『こどもディレクター 〜私にしか撮れない家族のハナシ〜』(日本テレビ系28局+TOS・UMK 30局ネット 毎週水曜 午後11時59分〜深夜0時29分)が4月3日(水)にスタート。レギュラー出演する斎藤工さんと番組演出の北山流川さん、監修の上出遼平さんに、初回収録を終えての感想や全国放送されるに当たっての気持ちなどを聞きました。

『こどもディレクター 〜私にしか撮れない家族のハナシ〜』斎藤工©中京テレビ

 

この番組は「あなたにカメラを渡すので、家族を取材してきてもらえませんか?」と、両親にずっと聞けなかったこと、伝えたいこと、謝りたいこと、ウチの家族だけの文化など家族への「タブー」や「疑問」を当事者自らがディレクターとなり取材し、解決するドキュメントバラエティ。

 

◆全国ネットでのレギュラー番組になりました。初回収録を終えて、あらためて感想を教えてください。

斎藤:スペシャルのときのある種の気楽さというものから、深度に変わりました。だからこそ、何かのきっかけを生み出せる可能性があるのかもしれないと、この放送を見て気づいてくださる方がもしかしたら前回以上にいるんじゃないかなと思います。きっと一歩目のハードルとしては軽くはないですが、だからこそ今かもしれないと思ってくれる方にもしかしたら届くんじゃないかなと。すごくこの番組の積み上げてきたものと可能性をより感じました。

 

◆毎週放送されることによって、この番組と出合う方が増えてくると思いますが、その辺りはいかがですか?

斎藤:前回や前々回のスペシャルのときにも思っていたのですが、僕がスタジオでできることは限られているし、ただ座って何か思いを寄り添わせることしかできない。本当に見守ることしかできないですけれども、上出さんと流川さんが作ってくださったこの装置的なものは、後世に残すべきだなと思っていて。このポジションが僕でなくても、むしろここに見守る人がいなくても成立するような番組になっていったらいいなとすごく強く思いました。

 

◆では、北山さんと上出さん、あらためて番組がレギュラーになった感想と、この番組における斎藤さんについて教えてください。

北山:まずはレギュラーになってとてもうれしいです。特番も含めて、これまですごく勇気を持って、家族にカメラを向けてくださったこどもディレクターの皆様の映像があったからこそ、レギュラーでやらせてもらうことができたので、あらためて本当にありがとうございますと感謝を伝えたいです。斎藤さんがおっしゃっていましたけど、何かのきっかけになるような番組になったらいいなと思っていて、見終わった後に見てくださった方それぞれの大切な人を想える番組にしていきたいです。僕自身、最初の特番でこどもディレクターをしたのですが、オンエアを家で見たときに斎藤さんとゲストのYOUさんがすごく温かい言葉をかけてくださっていたり、VTRを見ているときの表情とかで、見守ってくださっているという安心感がものすごくあったんです。それは僕の映像だけでなく2人がいらっしゃったから、その安心感というか、必ず応援してくれている方がそばにいるというのが、自分としても大きかったので、こどもディレクターの皆さんにとってもすごく心強い存在だと思っています。斎藤さんこれからもよろしくお願いします。

 

上出:もともと流川君とVTRを作っていく中で、一番気をつけようと言っているのは、出てくれた人たちのこと。特に、放送後にどういう結果になるのかということに常に注意をしようとずっと言い続けています。もちろんレギュラー化して全国放送になればなるほど、たくさんの人に関わってもらえますし、もっと強いインパクトを与えることになるので、そういう意味ではすごく緊張感があります。うれしいですが、継続の中で麻痺することもあり得るし、ないがしろになってしまう可能性もあると思うのですが、その中で僕の役割として、とにかく責任を持ってチェック機関として、「これは危ないんじゃないか」と。カメラを受け取った人にとって大きなきっかけになる分、プライバシーの問題も含めてリスクが高いので、注意をしていこうと思っています。斎藤さんがいてくれることにして関しては、この番組の一つの特異性として、我々はもちろんディレクターだし、カメラを渡された人もその瞬間からディレクターで。それでいて斎藤さんは監督なので、これだけディレクターだらけの映像ってないと思うので、相当変で面白いと思うんです。俺たちもスタジオの斎藤さんの反応を見て結構「あ!」と思うときがあるので。そして、お茶の間でのシーンで常にテレビがついていることのリアリティとか、今までのテレビだったら「これどうする?」みたいな、聞きづらいよねと言われていたことが、新しい目線を持って肯定されていくので、僕らもスリリングな体験として経験できています。きっと映像をやりたい人の教科書的なことにもなっているのではないでしょうか。そこもすごく面白いところなので、斎藤さんにはこれからもいていただきたいなと思っています。

 

◆この番組はナレーションがないことが特徴的だと思います。その中で、VTRを見守る斎藤さんやゲストの方の言葉が大切になってくると思うのですが、自然と言葉は出てきますか?

斎藤:僕が過剰に合いの手というか、ガヤ的なことを入れすぎず、何かしながら見ているという状態だとしても、見てくれている視聴者の方たちのノイズにならないことが優先だなと思っています。ナレーションがない代わりに、もちろん編集もそうですが、仕上げの部分をプロフェッショナルな方たちが仕上げているというところにまた特性があるのかなと思うので、テロップで誰がしゃべっているかということを伝えたいだけではなくて、なぜその文字を強調し、その言葉に意味があるのか、受け取った流川さんたちが大事にそれを仕上げているんだなと思っているので、基本的には僕らがスタジオで味付けを加えすぎないことの方が大事だなと。バラエティの収録としては逆説的な方法が成り立つというか、それしか成り立たないような番組だなと思っています。

 

◆皆さん、深いお話をされているなという印象があるのですが、出演する家族の分だけトークは尽きないでしょうか?

斎藤:VTRの尺と番組の尺がほぼ一致しているので、オープニングとエンディングはほぼ使われないだろうという気軽さはあります(笑)。ただ、僕1人じゃなくて、ありがたいことにゲストの方がいてくださるので、ご自身もこどもディレクターであるというその意見をお伺いするだけでも、それは視聴者の方とのコミュニケーションにもなるのかなと思っています。既に僕から出てくるものはもう枯渇しているので、ゲストの方を頼っていきたいなと。普段、別の現場でお会いしても、このスタジオ内だからこそシンプルすぎて聞けない質問をできるというのがこの番組の特性で。VTR明けはみんなサウナの後みたいな、自分と向き合っている時間なんです。VTRを見ている時間というのは、鏡を見ている感じがあるので、それをゲストの方と共有することが、視聴者の方とつながる何かになると信じています。

 

◆本編のVTRが深い分、こどもディレクターがちょっとした疑問をぶつける一問一答のVTRが最後に流れてほっこりしたのですが、斎藤さんはいかがでしたか?

斎藤:確かに番組のタイトルを聞いて多くの人がイメージする答え合わせ的なものが一問一答のところに出てくるなと思いました。でも本編を見た後なので、子供に取材されているお父さんやお母さんも「この人もこどもディレクターなんだよな」という少し分厚い目線で不思議と見ている感じはあります。このコーナーはとってもいいですよね。

 

北山:自分ごとで見ていただいた後に、たくさんの子供たちを見ることで、また目線が1回戻れるというか、楽になれるということで、余韻みたいなものを大事にしたいなと思って入れています。引き続き、いろんなこどもディレクターと番組ディレクターの皆さんが出会ってきてくれると思うので、それを大切にしたいです。

 

斎藤:それで言うと、続編も可能性としてはあるのかなと。スペシャルでもその後がありましたけど、そういう展開もこのレギュラーになったことで、さらにこどもディレクターの特性が生かせるんじゃないかなと思っているので、楽しみにしていただきたいです。

 

◆初見の方にこういうところを楽しんでほしいなど、ありましたら教えてください。

斎藤:連続ドラマとかだと、1話を見ていないと2話以降の理解が、そこから入りづらいみたいなことがあると思いますが、この番組は誰しもが人生の途中で、その前に起きたこと、この後起こるであろうことの部分的抜粋ドラマという感じがします。もちろん毎週楽しみに受け止めてほしいのですが、偶発的に出合ってもそれはそれでふさわしい番組でもあるなと同時に思っています。それは、1から登場人物を理解して立て続けに見ていくというよりは、誰しもが人生の途中で途中の人と会うから、自分の前とこれからにつながってしまうという不思議な感覚になるんじゃないかなと。どのタイミングからか分からないですが、人ごとが我がごとになってくるんです。そこの隙間のようなところに、ありそうでなかったこの番組が入ってくれるんじゃないかなと。ながら見でもいいですし、本当に何か感じるものがなかったら、僕は変えるということが起こっても仕方ないと思うんですけど、でもちょっと類を見ない味わいなので、ナタデココを初めて食べたときみたいな、「1回見てみて」と声を大にして言いたいです。

 

◆先ほどサウナに入ったように余韻を感じる番組とおっしゃっていましたが、コンスタントにこの番組の収録に触れるとなると定期的に心のサウナになるのかなと思うのですが。

斎藤:おっしゃる通りです。切迫すると自分の半径だけでしか何か動いてないような気がして、それと同時に情報が多すぎて、キャパオーバーしてしまうような、自分の時間がその二極化してしまっているとここ数年ものすごく実感しています。ですが、その人様の当たり前に動いている時間というものに触れることで、色づく何かを僕自身もらっている気がして、とても強くこの番組にそれを感じました。他人と接続できることがSNSによって簡易的にはなっていると思うのですが、この番組では普段最も見せない、見せたくないようなものにカメラを向けることで次の一歩があるというような大きなメッセージを僕自身毎回感じながら、収録に臨めるなと。こういう番組だからこそ、なおのこと襟を正して向き合えたらなと思っています。でも、上出さんや流川さんのあふれる才能にたまにおぼれそうになりますけど、奥に感じるんです。たぶんどんなディレクターも、自撮りのものでも、どこかプロデュースじゃないですけど、それを一緒にクリエイトする人、仲間がいると思うのですが、上出さん、流川さんのチームが、この『こどもディレクター』を全力でサポートをしていて、それで守るべきものを守りながら一緒に作品を作っているという。このチームと多くの方が必然的にこれから触れ合っていく姿を目撃できるというのは、すごくぜいたくだなと思っています。

 

PROFILE

斎藤工

●さいとう・たくみ…1981年8月22日生まれ。東京都出身。A型。

 

番組情報

水曜プラチナイト『こどもディレクター 〜私にしか撮れない家族のハナシ〜』

日本テレビ系/TOS・UMK

2024年4月3日(水)スタート

毎週水曜 午後11時59分〜深夜0時29分

 

出演者:斎藤工

 

HP:https://www.ctv.co.jp/kodomod/

 

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