(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第109回は東大の合格・不合格をわける僅かな差について、生徒への指導経験を踏まえながらお話しします。

合格・不合格が分かれたのはちょっとの差


3月10日に、東大の合格発表(前期日程)がありました。東大受験生たちにとっては、自分たちの努力が報われるかどうかが決まる、人生の岐路になった日だと言えます。

われわれカルペ・ディエムも、今年も多くの東大受験生たちを支援し、その結果惜しくも不合格になる生徒もいれば、見事逆転合格することができた生徒もいました。

さて、そんな中で、見事合格を勝ち取った生徒というのはどんな人だったのでしょうか? どの受験生も本気で努力して、本気で東大に挑んでいました。合格・不合格が分かれたのは、本当にちょっとの差だと感じます。では、その「差」はどこで生まれたのでしょうか?

今回僕が東大受験生たちを見て感じたのは、「最後の最後まで、勇気を出して全力を出し切れるか」だと感じました。最後の1秒まで諦めず、本気で食らいついた学生が合格していたのではないか、と。

このお話しをする前に、まずは『ドラゴン桜2』のワンシーン、受験の数日前に生徒に対して桜木先生が激怒するシーンをご覧ください。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください




(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)



(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしたか? 厳しいながらも愛のある説教の場面でしたね。実は僕が指導している生徒の中にも、漫画で描かれたのと同じような状況に陥っている子がいました。

今年の東大受験の1週間前に、生徒の1人が「来週受験だから、ここらへんで過去問の勉強は切り上げて、復習とかリフレッシュに時間を使おうと思うんですけど、どうですか?」と言ってきたのです。その子は、成績はかなり上がってきた生徒だったのですが、メンタルに不安定な部分がある子でした。


この連載の一覧はこちら

「なんで過去問を解きたくないの?」と聞くと、「もしできない問題があったときに、自信をなくしてしまいそうなので」と言われました。

それに対して僕は、「それは絶対によくない」というアドバイスをしたのです。もちろん、過去問の中には難しい問題もあるでしょうし、解けるか・解けないかギリギリの問題もあるでしょう。

間違えてしまって、後から振り返ったら「この問題、解けたはずなのに、惜しかったな」と思う問題もあるかもしれません。そういう問題を解くと、自信がなくなってしまうこともあると思います。

解けるか・解けないか微妙なラインの問題こそ対策を

でも、そういう問題こそ、いちばん対策するべき問題なのです。自分が解ける問題を解いていても、成績は上がりません。自分が解けるか・解けないか微妙なラインの問題こそ、本番で合否を分ける問題です。

解いていてくじけそうになっても、勇気を出して対策することで、合格できる可能性が高まるわけです。

だからこそ、僕はその生徒に対して「最後の最後まで、過去問・そして自分の弱点から、逃げないほうがいい」というアドバイスをしました。

彼も「たしかに、もう泣いても笑っても1週間後ですもんね! わかりました! 勇気を出します!」と言いました。

結果として、その生徒は東大に合格しました。もちろんこのアドバイスが正しかったからだ、と言うつもりもありませんが、僕は合格したと連絡を受けたとき、真っ先に感じたのは、「勇気を出します」と言い切ったあの力強さが、彼を合格に導いたのではないかということでした。

最後にモノを言うのは、勇気なのではないかと思います。最後の最後に気を緩めてしまったり、最後の最後で少しでも諦める気持ちがあった人は不合格になってしまいます。

逆に、諦めずに最後まで頑張り続けた人こそが、合格を手にすることができるのではないかと思います。彼ら、彼女らの姿から、みなさんの参考になる部分があればうれしいです。

受験勉強や、子供への教育など、西岡壱誠さんへの質問を募集しています。こちらの応募フォームからご応募ください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)