
自律神経に異常があるといわれ、立ち上がると、血圧が下がったり、脈拍が異常に上がったりします。そのため、立ちあがると、目の前が暗くなったり、気分が悪くなったりします。ひどいと意識を失うこともあります。立ち上がったときの頭痛も症状としてあらわれます。このような症状により朝起き上がれなくなったりするため、不登校と関連するといわれます。症状は午後にかけて改善することが多く、精神的なものと言われたり、仮病と間違われたりしてきました。学校や家族との心理的な葛藤なども発症に関わっているといわれます。
症状が強いときは、横になって休むのが一番です。
治療法としては、積極的な水分摂取や塩分を少し多く摂るなどします。この治療法でも改善が乏しい場合は薬物療法などが実施されることもあります。
症状に悩まされ、日常生活が送れていないようであれば、病院を受診しましょう。小児期から発症することがあり、年齢に応じて小児科や脳神経内科・脳神経外科・頭痛外来を受診しましょう。

脳脊髄液減少症

脳脊髄液という、脳や脊髄のまわりにある液体が漏れたり、産生が少なくなったりすることで発症する病気です。脳脊髄液が少なくなることで、立ち上がった時の頭痛が起こります。ほかには、吐き気やめまい、耳鳴りなどを伴うこともあります。起立性調節障害と同様に、横になると頭痛は改善します。交通事故や転倒などの怪我が原因で生じることもありますが、原因がわからないこともあります。
治療法は、起立性調節障害と同様に、安静にして横になり、水分をよく摂ります。それでもよくならないときには、ブラッドパッチという、脳脊髄液が漏れている穴をふさぐ治療が行われることもあります。
この病気が疑われる場合も、脳神経内科・脳神経外科・頭痛外来を受診しましょう。

くも膜下出血

くも膜下出血の多くは、脳動脈瘤という動脈にできた「こぶ」が破れることで、頭の中で出血します。代表的な症状は、突然の激しい頭痛で、命に関わる重篤な病気です。血圧が上がったときに発症することが多く、トイレでいきんだあとや喧嘩しているときがよく知られていますが、立ち上がった瞬間に発症することもあります。我慢せず救急車を呼んで病院を受診しましょう。

片頭痛

片頭痛は病名から勘違いをされやすいのですが、症状が片側のみにしか起こらないわけではありません。吐き気や吐いてしまう症状を伴う中等度から強い頭痛がします。そのため、日常生活が妨げられてしまいます。頭痛は4時間から72時間続きます。
特徴はいくつかあります。まず、キラキラ、ギザギザしたものが見えたりする前兆を伴うことが知られています。また、頭痛がしているときは、周りの音やにおい、光に過敏になります。そのため、静かで暗い部屋で安静にすることが有効です。
片頭痛は世界中に困っているかたが多く、日常生活が妨げられるため、問題となっています。治療法は非常に進歩しています。予防薬としての注射剤や、予防から頭痛発症まで使える内服薬がここ数年で複数使えるようになりました。さらに、予防薬としての注射剤を飲み薬へ改良する開発も進行しています。
「私もそうかな?」と思われる方は、脳神経外科や脳神経内科の外来を受診しましょう。

後頭神経痛

後頭神経痛は、その名の通り神経痛の一種です。神経痛は何らかの原因で神経が傷つき、痛みやしびれを引き起こします。ビリビリ、チクチク、電気が走るようなどと表現される痛みが多いです。
後頭神経痛は、後頭神経が頭蓋骨や筋肉により圧迫を受け生じます。痛みやしびれは後頭部から耳の後ろ側に起こります。圧迫を受けている神経を、頭蓋骨と首の境目で押さえて刺激すると痛みやしびれが悪くなることがあります。
治療は痛み止めやビタミン製剤などを用います。脳神経内科や脳神経外科の外来を受診しましょう。原因によっては整形外科と一緒に診療することがあります。

「立ち上がると頭痛がする」ときの正しい対処法

まずは、典型的な「立ち上がると頭痛がする」場合は、静かな部屋で横になり休みましょう。効果が乏しいときは、一般的な頭痛薬や消炎鎮痛薬を内服するのも良いでしょう。
突然の頭痛であったり、痛みがひどかったりするときは、無理をせず病院を受診しましょう。動けないくらい痛いときは救急車を呼ぶことも考えてください。
くも膜下出血などの緊急性を要する頭痛以外の場合は、診断名が確定するまでしばらくかかることが多いです。痛み止めなどで頭痛を軽くしながら、ともに検査と治療を続けましょう。

「立ち上がると頭痛がする」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「立ち上がると頭痛がする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

立ち上がると頭痛がする症状は何科を受診すればいいのでしょうか?

神宮 隆臣(医師)

お子さまの症状であれば小児科を、成人であれば脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。また、頭痛外来を解説している病院やクリニックを受診するのも手でしょう。

まとめ

「立ち上がると頭痛がする」という症状を引き起こす病気は、典型的な症状であっても見逃されることの多い病気であったり、緊急性の高い病気が隠れていたりと、一筋縄ではいきません。さらに、頭痛を引き起こす病気が複数隠れていることもあります。症状が落ち着いた場合でも、早めに病院を受診して、診断と治療を受けてください。

「立ち上がると頭痛がする」で考えられる病気

「立ち上がると頭痛がする」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

起立性調節障害

脳脊髄液減少症

片頭痛緊張型頭痛群発頭痛くも膜下出血脳出血椎骨動脈解離脳腫瘍

可逆性脳血管攣縮症候群

後頭神経痛

頭痛がする病気はまだまだたくさんありますが、代表的なものを示しました。頭痛などの痛みを引き起こす病気は、なかなか辛さが理解されずお困りのこともあるでしょう。脳神経内科や脳神経外科の外来を受診してしっかり調べて治療しましょう。

「立ち上がると頭痛がする」に似ている症状・関連する症状

「立ち上がると頭痛がする」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

横になると頭痛が落ち着く

立ち上がるとふらつく、吐き気がする

気を失う

頭が重い感じがする

めまいがする

学校にいけない

立ち上がると頭痛がするときの代表的な病気である、起立性調節障害と脳脊髄液減少症の特徴を示しました。当てはまるものがありましたら、病院を受診しましょう。

【参考文献】
・[日本小児心身医学会]起立性調節障害
・[起立性調節障害support group]起立性調節障害診断の手順
・[脳脊髄液減少症ホームページ]脳脊髄液減少症とは?