日本テレビ

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 先日、日本テレビの6月1日付の幹部人事が発表され、制作現場に激震が走った。いわゆる番組制作のトップである編成局長(日テレではコンテンツ戦略局長)が降格させられたというのだ。この4月から始まったばかりの“土曜改革”の結果が早くも人事に反映されたとの声が出ている。

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【写真をみる】日テレ土曜改革“大コケ”の「戦犯」は?

 デイリー新潮は今年1月1日配信の「日テレ 春から土曜夜は有働MC『音楽番組』→『ドラマ2階建て』へ 大改編の狙いは」で、日テレの“土曜改革”について報じた。

 土曜改革とは、夜8時枠で20年近く続いた教育バラエティ番組「世界一受けたい授業」を打ち切って有働由美子アナがMCを務める音楽番組「with MUSIC」に、9時枠は櫻井翔 がMCのバラエティ番組「1億3000万人のSHOWチャンネル」を終了させてドラマ枠に。続く10時枠の“土ドラ10”と併せて2本続けてドラマを放送するというものだった。この結果が早くも人事に現れたというのだ。日テレ関係者が声をひそめて言う。

日本テレビ

「『with MUSIC』は、日テレとしては『歌のトップテン』(1986〜90年)以来、実に34年ぶりとなるゴールデン帯の音楽番組です。力も入っていますから、レギュラー放送がスタートする直前の3月30日に“お披露目特番”を組み、まあまあのスタートを切りました」

 YOASOBIや福山雅治、大泉洋、ジャニーズ事務所を退所した元King & Princeの3人が結成したNumber_iなどが出演する2時間特番の視聴率は、世帯が7・0%、個人が4・5%だった(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)。

「コア視聴率は民放トップの4・3%。占拠率は28・1%でした。日テレ上層部は『コア視聴率で占拠率33%を目標に他局を圧倒せよ』と社員を鼓舞してきました。目標の占拠率33%には届かなかったものの、個人視聴率の合格点5%、最低ライン4%はクリアしたので胸をなで下ろしたのです。ところが、レギュラー初回放送の個人視聴率は3・2%と最低ラインを下回り、同時間帯では民放4位。占拠率トップどころではありませんでした」

 さらに、連休前には悲惨な状況に陥った。

前番組を下回る

「ゴールデンウイーク中に『with MUSIC』の放送はありませんでしたが、4月27日の放送は個人視聴が2・8%とウラ番組の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)の6・4%にも大きく水をあけられました。肝心のコア視聴率も2・3%と『博士ちゃん』の2・5%を下回り、民放最下位となったのです。もちろん『世界一受けたい授業』よりも数字を落としています」

 これでは人気長寿番組を終わらせて始めた意味がない。そして夜9時台の新ドラマ枠では、今田美桜が主演の「花咲舞が黙ってない」第3シリーズがスタートした。

「第2シリーズまで主演は杏 でしたが、今シリーズでは人気No.1を争う若手女優の今田を主演に迎えました。視聴率は世帯が7%台で、個人も4%台と悪くありません。ところが、コア視聴率で見ると、直近の5月4日は1・9%しか取れていません。この日は前半30分、ウラで人気アニメの『特別編集版「鬼滅の刃」刀鍛冶の里 敵襲編』(フジテレビ)が重なったということもありましたが、その前週のコア視聴率も1・7%でした。前番組『SHOWチャンネル』の半分以下です」

 2010年以来、日テレの土曜夜の顔だった嵐のバラエティ番組「嵐にしやがれ」は、もともと夜10時枠の放送だった。17年4月、夜9時台のドラマ枠を10時台に移すことになったため、この枠に移動した。嵐が活動休止となったため後継番組となったのが、櫻井がMCの「SHOWチャンネル」だ。そして今度は、この土曜夜9時台を再び新たなドラマ枠にするために、「SHOWチャンネル」を終了させたのだが……。

水曜にまで悪影響

「土曜改革から外れた夜10時台のドラマ『街並み照らすヤツら』も、5月4日の世帯視聴率は3・4%でした。この枠では今季、もともとマンガ原作のドラマを放送する予定でした。しかし、昨年10月期に日曜ドラマ枠で放送された『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子さんが脚本のトラブルが原因で自ら命を絶たれたこを重く見て、マンガ原作を見送ることに。急遽、オリジナル脚本として制作したことで宣伝が行き届かなかったことも原因の一つでしょう」

 ジャニーズの性加害問題以降、ようやく日テレがSixTONESの森本慎太郎 を主演に起用したドラマだったのだが……。つまり“土曜改革”は上手くいかなかったのだ。

「それだけではありません。土曜9時のドラマ枠は水曜10時のドラマ枠を移動する形で行われ、空いた水曜10時では新番組『世界頂グルメ』が始まりました。そもそもウラ番組にコア視聴率の高い『水曜日のダウンタウン』(TBS)があるためドラマ枠を移動させたはずだったのに、新番組のMCがハライチでは勝ち目がない。実際、5月8日の数字は個人2・9%、コア2・4%でした」

 土曜改革が失敗した影響はかなり大きいようだ。

「さすがに上層部もこのままだとマズいと思い、はっきりと人事に打ち出したと言われています。土曜改革の番組はまだスタートしたばかりとはいえ、今後、巻き返すのは厳しいという声が出ています。何とか手を打たないと……」

デイリー新潮編集部