【写真・画像】退職代行サービスの社長が忘れられない衝撃エピソードを告白「新入社員が他社の退職代行を利用して辞めた」 1枚目

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 「退職代行」がゴールデンウィーク明けのいま繁忙期を迎えているという。退職代行サービスの社長に起業の経緯や苦労について話を聞いた。

【映像】退職代行、対応先から受けた“衝撃の暴言”告白

 退職代行サービスの社名にはダジャレのようなものが多いのが特徴的。退職代行モームリ、退職代行やめたらええねん、退職代行トリケシ、退職代行即ヤメ、退職代行ローキ、退職代行SARABA、退職代行わたしNEXT<女性の退職代行>、男の退職代行など。

 退職代行サービスが初めてビジネスとなったのは2017年で、新野俊幸代表が立ち上げた退職代行EXITが業界最古参とされる。

 ダジャレのようなネーミングの退職代行が急増していることについて、新野氏は「ふざけすぎている感が強かったりするのもあって。そんなふざけたネーミングで電話かけるのも失礼だなという心はやっぱりある」と指摘しつつも「一方でキャッチーなネーミングにすることで若者に覚えてもらいやすかったりするので、ビジネスとしては確かにアリなんだろうなと思います」と一定の理解を示した。

 退職代行が生まれた理由については「元々私がサラリーマンをやっていまして。3回ほど退職を経験しているのですが、いずれの退職も非常に苦労した。具体的には上司に止められ、同僚に止められ、家族に止められ。誰に辞めるって相談してもめちゃくちゃ止められる。退職って自由な権利なのになぜこんなに苦しまなきゃいけないんだ。お金払って簡単に退職できるんだったらいいなと思い始めました」と明かした。

 ニーズは必ずあると始めたものの、当初の依頼は月に1件あるかないか。新野氏は一番の苦労はとにかく「怒られた」ことだったとして「『本人からもう連絡いきませんよ』『会社行きませんよ』と突然連絡するので、当然『ふざけるな』となる。『いやでもすいません、行けないんです』『いやいや困るから』みたいな感じでめちゃくちゃ怒られて、1時間ぐらいずっと説教される。依頼者の代わりに説教されるサービスみたいになっていましたね」と振り返った。

 退職代行サービスは、退職時に踏まなければいけない煩わしい手続きをお金を払うことで退職代行会社が肩代わりしてもらうというもの。そのためEXITでの同サービスの手続きは「1、公式LINEに登録し、依頼内容を相談」「2、勤務先の電話番号、退職代行実施希望日などヒアリングシートに記載」「3、料金2万円を支払い」「4、EXITが退職に必要な連絡を代行」と、いたってシンプルだ。

 依頼者と企業のあいだに退職代行サービスが仲介役として入るため、気まずさやわずらわしさは皆無だが、新野氏は「たとえば残業代を取りにいきましょうとか、必ず有休消化をさせますとか、そういう会社との何かしらの交渉が必要になる場合、そこは一切できない」と説明。弁護士資格を持たずにこれらの交渉をするのは非弁行為にあたり違法になってしまうため、あくまで連絡に徹するのだという。

 2017年には月に1件だった依頼がいまでは年間1万件以上の相談が寄せられるほどに成長したというEXITだが、新野氏が忘れられない「退職代行ケース」もあったそう。

 「優秀な大学生の子がうち(EXIT)に来たいと。『じゃあ採用します』と言って。4月1日の入社の日に彼が他社の退職代行でうち辞めたんです」と告白。しかし「感想としては変な感情で、どちらかと言うと嬉しさが勝ったというか。自分が作ったサービスがマネされて、しかもウチに来たという。このなんか“広まった感”というか」と、前向きな印象を持ったことを明かした。

 退職代行サービスが急増した背景については若者特有の問題ではないと指摘する新野氏は「退職代行を使われてしまった時点で、経営者として空気の作り方を間違っている。退職という重要な事項を上の人に相談ができない。やっぱりおかしいと思う」「自分が使われてしまったということは、経営がうまくいってなかったんだなという判断で、何の怒りもなかった」と自戒を込めて語った。

(『ABEMA的ニュースショー』より)